『ナチ・ドイツと言語』
- 2014/06/24(Tue) -
宮田光雄 『ナチ・ドイツと言語』(岩波新書)、読了。

土曜日、上野へ行った帰りはてくてく家まで歩いたのですが、
久々に本郷通りを土曜の昼間に通ったので、古本屋を冷やかしてみました。

路上に出た箱に「この箱の本は100円」と出ていたので、新書を中心に数冊選びました。
で、レジへ持ってったら、1,000円オーバー・・・・・えっ!?
なんと並んでいたいくつかの箱のうち、100円なのは1個だけだったようで、これは油断してました。
「要りません」と言うのもあれなので、そのまま購入。
その一冊がこちら(苦笑)。200円だったのでインプットが2倍あればトントン(笑)。

これまで、あまりヒトラーなり、ナチスなりに関して、深く勉強したことはありませんでした。
教科書的な通り一遍の知識と、これらを題材にした映画を何本か見た程度で。

本作は、主に、ヒトラーが演説で用いた論理展開や用語、
さらには、それらの言葉が効率的に国民に届くように計画された舞台装置や映像など
ナチスの権力構造を言語というキーワードで解説しています。

さらに、上から下への言語の働きだけでなく、
国民の間で密やかに交わされたジョークも取り上げることで、
下から上への批判の目についても紹介しています。
この両面からのアプローチは興味深かったです。

改めて、ナチスという組織の行動力、統制力、組織力の強さを認識したのですが、
驚くべきは、その適材適所の人材登用、および彼ら各人が自分の使命を
正しく認識し、最大限の努力を惜しまずに行っていたという事実です。

このエネルギーが、ユダヤ人虐殺というような誤った方向に発揮されたことは残念ですが、
もしもナチスのような組織が、ビジネス界や宗教界に現れ、意義のある活動をしたら、
それこを世界に影響を及ぼせる、もしくは牛耳れるのではないかと思います。

なぜ、ここまでのエネルギーをもつ組織に育てられたのか、各人が才能を生かせたのか
ということを考えると、やはり、組織としてのビジョンなりイデオロギーなりが
非常にシンプルかつ明快であったことに尽きると思います。

さらには、その内容が、自分たちを上昇させ、周囲を貶めるという
優越感や現実的な支配欲、権力欲、金満欲を満たすものだったために
一層ドライブがかかった状態になったのかなぁと思います。

正直、人間なんて、「正しい」というだけでは、大きなモチベーションにはならないと思います。
「儲かる」「楽ができる」「支配できる」「恐れられる」「上から見下ろせる」というような
負や悪に近い要素があってこそ、麻薬のように、その教えを受け入れてしまうのではないかと。

最後に、ドイツ国民が見た夢について、いくつか紹介されていましたが、
人間の本質の部分が感じている「恐怖」「被支配感」「罪悪感」といったものが現れているようで、
ドイツ人自身が非常に恐ろしい精神状態に置かれていたのだなと感じました。
これは、負や悪を受け入れたことに対する、無意識のうちの善なる心の抵抗だったのかなと。

本作は、入門書的な位置づけだと思うので、
もっとガッツリ、ナチスに関しては読んでみたいなと感じました。


ナチ・ドイツと言語―ヒトラー演説から民衆の悪夢まで (岩波新書 新赤版 (792))ナチ・ドイツと言語―ヒトラー演説から民衆の悪夢まで (岩波新書 新赤版 (792))
宮田 光雄

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