FC2ブログ
『八日目の蝉』
- 2012/05/20(Sun) -
角田光代 『八日目の蝉』(中公文庫)、読了。

角田作品の中では、一番有名といってよい作品でしょうか。

生後半年の赤ちゃんを誘拐してしまう主人公、
その衝動的な誘拐の直後から、「娘」と2人きりの逃亡生活が始まる・・・・・。

映画にもなったことから、
逃亡劇としてのサスペンス要素が強い作品なのかと思っていましたが、
それよりも、逃亡という設定を用いて、
昭和の終盤~平成あたりの時代を上手く描いているなぁというところに
目が行きました。

バブル前夜で取り残された廃墟のような地域に居残る老女、
共同生活と自然食品を謳い文句にしたカルト的な集団(これってヤ●ギシ?)、
そして、都会の生活から逃れる場所として描かれる小豆島、
時代を上手く切り取っていると感じました。

後半は、その誘拐された側の娘が大学生になったところを描きますが、
彼女が家族や周囲に向ける視線の冷徹さを、興味深く読みました。
特に、父と母への眼差しの冷静さ。
誘拐事件を通して、ダメな男、ダメな女ぶりを日本国中に知られてしまった両親に対し、
どのように振舞うべきかを考え、演じてきた年月を振り返っていきます。

彼女に課せられた、あまりにも思い過去。
それを、じっくり、時に溢れる思いと共に描いていくのですが、
しかし、最後、小豆島を訪れることで、何かしら掴んだような描写で終わるため、
なんとか救われたような気分で読み終われました。

読み応えのある作品でした。


八日目の蝉 (中公文庫)八日目の蝉 (中公文庫)
角田 光代

中央公論新社 2011-01-22
売り上げランキング : 1007

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  角田光代 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<草間彌生展 『永遠の永遠の永遠』 | メイン | ダイビング @福浦>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/2908-9c318198
| メイン |