『心臓と左手』
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- 2014/06/25(Wed) -
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石持浅海 『心臓と左手』(光文社文庫)、読了。
初めて読んだ石持作品に探偵役で登場した座間味くん。 その彼を安楽椅子探偵のポジションで活用した短編集です。 石持作品でちょっと苦手な面は、 登場人物たちの理屈っぽさにあるのですが、 短編集だと、それほど負担に感じずに読めますね。 特に、安楽椅子探偵モノだと登場人物も場面設定も限られてくるので、 非常に読みやすかったです。 座間味くんというキャラクターにも合っている気がしました。 また、座間味くんに謎を持ってくる大迫氏は警察の人間なのですが、 各短編の中で、「真犯人を逮捕」「過去の事件の再捜査を開始」といった 現実的な価値判断を下させずに、「真相はこうですよ、でも、もう過去の話じゃないですか」 といった曖昧な終わり方で各章を締めてしまうのも、 この作品には合っているように感じました。 座間味くんというのは、ちょっと斜に構えた視点で世間を見ているところがあり、 結構、割り切ったものの考えをするキャラクターとして描かれています。 座間味くん視点で、時事問題を扱ったエッセイを書いてみるのも 面白いかも・・・・と思ってしまいました。 非常に、キャラクター、構成、展開がしっくりとはまっている佳作だと思います。 最後に収録された「再会」という短編は、 『月の扉』の後日談という位置づけのお話ですが、 私的には、これは要らなかったかなと。 短編集としてのバランスを最後に崩してしまっているような印象を受けました。
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