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『その日の吉良上野介』
- 2012/02/05(Sun) -
池宮彰一郎 『その日の吉良上野介』(新潮文庫)、読了。

忠臣蔵事件に関わる人々を通して、この事件を描いた短編集。

浅野内匠頭を短気で、藩主の座には適さない人物として
吉良上野介はその職務に忠実な役人として、
大石内蔵助を、藩政に興味のない藩主に代わって領地を取り仕切る実力者として
それぞれ描いています。

いわゆる一般の「勧善懲悪」な忠臣蔵に比べて、
本作では、吉良の扱いが新鮮に映りました。

松の廊下での刃傷沙汰は原因がよく分かっていないようですね。
この時代の、しかも殿中での事件に関わることであれば、
その原因が類推できる何らかの記録が残っているはずであり、
それが出てこないということは、常人の思考を超えた行動が行われたか、
それとも、幕府を挙げて隠蔽すべき事情があり、歴史から消されたのか・・・・・。
ま、後者は現実的ではなさそうなので、やはり浅野さんに問題があったかと・・・(苦笑)。

その理由を、どれだけリアルに創作できるかが、
忠臣蔵を描く面白さの一つだと思います。
そういう意味では、非常に面白い作品でした。
因果関係に無理が無いんです。

他にも、主要人物以外にスポットを当てた作品も、
その着目の発想が面白く、全編楽しく読めました。

著者は、盗作問題で評価を落としてしまっているようですが、
私個人が楽しむ分には、あまり気にならず、他の作品も読んでみたい作家さんです。
本作の本編とも言える『四十七人の刺客』も面白そうですね。


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池宮 彰一郎

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コメント
--
わたしも誰かの本を読んで(井沢なんとかさん??)吉良さんには実は咎がないのだと読みまして、
「なるほど。そうか」
と、歴史の一方側だけの視点(というか、勝者の歴史)について考えちゃいました。
そういう意味では歴史って興味深いですね。
2012/02/06 09:17  | URL | igaiga #mQop/nM.[ 編集] |  ▲ top

--
igaigaさま

いつもお越し頂きありがとうございます!

庶民向けの舞台の題材にされちゃったりすると、
見てて分かりやすいように「権力側=悪者」になっちゃうんでしょうね。
そもそも歴史って、そのときのお上の意向で編集されるものだと思うと、
何がどこまで正しいのか・・・というか、正しい歴史なんてあるのかさえ
分からなくなっちゃう不思議な世界だと感じます。
2012/02/07 00:30  | URL | かもめ組 #obYDgEv2[ 編集] |  ▲ top


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