『ルパンの消息』
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- 2014/06/16(Mon) -
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横山秀夫 『ルパンの消息』(光文社文庫)、読了。
著者のデビュー作だそうで、 すでに、単なる推理モノではなく、警察機構における捜査のあり方を軸にしているところに、 この作家さんの骨の太さを感じました。 高校教諭が高校の屋上から飛び降りた自殺事件は、 実は、殺人事件だった可能性が・・・・しかし、時効成立まであと1日しかない! 時効まであと1日というところで急に真相が立ち上がってきた経緯や 関係者があまりにも事件当夜にこぞって各自の行動を起こしている集中性など、 やや舞台装置の設定に強引さが感じられるところはありますが、 しかし、「如何に15年間隠し続けていた真相をしゃべらせるか」という 取調室でのテクニックや捜査員たちの競争意識を煽った描写に ワクワクしながら読み進められました。 1つ1つの細かな謎にもきちんと答えを用意し、 (多少ご都合主義とはいえ)全体の整合が取れた真相となっています。 それぞれが15年間黙っていた理由も、用意されていて納得。 今回刊行するに当たり、どれだけ手を加えたのかは分かりませんが、 その後のヒット量産が納得できる水準になっています。 物語の中で印象に残ったのは、 高校生活において、これだけ同じ時間を共有し、悪さもし、 また生涯忘れることの出来ない体験をした仲間なのに、 15年経てば、というか卒業してしまえば、別々の人生になっていまうという現実です。 1人は大学に進学し、家庭を持って平穏な日々を送ることに。 もう1人は地上げ屋の手先に、最後の1人はホームレスに。 この事件がほじくり返されなければ、再び交わることのなかったであろう3人の人生。 青春時代って、何なのでしょうかね。 私自身、小・中・高の友達とはFacebookで繋がってはいますが、 では会っているかというと、同窓会で数年ぶりに会うぐらい。 近所の幼馴染もそれぞれの新生活地に散らばっていて、なかなか会う機会がありません。 中でも高校の同窓生が一番縁遠いかも・・・・・。 というわけで、読み終わって遠い目になってしまった読書となりました。
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