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『気張る男』
- 2012/12/01(Sat) -
城山三郎 『気張る男』(文春文庫)、読了。

明治の大実業家・松本重太郎の人生を描いた作品。
・・・・・なんですが、当人を、わたくし、存じ上げませんでした。無知ですなぁ。
「西の松本、東の渋沢」なんだそうで、渋沢栄一は、自分自身にも縁があるので
興味を持っていたのですが、関西にも、そういう立派な人物がいたとは。

丹後の国に生まれた主人公が、
京都へ出、さらに大阪へ出て店を出し、やがて銀行業に乗り出していく。
そこからは、渋沢同様に、基幹産業の立ち上げに関わるようになり・・・。
とまぁ、目覚ましい活躍なのですが、城山小説にしては珍しく、
結構、淡々とした描写というか、説明文的な描写が続くように感じました。

立ち上げの苦労や、成功をみなと喜ぶ姿から、
あまり迸るエネルギーみたいなものを感じ取れませんでした。

反対に、1900年頃の恐慌に際して、経営する企業が深刻な不振に陥り、
経営する銀行が破綻するに及んで、
個人資産を「悉皆出します」と言ってから後の描写は、
松本重太郎という人の目線で物語が語られているかのようで、
非常に人間味を感じました。

解説で、著者は「悉皆出します」というフレーズを書きたかったのだと書かれていたことに納得。
この言葉を発してから後が、主人公の本質に迫れているように思いました。

裸一貫から西日本の実業を束ねるようになり、そこから零落。
しかして、貧すれど心は豊か、家族も温かというのは、素晴らしい人間性があってこそ。
明治の夢を体現していた人なんだなと思いました。


気張る男 (文春文庫)気張る男 (文春文庫)
城山 三郎

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