『白く長い廊下』
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- 2012/04/27(Fri) -
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川田弥一郎 『白く長い廊下』(講談社文庫)、読了。
江戸川乱歩賞作品ということで期待していたのですが、 なんだか期待はずれでした。 事件の真相自体は、医学の専門性が活かされされていたり、 また病院経営や医局制度などの特殊な世界を描いていて、 そこは新鮮に感じたのですが、なにぶん、小説としての出来に不満が・・・・・。 主人公・窪島の事故発生直後の行動が、どうにも解せないんですよ。 患者の死亡は自分の医療ミスではないと主張しようとして、 その手術に立ち会った3人の看護士に話を聞いて回るのですが、 それぞれの看護士に、残りの2名が不審な行動をしてなかったか聞いちゃうんですよ。 しかも、「患者に何か注射していなかったか?」と。 それって、同僚の看護士が患者を殺すところを目撃しなかったかと 聞いて回っているようなものですよね。 何の証拠もないのに、いきなりこんな質問を、同僚に聞いて回るなんて有り得ない! そのあと、どうやって顔合わせて仕事をしていくつもりだったのでしょうか? この件に始まり、主人公の行動は、自分の周囲の人間関係がどうなるのか 何も考えずに行動してしまうようなところが多々見られ、 病院という非常に閉鎖的な職場環境において、 こんなに無神経な人間は存在できないだろうと、リアリティのなさを感じてしまいました。 それとも、医者って、そういう種類の人間なのでしょうか? (作者は現役のお医者様のようですから・・・・・) 他にも、医療廃棄物のゴミをあさるのに軍手姿だったり(ゴム手袋じゃないと危険でしょう!) 年上の技師に対して若造の医者がぞんざいな言葉使いだったり、 とっても細かいところまで目に付いてしまって、作品を楽しめませんでした。 うーん、残念。
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