『からくりからくさ』
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- 2014/05/11(Sun) -
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梨木香歩 『からくりからくさ』(新潮文庫)、読了。
古民家に同居する女4人と人形1体。 染織、機織、紬といった手仕事と、料理などの日々の生活が入り混じった世界。 しかし、そこに、人形が持つ過去や、織物文化の歴史が流れ込んできて・・・・。 物語を構成するそれぞれの要素は興味深かったのですが、 なんだか1つの作品としての座りが悪いような印象で、 読んでいて読み心地がイマイチでした。 庭で草木を育て、それらを食べ、また染物の材料にするといった爽やかな世界観と、 市松人形が過去に背負った因果話の生臭い雰囲気、 そして中東~東欧の世界が持つ独特の暗さ。 なんとか理屈をこねて話をまとめようとしていますが、 それぞれが臭いを持ちすぎていて、まとまる気配がありません。 むしろ、中盤以降、融合できないまま、いろんなものが臭い始めた感じです。 この小説を面白いと思えた人はそれを「一層高みに昇る発酵」と感じ、 私のような人間は「賞味期限切れの腐敗」と感じてしまうようなものでしょうか。 素材が良かっただけに、 どれも中途半端に終わってしまったのは残念です。 それにしても、女4人が共同生活すると、こうも姦しいものなのですね。 紀久のような大人な感覚の人や、蓉子のような透明な感覚の人や、 マーガレットのような即物的な感覚の人の集まりでさえ・・・。 私には無理だわ(苦笑)。 むしろ、与希子の明るさが救いでした。
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