『悪人』
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- 2014/06/18(Wed) -
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吉田修一 『悪人』(朝日文庫)、読了。
赤沢温泉のリクライニング・チェアでビールを飲みながら一気読み(笑)。 出会い系サイトや合コンで繋がった男女が ちょっとした虚栄心の積み重ねで、死を招いてしまうお話・・・・ うーん、ちょっと要約が間違ってるかな(苦笑)。 常々、事件を伝えるニュースを聞いていて違和感を覚えるのが、 「むしゃくしゃしててやった」「金に困っていた」というような 動機についての説明文。 「むしゃくしゃしてたら、みんながみんな人を刺すわけじゃないだろう!」という 単純な反感もあるのですが、それ以上に、 「そんな簡単な言葉で、加害者の気持ちが分かったような気になるなよー」という怒りです。 加害者側の動機を安易に決め付ける行為は、 被害者の無念さを無視する行為に等しいのではないかと思っています。 新聞やテレビが報道する事件の「真相」によって、 この世の中は、本当に、ぺらぺらの薄さしか持たないつまらない社会に 成り下がってしまったような気がします。 本作では、殺人を犯してしまった男、死を引き寄せてしまった女、 そんな男女に全く想像力が追いつかない男、反対に共感しすぎてしまう女、 アンバランスな人間ばかりが登場します。 明るい社会であれば、そういうアンバランスな人間同士が 支えあい、凸凹を補い合いながら、日々の生活を幸せに営んでいけるのでしょうが、 暗く行き詰った社会では、凸に足をひっかけて転び、凹に嵌まり込んで身動きが取れなくなる そんな人間ばかりが生まれてしまうのでしょうね。 救いのない社会において、 主人公の男と女が手を差し伸べあった切っ掛けとなったのが、 「出会い系サイト」というのが、より一層、心を暗くします。
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