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『名残り火』
- 2013/03/17(Sun) -
藤原伊織 『名残り火』(文春文庫)、読了。

『てのひらの闇』の続編であり、また著者の遺作となった作品です。
改めて、若くして亡くなられたことを惜しいと思わせる濃い内容でした。

飲料品メーカーの合併劇の結果、退職して零細マーケティング会社を起こした主人公。
メーカー時代の同僚は、流通企業の役員となっていたが、
役員を辞任後に暴漢に襲われ重傷、その後、容体が急変して亡くなった。
オヤジ狩りと思われていたが、その真相は・・・。

スピード感のある展開、諧謔の効いた会話、知的レベルの高い登場人物たち、
いおりんワールド健在です。
そして、関係者たちが、過去からやたらと繋がっているところも、
真相の方から主人公の元へ飛び込んでくることも、いおりんワールド(苦笑)。

謎解きの展開としては、いつも「都合よすぎじゃない?」と思ってしまう幸運な偶然が
本作でもいくつか起こるのですが、スピード勝負のハードボイルド作品は
こういうものなのかもしれませんね。

それよりも、今回は、三上社長という豪快なおじさんが登場し、
またまた楽しませてくれました。
登場シーンだけ読むと、敵なのか味方なのか分からない存在、
私は、むしろ黒幕側の匂いを嗅ぎ取ってしまったのですが、
このキャラクターが作品中に与える味付けが面白かったです。

警察の関根警部補も、腹の座った人物で興味深く、
また、ナミちゃんの炸裂ぶりも筋が通ってます(笑)。
一人可哀想なのは大原。
中盤で、主人公との関係に何らかの変化が起こりそうな種を蒔かれながら、
結局、本作中では大きな進展を迎えられないという扱いに。
良いように利用されて(「主人公に」という意味だけでなく「作品に」という意味も込めて)
終わってしまったような気がします。

あと、亡くなった元役員の妻の最後の行動も、
以前に他のいおりん作品で感じた「女性キャラの感傷的な扱い」に感じた不満を
本作でもやはり感じてしまいまいました。
それまでの、彼女の行動・思考と、最後行動が上手く結びつきませんでした。

ま、でも、作品自体にはのめり込むように先を読みたくなったことは確か。
面白い作品でした。


名残り火―てのひらの闇〈2〉 (文春文庫)名残り火―てのひらの闇〈2〉 (文春文庫)
藤原 伊織

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