『夜行観覧車』
- 2014/01/18(Sat) -
湊かなえ 『夜行観覧車』(双葉文庫)、読了。

湊作品2つ目ですが、本作も自分本位さ爆発で、人間の嫌なところ満載ですね。

冒頭、殺人事件が起きた家の向かいの家での母娘の会話で始まりますが、
「反抗期」と呼ぶにはあまりにも粗暴で攻撃的な娘の言葉に、正直うんざり。
他人の家の実態までは分かりませんが、ここまで酷い家庭は自分の周りにはなかったような。
少なくとも我が家は違ったので、「なんで、自分の親に向けてこんな言葉遣いをするんだろう」
というか「誰が相手でもこんな汚い言葉を口にすることがストレスだわ・・・」というのが実感です。

でも、この母親の思考停止状態にも、これまたうんざりさせられます。
なんで考えないのだろうか、なんで想像しないのだろうかと。
父親は、輪をかけて現実逃避をする様で。

そして事件が起こったお向かいの家。
医者の父親、後妻で入った美人の母親、そこそこの出来だが女のために自由な娘、
男ということで過度の期待をかけられる息子。
それぞれに溜めているものがあるのに、表面的には仲の良い上流階級家庭。
典型的な気持ちの悪い家族です。

なんで、これほどに不気味な家庭が向かい合わせになっているのかというと、
高級住宅地として宅地開発されてきた「ひばりが丘」の姿が・・・・。
コミュニティ形成のプロセスが、どこか歪だったのだろうなと思わせるに十分な隣人達の動向。

人間の嫌らしさ、本性、悪意が、様々な角度から描かれており、
決して気持ちの良い読書にはならないのですが、読む手を止められません。
この作家さんについては、改めて凄いと実感させられました。

そして、本作で「ひばりが丘」の住人を象徴していると感じたのが、
「権利」「責任」「義務」という言葉の連呼。
学校の授業では学びますよ。概念としては理解してますよ。大事な概念だと思いますよ。
でも、日常会話で使う単語じゃないですよね。
誰かに向かって投げつける言葉でないと思います。
あくまで人々の間で共有するための言葉だと思います。
こういう言葉を平気で他人に(しかも家族に!)投げつけられる人間性が、
本作に登場する人物達の気持ちの悪さを象徴していると思いました。


夜行観覧車 (双葉文庫)夜行観覧車 (双葉文庫)
湊 かなえ

双葉社 2013-01-04
売り上げランキング : 12363

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  湊かなえ | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<『経営財務入門』 | メイン | 『悪党たちは千里を走る』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/3632-355b488f
| メイン |