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『宇宙からの帰還』
- 2006/06/09(Fri) -
立花隆 『宇宙からの帰還』(中公文庫)、読了。

柳田邦男氏がトム・ウルフ『ザ・ライト・スタッフ』と本作を併せて紹介しており、
前者が非常に面白かったので、本作も読んでみました。

宇宙空間を体験した宇宙飛行士たちの内面の変化を
本人たちへのインタビューを基に描いた作品。

『ザ・ライト・スタッフ』を既に読んでいたことで、
米国の宇宙航空史がそれなりに頭に入っていたので、
社会背景や宇宙飛行士個々人のキャラクターについて
イメージが湧きやすかったです。

彼らのインタビューの中では、
特に「神」「宗教」というトピックスで語られる「人間」についての
考察が興味深かったです。
科学信奉者であり即物的であろうと想像していた宇宙飛行士は、
熱心な信仰者であったり、「創造」を肯定していたり、
宇宙空間で神の顔に手を触れたり・・・
神の存在を肯定しつつも科学的見地と折り合いをつけようと
既存の宗教ではなく、
自分なりのロジックで語っている人物の言葉に惹かれました。

特に、エド・ギプスンの、科学は「いかにして」しか説明できない、
「なぜ」という質問には答えられない、という趣旨の不可知論や、
ラッセル・シュワイカートの、地球と人間の関係は、
人間と人間の体内に住むバクテリアに過ぎない、という比喩による説明が
興味深かったです。

また一方で、帰還後に精神に異常を来たしてしまった宇宙飛行士の件では、
この宇宙飛行士個人が持つパーソナリティに由来する面が大きいとはいえ、
「燃え尽き症候群」的な精神疲労は誰もが感じうるであろう要素であり、
その転落していく様子には、恐ろしいものを感じました。

宇宙からの帰還
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コメント
-はじめまして♪-
TB&コメントを ありがとうございました
刊行されて ずいぶん時間のたつ本なのに 読み継がれている本なのですねぇ
知人の紹介で手に取る機会があった本でしたが 今となっては出会えたことを嬉しいと思える本です

>「燃え尽き症候群」的な精神疲労は誰もが感じうるであろう要素であり、
その転落していく様子には、恐ろしいものを感じました。

   これは ほんとにそうですよね
   痛ましく思いました

こちらからも TBさせていただきました
2006/06/12 00:49  | URL | 華やぐ時間 #c.qtUUI2[ 編集] |  ▲ top

-ありがとうございます-

華やぐ時間さま、コメント&TBありがとうございます。

宇宙飛行士達に様々な影響を与えたことを思うと、宇宙探索というものも、なんだか神聖な領域を侵しているような気にもなり、畏怖を感じます。

科学と人間というものを考えるには、とても良い本ですね。
2006/06/12 01:51  | URL | かもめ組 #obYDgEv2[ 編集] |  ▲ top

-TBありがとうございました-
こんにちは!
お越しいただき、ありがとうございました。
科学の最先端に接していながら、神への信仰に向かう姿というのが、宇宙というものの底知れぬ魅力につながっていきますね。
さすが、立花隆さん。うまくまとまっている本だと思いました。
2008/08/22 08:19  | URL | sakura-kanade #-[ 編集] |  ▲ top

--
sakura-kanedaさま、CMありがとうございます。
自然科学と哲学・宗教は、紙一重なように思います。まさに、かつては世紀の科学者=大哲学者であったように。
宇宙もそうですが、地球の自然も、探求すればするほど、人間の本質に向き合うようになるのではないでしょうか。
2008/08/22 20:52  | URL | かもめ組 #obYDgEv2[ 編集] |  ▲ top


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