『出口のない海』
- 2013/12/01(Sun) -
横山秀夫 『出口のない海』(講談社文庫)、読了。

これまで、横山作品は警察小説や推理小説の「犯罪まわり」の話ばかりを読んできましたが、
本作は太平洋戦争もの。しかも、特攻隊が舞台です。

「推理小説作家の特攻モノって、どうかなぁ・・・・」と
正直、買うかどうか迷いました。

で、読んでみて、やっぱり、横山秀夫作品として読む必要はなかったかなぁ・・・というのが
正直な感想です。

主人公をはじめとする登場人物たちの言動や思考回路、
さらには彼らが住んでいる時代の描写が、
どうにも現代的過ぎて、昭和10年代後半という印象を持てませんでした。
「今」過ぎるんです。
野球部の面々も、マスターも、美奈子も。
特に、美奈子とのくだりは、非常に違和感を覚えました。

ただ、後半、回天の操縦を覚え、人間魚雷としての生き方もしくは死に方が
物語の前面に出てくるようになってからは、読む手を止められませんでした。
特に、主人公の周囲にいる、北、沖田、佐久間の口からこぼれる
彼らの人生観が、非常に興味深かったです。

出撃シーンは、久々に本を読んでいて、涙があふれてきました。
彼らの戦績が、どの程度戦況に影響を及ぼしたかは分かりませんが、
こういう人たちの思いが重なって、今の日本があるのだろうなとは思います。

一方で、やっぱり主人公の「今」風な思考の描写には不自然さを感じます。
特に、終盤の音楽室で、思いを語るシーン。
あの時代に、こんな境地に至るというのは、よほどの異端児ではないかと思うのです。
これは戦後世代が戦争を「歴史の一部」として見るからこその考え方だろうと思います。

てなわけで、共感と違和感が綯交ぜになった読書でした。
特攻については、フィクションではなくノンフィクションできちんと押さえるべきですね。


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横山 秀夫

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