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『愚行録』
- 2013/11/04(Mon) -
貫井徳郎 『愚行録』(創元推理文庫)、読了。

相当久しぶりの貫井作品となりました。
なかなか100円で見つけられないんですよねー。

さて、本作ですが、誰もが羨む生活をしていた一家が惨殺されるという事件が発生。
その関係者たちのインタビュー集という形をとっているので、
最初は、宮部みゆき作品の『理由』みたいな流れを想像していたのですが、
何人かのインタビューをこなすうちに、
惨殺された夫婦の表面と裏面が分かってきて、その二面性にゾッとしました。
そして、関係者の中でも、その二面性に気づいている人の黙認している残酷さと
気付いていない人の愚かさ、それぞれが分かってきました。

うーん、人間って、怖い!

各インタビューの途中で、誰だか分からない兄妹の対話が妹目線で差し込まれます。
この妹は、登場人物の中のこの人かな?と当たりを付けていましたが、違ってました。
予想が外れたから言うわけではありませんが、
このパートは、私は、あまり存在意義を感じませんでした。

この作品を読むとどうしても頭に浮かんできてしまう世田谷の事件が未解決なため、
本作も犯人は不明のまま終わらせても、
「関係者の愚かさ」を描くには十分だったのではないかと思ってしまいます。
逆に、真犯人には、あまり説得力がなかったような気がしました・・・。
貫井さん的には『プリズム』があるので、犯人ウヤムヤは止めようとしたのかもしれませんが。

と、不満を書きましたが、作品自体にはのめり込めました。
特に、夫婦それぞれの人間性を語るうえで「早稲田卒の旦那」「慶応卒の嫁」というところが
重視されていて、興味深く読みました。
大学を実名で出して、ここまであからさまに学風というか学生の気質を描き、
しかもぶった斬るというのは、なかなか勇気がいることだと思います。
早慶ですから、日本の中軸を敵に回すような行為ですよ(爆)。

私は都下の国立大の出身なので、あまり都内の私立大学の人とは付き合いがなくて、
早慶の文化にも詳しくはないのですが、
一度、慶應の三田祭に行ったときに、学生さんの雰囲気があまりに自分たちと違うことに
ショックを受けて帰ってきたことがあります。
まさに、「都会の金持ちのご子息・ご令嬢様がた」というような感じで目に映りました。
一緒に行った友人たちも同様に感じたようで、早々に引き揚げてきました。

私はそれ以降、大して慶應大との接点は持たなかったのですが、
その日一緒に行った友人の中には、彼らに憧れて、インカレの繋がりを利用して
慶應生と友達になろうと努力していた男の子たちも居ました。
(友達になれたのかは聞いてないですが・・・・)
そんな記憶があったので、「内部/外部」の区別を興味深く読みました。
私の友人の男の子たちは「外部のさらに外部」に連なっていたのかなと。

でも、慶應や早稲田は、プライドが高いインテリ層が集まり、
かつ世間の注目も集める学校なので、このように極端に表現されてしまいますが、
学校ごとに排他的な文化って、やっぱりありますよね。
しかも、インテリ学校ほど、下界を排除しがちだと思います。
選民意識がありますから。自分もそうです。
自分たちでは「我が校の有意義なOB人脈」なーんて美しく表現してますけど。

「どこの大学に行くのかはしっかり考えて検討しろ」という大人の助言はその通りだと思います。
卒業後にネームバリューが誇れるとかいう表面的な話ではなく、
どれだけ人生において使えるネットワークが構築できるかが、大学の大きな価値だと思います。
研究者になる人を除いては。(研究者業界も結局はコネなのかもしれませんが・・・)

というわけで、「受験戦争を勝ち抜いたぞ!」と思っている人々にとっては
結構、残酷な作品だと思いました。
当人にとっては、ブラックな面白さでした(苦笑)。


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