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『悪夢のサイクル』
- 2013/09/01(Sun) -
内橋克人 『悪夢のサイクル』(文藝春秋)、読了。

久々に内橋克人の名前を見かけたので、買ってきました。100円だったし。

新自由主義に対して、批判的な論陣を張っています。
基本的に私は、自分の志向がソーシャル・ダーウィニズム的だと自覚してるので(苦笑)、
この本の論旨には賛同しにくいことは分かっていたのですが、
ま、食わず嫌いも良くないですから、とりあえず。

で、読んでみて思ったのは、
過保護な経済は、穏やかな衰退か急変での滅亡の、どちらかになるのではないかという懸念。

「競争こそ全て!」という世界では、確かに疲弊します。
常に誰かを出し抜くことを考えている輩が跋扈しますから、オチオチ寝ていられないかも。
でも、本当の競争に勝つには、適度な休息や気分転換によるエネルギー充填が必須であり、
それがバランスよくできる人が、長期的には勝者になると思います。

そういう人生って、メリハリが利いてて、素敵な人生だと思うんですよね。
分かりやすく会社員の生活で言えば、平日5日はしっかり働き、自己研鑽もし、
休日2日は、楽しく遊んで、適度に休息をとる。
これって、個人も企業組織も国家も理想とする幸せなのではないでしょうか?

素人思考ですが、
新自由主義が本来目指す世界というのは、こういう世界なのではないでしょうか?
一部の過激な人間が、新自由主義という言葉の下で、搾取を行ったために、
本来の姿とは異なる印象が、特に負け組の人々に植え付けられてしまったのではないかと。

私は、大学で社会学部に在籍しましたが、学部の壁が低い学校だったので、
他の学部の授業にもチョロチョロ顔を出していました。
日本で、いわゆる優良企業と言われて称賛されている企業を題材にしても、
経済学部、商学部、社会学部の観点では、全く切り口が違います。
同じ学部においても、先生によって、全く取り上げ方が異なってきます。

例えば、トヨタの自動車工場を、ジャストインタイム方式の面から称賛する人々と、
自動車絶望工場のような観点から批判する人々がいます。
同じ企業の同じ工場を分析しても、こうも結論が異なるものかと驚きました。
同時に、見ている人の主観により、「事実」なんていくらでも変化するのだと分かりました。
「誰もが認める事実」など無く、「真実」などはこの世に無いのだと。

この本に、リナックスの話が載っていましたが、
直前に読んだ梅田氏の著作と比較して、こうも捉え方が違うモノかと実感しました。
それぞれにリナックスの行動原理を好意的に評価しているのですが、
観点が全く異なり、そこから得られる結論は、きっと正反対のものです。

私は、強い国家または強い人間社会を作るには、
「新自由主義を採用すべきだ」「新自由主義ではダメだ」と取捨選択するのではなく、
社会の揺らぎ、変化に対応できる強い人間を作ることに心血を注ぐべきだと思います。
民主主義という政治の仕組みの下で国家運営を行っている以上、
選挙の結果により国政の方針が短期間に大きく変化するリスクを負っています。
ただでさえ、社会の変化が早く、激しい時代なのですから、
政権交代で方針が大きく転換されるなどの急な変化が起きた時に、
何が起きたのかを自分なりに分析でき、かつ、では自分はどうすべきなのかという判断を
できる人間を育てるべきです。

1人1人が、社会全体のことを考えて行動することは難しくても、
自分がどうあるべきか、どう生き残るかを考えて行動することはできるようになるべきです。
新自由主義の良いところは、「自分の頭で考えないヤツは苦労しても仕方がない」と
割り切っている点にあると、私は思っています。

保護される層が増えれば増えるほど、社会全体の変化への耐性は低下します。
「自分で自分の人生を切り拓け」というエールとして、本作は、反面教師にさせていただきます。


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