『ベーコン』
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- 2013/11/19(Tue) -
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井上荒野 『ベーコン』(集英社文庫)、読了。
面白い短編集でした。 作品の持つ世界観にどんどん没頭していけるというか・・・。 どの短編も、食べ物が物語のキーアクセントになっていますが、 それ以外には主人公の年齢も立場も様々で、10歳がいれば、老年の女性もいる。 非常にバラエティに富んだ内容になっています。 各作品の共通項を、解説では「ふりをしている」というキーワードで捉えていましたが、 私も、近いニュアンスで「突き詰めては考えずに流される」ということを 思い浮かべました。 真実を認識したくないから、怖いから、不快だから、 様々な理由で、主人公は、うすうす気づいていることから目をそむけ、 空っぽの頭で流されていくことを選んでいるように感じました。 それが必ずしも悲しい結末や後悔する結末にならないところが、 人生の面白いところなのかもしれません。 ひょんなことから、丸く収まることもあるのです。 そういう点で、深みのある作品集だと感じました。 とりあえず、登場するどの料理も美味しそうで、 食事改善中の身としては、我慢するのが苦しかったです(苦笑)。
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