『無境界家族』
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- 2014/07/19(Sat) -
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森巣博 『無境界家族』(集英社文庫)、読了。
ブックオフでは見つけられないのに、神保町では良く出会う著者の作品。 前回読んだのは「小説」、今回は「家族についてのエッセイ」。 どちらも似たような造りになっています(笑)。 世界を飛び回る気鋭の学者である妻、 州法に違反してまで飛び級で大学に入り、ハーバード大学院は中退して ヘッジファンドで大金を稼ぎまくる息子、 そして、博打打ちの自分。 他に類を見ないであろう家族の構成と活動内容ではありますが、 著者の教育論や人生哲学を聞くと、なるほど、こういう家族が出来上がるのか・・・と。 また、想像ですが、著者以上に奥様の人生哲学や価値判断の方が ぶっ飛んでいそうで興味があります。 「こういう考え方もあるよな」と頭では分かっていても、 それを実行して、しかも「天才の息子」として結果を出していることは 凄いことだと思います。 この徹底力、貫徹力には、学ばねばならないと自省の気持ちが働くとともに 畏怖の気持ちも湧いてきます。いずれにしろ刺激的。 一方で、著者の語る、「日本人論」論や「日本文化論」論は、いまいちピンときません。 いわゆる「日本人論」において、日本人の定義が狭すぎる、少数者を無視している というような主張を述べていますが、その割には、著者も他の話題で 結構、強引な一般化をして語っています。 もちろん、「一般化しすぎかもしれないが」という断りつきですが、なんだか勢いが殺がれます。 本作は、ある一人の男の人生哲学として読むには非常に面白いです。 ただ、世界や日本を見つめなおすためのフレームを学ぶには違うかなと感じました。 息子のことを語りながら、いつの間にか植民地主義の話になっている、 その無境界=ボーダレスな文脈の展開が、本作も心地よかったです。
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