『懲戒解雇』
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- 2013/11/29(Fri) -
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高杉良 『懲戒解雇』(講談社文庫)、読了。
高杉作品3作目なのですが、 今まで漠然と感じていた「肌の合わなさ」感が、ようやくはっきりしました。 それは、著者が書く主人公に魅力を感じられないことに尽きます。 本作では、日本トップの素材メーカーに勤めるエリート社員が主人公なのですが、 一部の役員の暴走を止めようと、社長・副社長にいきなり「建白書」なるものを 郵送して対決しようとします。 この行動が、あんまり賢い行動に見えないんですよねー。 信頼できる上司にも、同期にも相談せずに、 独りで突っ走ってしまうんです。 あんまり、先の展開を読んだ行動には見えません。 中盤で、主人公の同期たちが集まって主人公の行動に賛否するシーンがありますが、 技術屋の同期として出てくる人物が、主人公と距離を置いた発言をするに及んで、 「そりゃ、そうだよなー」と共感してしまいました。 主人公が敵対する役員は、ヤクザみたいな態度と口のきき方で、 とてもリーディング・カンパニーの社長の座を狙う人の言動ではないのですが、 かといって主人公にも共感できず、イライラの募る読書になりました。 なんだか、高杉作品を読んでいると、ストレスが溜まります(苦笑)。 世の中の男性サラリーマンにとっては、 これぐらい組織の常識に刃向う主人公を讃えたくなるのかもしれませんが、 最後に自分も割を食っていては、それこそ喧嘩両成敗のように思えてしまいます。 もっと賢く立ち回る主人公の話が読みたいものです。
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