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『月と六ペンス』
- 2012/04/22(Sun) -
サマセット・モーム 『月と六ペンス』(岩波文庫)、読了。

珍しく名作と呼ばれる作品を。

わたくし、てっきり、タヒチにおけるゴーギャンの話が中心なのだと思っていたのですが、
それよりも、タヒチへ渡る前の、ロンドンやパリでの交流が物語の中心だったのですね。

寡黙な株式仲買人であるストリクトランド(=ゴーギャン)は、
ある日突然、妻と子供を捨ててパリに旅立ってしまう。
愛人との逃避行かと噂が立ち、彼を連れ戻しにパリへと向かった主人公が見たのは、
ボロアパートの一室で、貧しい身なりをして、一人で絵を描くストリクトランドの姿。

このパリにおける、主人公とストリクトランドの対話で、
ストリクトランドの人物像が段々と分かってくるところで
グイグイと物語に引き込まれていきました。

絵を描くということしか頭にないストリクトランドの生活、
他人との交流にさしたる価値を認めていない彼の口から出てくる皮肉の数々。
そして共通の友人であるストルーフェ夫妻との交流。
やがて、この友人夫妻に崩壊をもたらすストリクトランドですが、
彼の絵が持つ魅力に取り付かれた友人達は、
ストリクトランドの繋がりを断ち切ることが出来ず、
やがて一人の女性に死が訪れる・・・・・このあたりの展開は壮絶でした。

今、ゴーギャンの絵は、何人かの独創的なタッチの画家の一人として認められていますが、
当時の絵画の常識からすると、とても受け入れられないものだったんでしょうね。
多くの人が目を背ける中で、その絵に魅入られた人には、不幸が訪れる。
悲しいことです。

やがて、主人公とストリクトランドの交流は絶えますが、
その後、主人公がタヒチを訪れることになり、そこでストリクトランドの証跡を知ることに。

島の人々は、ロンドンやパリの人々とは違う温かさで迎え入れたようですが、
しかし、彼には不治の病が訪れます。

どこにいっても不幸にまとわりつかれるストリクトランドですが、
晩年は、島の女性と一緒に生活をし、子供をなし、そして、毎日のように絵を描く日々。
彼なりに幸せを感じられる数年間だったのかもしれません。

劇的な画家の人生ですが、
これだけ破天荒な人生を送らなければ、
当時の絵画界の常識を打ち破る作品を生むことはできなかったのでしょう。

非常に面白い作品でした。


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