『最悪』
- 2013/12/22(Sun) -
奥田英朗 『最悪』(講談社文庫)、読了。

ガッツリ分厚い小説を久々に。

カツアゲとパチンコで生計を立てる野村、
町工場を経営する川谷、銀行のOLみどり、
重なり合うことがないはず3人の人生が、
それぞれが少しずつ道を外しあうことで、ある日、一度に衝突することに!

これは、犯罪小説なのでしょうか。
計画性の無い犯罪の場面に居合わせたがために、
犯罪に引き寄せられるようにいつのまにか犯罪の主人公になってしまう。
「逃げ場の無さ」や「思考が耐え切れず流される様」が非常によく描かれています。
それはやはり、犯罪に至るまでの三者三様の過程が丁寧に描かれているからだと思います。

この3人に限らず、登場人物たちそれぞれに言い分があるのでしょうが、
唯一受け入れられなかったのが、川谷の鉄工所の向かいのマンションに住む太田氏。
この作品に出てくるどの登場人物も、自分の置かれた立場の中で
「仕方が無い」とか「諦める」とか「妥協する」とかいう思いを味わい、
一方では、無理難題を他人にふっかけているという「疚しさ」のようなものを
心のどこかに抱きながら生活をしています。
しかし、この太田氏だけは、「疚しさ」など一片も持たずに生きているのです。
そう、「私は正しい」「私の主張は正義だ」という類の人種です。

あーーー、苦手!

太田氏と川谷が交渉している場面は、イライラして仕方がありませんでした。
最後、ちょっと太田氏が退散する場面が数行語られていますが、
その心中までは分かりませんでした。
反省したのかしら???

奥田英朗の犯罪小説は、
登場人物だけでなく、読者をもどこか追い詰める息苦しさがあるのですが、
それも作品の力だと思います。


最悪 (講談社文庫)最悪 (講談社文庫)
奥田 英朗

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