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『ハチはなぜ大量死したのか』
- 2012/11/04(Sun) -
ローワン・ジェイコブセン 『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、読了。

いろんな書評で見かけることが多かった本書。
久々に自然科学系の読書です。

「ハチはなぜ大量死したのか」なーんてタイトル出されたら、
当然、その原因解明を期待しますよね。
しかし、本作の中では、そこまで辿り着きません。
可能性のある仮説を幅広く扱いながら、どれも真犯人ではないという結論。

後でWebで調べたら、「蜂群崩壊症候群」は今もって原因が分かっていないようです。
つまりは、釣りタイトルにやられた私・・・(哀)。

原題は”Fruitless Fall”、つまり「実りなき秋」。
これって、「沈黙の春」と対になるタイトルですよね。
この著者の意図を完全に無視した邦題はいただけません。
「実りなき秋」だったら、「いったいどんな現象が起きているんだろうか」という方に
関心が向いたと思うんですよね。
その場合は、本作の内容が見事に答えていて、「そもそも養蜂業とは」
「どんな歴史を踏んできたのか」「誰がどんなふうに気づいたのか」「そして今」
みたいな構成で、幅広く状況を理解できるので、とても分かりやすいと思います。

これは、出版社がセールスに色気を出して、作品をダメにした事例だと思います。

さて、さて、文春批判は置いておいて、内容ですが、
日本では、欧米ほどにハチミツ文化が浸透していない分(というのは言い訳ですが)、
そもそも養蜂業というものがどんな役割を果たしているのか理解していませんでした。

果樹園と養蜂業の切っても切れない関係、しかも全米を股にかけた仕事に、
米国流の工場型農業というものを改めて実感しました。
ここまで仕組み化してしまう思い切りの良さには驚きますが、
しかし、人間が描いた1つのストーリーの上に
様々な生物を無理やりに載せているがために、何かが起きた時の耐性は
非常に弱いだけでなく、仕組みの崩壊の先に生物の死滅があるという
これまた恐ろしいリスクを孕んでいます。

人間は、他の生物に何かを強制するだけの力を持ってしまったが、
環境が一つ変われば、それに対処するだけの知恵と機転がない。
だから、愚かな人間は、神のように振る舞ってはいけないのだ。
そういうことを感じさせてくれる作品でした。


ハチはなぜ大量死したのかハチはなぜ大量死したのか
ローワン・ジェイコブセン 中里 京子

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