FC2ブログ
『異常気象と人類の選択』
- 2013/11/22(Fri) -
江守正多 『異常気象と人類の選択』(角川SSC文庫)、読了。

地球温暖化論を勉強するなら、
やはり政府レベルで理論を支えている人の本が良いだろうと思い、
久々に本屋で新品を買ってきました(笑)。

以前、気象学会の公開シンポジウムで温暖化問題が取り扱われた時に、
パネラーの1人として著者が参加していて、お話を聞く機会がありました。
その時は、本作の後半でも触れられている
「政策決定と決定責任」という話を中心に展開されていたので、
まともなことをきちんと分かり易く説明する人だなぁ・・・という印象でした。

温暖化論を語る際に避けては通れない「政治」の話について、
政府側の人としては、結構あからさまに書いていて、読み応えがありました。
結構、素直に本音を語る人だなとも感じました。

一方、温暖化論を支持するか懐疑するかで言うと、当然、政府側の人なので、
地球温暖化論を支持しているのですが、これについてまとめた前半は、
ちょっと疑問が浮かんでくる内容でした。

地球温暖化という事象をどう捉えるか、
シミュレーションの正当性や妥当性をどう評価するか、
これはもう、100年という時間軸で考えることである以上、
自然科学と言うよりも価値判断に近いと思うので、
支持するか、懐疑するかは、人それぞれだと思います。
(トンデモ系じゃないという大前提はありますが)

著者は比較的まともに温暖化論を論じているとは思うのですが、
ところどころ、温暖化賛成派に誘導しようとするような表現の歪みが気になり、
批判的な目を持たない論戦素人を賛成派に引きずり込んでいるのではないかと
どうしても勘ぐってしまうんですよねー。

例えば、「はじめに」で、本書では「地球温暖化」は「気候変動」と同じ意味と断っています。
本来「気候変動」は、上がったり下がったりという動きを指す言葉なのに、
「今後の気候変動は気温上昇しかないんだ」と思わせるような定義の仕方だと思います。
他にも「気候システム」は、「気象学や海洋物理学の法則に従ってエネルギー、水、
運動量が形を変えること」という趣旨の定義をしており、
なんだか、まるで、全ての法則が分かっているかのような印象を与えます。
これは「温暖化のシミュレーションは相当正確にできている」といった印象に繋がったり
さらには「気候変動はシミュレーション可能」というそもそもの前提を置いているように
感じさせる言葉だと思います。
シミュレーションに投入する様々な気象要素について、どこまで正しく人間が把握し
分析できているか怪しいものだと私は思ってます。

このような、ミスリードに繋がりかけない言葉遣いの積み重ねが、
どうしても気になってしまいました。

比較的まともだと思われる論者の本でさえ、これほど気になってしまうので、
本選びに失敗すると、とんでもないイライラ感を味わってしまいそうで、怖いです。


異常気象と人類の選択 (角川SSC新書)異常気象と人類の選択 (角川SSC新書)
江守 正多

角川マガジンズ 2013-09-10
売り上げランキング : 14566

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<舞台ですとー | メイン | 『カミナリの科学』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/3558-67d35ad6
| メイン |