FC2ブログ
『ぼくが世の中に学んだこと』
- 2012/07/12(Thu) -
鎌田慧 『ぼくが世の中に学んだこと』(ちくま文庫)、再読。

実家にちょっと寄った際に、
「最近、ビジネス本とか、支配者側の視点の作品ばっかり読んでたなぁ・・・」と思い、
本作を持ってきました。
ま、反動ありすぎですが(苦笑)。

学生の時に、最初の授業で課題図書だったのが『自動車絶望工場』でした。
その後、その流れで鎌田慧を読むことが多かったです。
本作も、学生時代に一度読んだ作品です。

前半は、著者が金の卵として東北から東京に出てきて、
その後、職を転々とし、労働運動に巻き込まれ、最後はその世界に自ら飛び込んでいくという
作家・鎌田慧ができるまでを描いています。
後半は、『自動車絶望工場』の取材を中心とした、ルポの取材日記。

以前、『蟹工船』を読みましたが、
舞台が北洋の船上よりも、工場労働のほうがイメージが湧きやすく、
本作のほうが、そこに身を置く人の絶望感など刺さってくるものがありました。

学生の頃の自分が、読みながら線を引いたあとが残っていて、
著者の苦悩のシーンなどにたくさん線があることに、「青いなぁ・・・(苦笑)」と感じてしまいました。

でも、こうやって、真摯に自分の生活や仕事と向き合う人の姿って、
とても大事なことだと思います。

社会人になって、さすがに鎌田慧の本を読み続ける習慣はなくなってしまいましたが、
たまには、こういう視点を思い出すのも必要ですね。

ただ、一つ引っかかったのは、こういうルポルタージュが、
工場労働者というか、技術系労働者の立場を無闇に引き下げているのではないかということです。

自動車工場ともなれば、基本的には、専門的な技能を要しない単純労働に細分化して、
初心者がすぐにでも作業に入れるように、また要員の入れ替えが利くようにしてあるはずなので、
本作で描かれているような世界について、まぁ、そうだろうなと思います。

ただ、工場以外の技術系労働者について、
協力会社=下請け=3Kの単純労働者みたいな理解が一般化しているような気がします。
例えば、鹿島建設の水島コンビナートでの事故では、
海底トンネル内での作業を協力会社の方がやっていて犠牲になられましたが、
専門技術を持っている特殊なスタッフがいる協力会社という側面もあるのではないでしょうか?

それが、事故の報道の直後から、「本体の社員は危険な仕事をせずに、下請けがまた犠牲に」
というような受け止められ方をしていたように感じました。
この事故を詳しく調べたわけではないので、事実は3K労働としての下請け仕事だったのかも
知れませんが、なんでもかんでも下請けは可哀想な仕事と捉える風潮は、
専門スキルをもってプライドある仕事をしている協力会社の人々に対して失礼だと思います。

3K労働の現場があること、そして、そこで働く人々がいることを知ることは大事ですが、
一部を知ることと、全てを知った気になることは全く違うことなので、
自分も、世の中を知ったつもりになってしまわないよう、気をつけたいと、改めて感じました。


↓ちくま文庫版の画像が出てこなかったので、岩波文庫版を貼っておきます。

ぼくが世の中に学んだこと (岩波現代文庫)ぼくが世の中に学んだこと (岩波現代文庫)
鎌田 慧

岩波書店 2008-05-16
売り上げランキング : 47018

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

自動車絶望工場 (講談社文庫)自動車絶望工場 (講談社文庫)
鎌田 慧 本多 勝一

講談社 1983-09-08
売り上げランキング : 65453

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  鎌田慧 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<ダイビング @串本 | メイン | 『MBAマネジメントブック』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/2969-d9efc999
| メイン |