『エネルギー新時代におけるベストミックスのあり方』
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- 2014/03/28(Fri) -
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橘川武郎、安藤晴彦 『エネルギー新時代におけるベストミックスのあり方』(第一法規)、読了。
先日参加したイベントで無料配布された本。 イベント内では駆け足での紹介だった政策提言について、丁寧に示されています。 たまたま同時並行で読んでいた小説が、原子力を中心とするエネルギー政策の話で、 なおかつ、原子力発電を現実的に捉えるという意味で同じ方向を向いていたので、 お互いに補完しあうような読書となり、分かりやすかったです。 政策自体は、概ね本書での提言内容を支持しますが、 一方で、この提案に対する国民の反応がどうなのか、それが気がかりです。 私は、大学の卒論で原子力産業について扱った関係で、 正力松太郎氏以降の日本における原子力の歴史は一通り調べました。 東海村での臨海事故の直後、日本人は原子力への嫌悪感を示し、 しかも「安全神話が崩壊」「原子力は安全と言っていた政府のウソ」「だまされた!」 みたいな論調がまかり通ってきましたが、 そもそも原子力発電への傾注は国会で決めたことであり、 日本を挙げて、国民自身も「原子力万歳!」みたいな時代が続いていたのは確かです。 そして、もんじゅ事故の後も、臨界事故の後も、のど元過ぎれば・・・・で ろくな議論を行ってこなかった、少なくとも政治家に求めかなったのは日本人自身です。 日本各地で原発誘致反対運動が起きていたにもかかわらず、 そこに関心を払わずに、彼らの苦闘を無視し続けたのも日本人自身です。 そんな国民に、本作で提言されていることは、 正しく理解できるのでしょうか?評価できるのでしょうか? 非常に心許ないものを覚えます。 エネルギー政策を立案し、提言していくことは大事な仕事です。 数十年後の日本の未来を作るうえで、欠かせない要素だと思います。 一方で、同時に、「政治を考える力」をもった日本人を作っていくべく、 政治についての教育を十分に行っていかないと、同じ過ちの繰り返しだと思います。 民主主義は、しっかり考える頭を持った人々の集まりの中では最大限の力を発揮しますが、 考えることができない集団の中では、堕落の一途となる制度だと思います。 公共政策提言シリーズとは別に、国民教育・政治教育の提言にも取り組んで欲しいです。
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