『借金取りの王子』
| ||
- 2014/01/11(Sat) -
| ||
垣根亮介 『借金取りの王子』(新潮文庫)、読了。
首切りシリーズ(と呼んで良いかわかりませんが)の第2弾。 ようやく100円で見つけることが出来ました。 様々な企業に出向いて、 その企業の都合で首切りを行っていくわけですが、 本作は、その「リストラ」という場面に着目したということだけでなく、 主人公とゲスト(首を切られる側)との距離感が、 非常に上手いんだなということに、今回ようやく気づきました。 リストラの面接の結果、 自主的に辞める人、最後まで抵抗しながら辞めさせられる人、辞めずに済んだ人、 それぞれの人に、それぞれの事情があるのですが、 主人公である首切り側には、原則、その事情が分からないままなんです。 だからこそ、純粋に、面接の時点でのやりとりにリアリティが出て、 主人公側が「上手く面接を進められた=勝った」と思っているケースもあれば、 「なんで、そんなにすんなり退職を受け入れるんだ?=負けた」と思うケースもあり、 人間を見る目の難しさということを、実感できます。 下手な小説では、主人公側が、変に面接対象の個人的事情を知ってしまう展開を作り、 リアリティのない肩入れの仕方や、不自然な感情を持ってしまったりするものです。 そんな要素を取り入れず、純粋に、面接官と被面接者の関係内で物語る。 そこで、主人公の彼女や、面接パートナーといった 女性の視点も活きてくるというもので。 というわけで、第1作よりも、一層楽しく読むことが出来ました。 満足、満足。
![]()
|
||
コメント |
コメントの投稿 |
トラックバック |
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/3621-f6acf466 |
| メイン |
|