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『予定日はジミー・ペイジ』
- 2013/03/31(Sun) -
角田光代 『予定日はジミー・ペイジ』(新潮文庫)、読了。

「妊娠小説」と言えばよいのでしょうか。
特に望んでいたわけではない妊娠をしてしまった女性が主人公。
嬉しさを感じることができず、かといって嫌なわけでもない。
中途半端な気持ちのまま、盛り上がる周囲とのギャップを受け止めきれない日々。

私自身は妊娠したことがないので、あくまで想像の世界で読むしかないのですが、
なんだか、こういう気持ち、分かるような気がしてしまいました。

読みながら思い出したのは、
「障害者全員が清らかな心を持っているわけではない」という主張。
全然指している事象の内容は違うのですが、
「世間一般」にいる自分と、「特殊な環境・状況」にいるあなたとを比較し、
「特殊な環境・状況」に対して画一的な価値観を押し付けてしまうところに
「世間一般」側の傲慢さを感じてしまいました。

必ずしも妊婦全員が、最初からピュアに赤ちゃんの誕生を喜べる訳ではないということは
当然のことなんだろうけれど、みんな「おめでとう!」と声をかけてしまいますよね。
意外とプレッシャーに感じている妊婦さんもいるのかなと感じました。

しかし、そんな感情からスタートした主人公も、
次第に状況を受け入れ、赤ちゃんの誕生に心が向かっていくようになります。
決して、無理やり前を向こうとしたのではなく、
すんなりと感情が移っていき、また、時には気づいたらそうなっていたという
自然な流れが描かれていて、経験したことのない私も納得しながら読んでました。
それはまるで、赤ちゃん自身、母体自身が、そのように仕向けているかのような
不思議な流れです。

読み終わり、非常に温かい心になる作品でした。


予定日はジミー・ペイジ (新潮文庫)予定日はジミー・ペイジ (新潮文庫)
角田 光代

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