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『ナイフ』
- 2011/12/05(Mon) -
重松清 『ナイフ』(新潮文庫)、読了。

「いじめ」をテーマにした短編集。
これは、読んでいて、堪えました・・・・・。

まず、何よりも、いじめの描写が辛い。
容赦なく、淡々と描いていきます。

「クラスみんなでハブにする」という陰湿ないじめ、
いや、もはや、陰湿という表現がそぐわないほどに、公然と行われる「ハブ」。

自分たちの頃の学校は、こんなのだったろうか・・・・。
「こんな『いじめ』は無かった」と断言できたら、ここまで読後感が悪くないように思います。

私の中学校でも、なんとなく皆に避けられていた子はいました。
私も、あまり積極的には関わらないようにしてました。
何か話しかけられたら話すけれども、こちらから話しかけるようなことはしない・・・という感じ。
この本に描かれている内容との違いは何かと考えると、それは程度の差でしかなく、
確かに、いじめに繋がる気持ちは、私も持っていました。
「あれは、いじめではなかった」と、否定できません。
そのことを思い出させて、チクチクと針を刺されるような感覚を、
読みながら、ずっと味わうことになるので、しんどいのです。

これまで、「いじめ」をテーマにした作品は、
どちらかと言うと好んで読んできたように思います。
山田詠美作品も、アンソロジーも読みましたが、
いじめられていようが何だろうが、結局、私は「強い子」が好きなのだと、本作を読んで分かりました。

いじめを受けている子供の目線で冷静に状況を描写し、
いじめをしている子供の幼稚さを嗤い、冷静な被害者の頭の良さや観察眼の鋭さに感心する、
そんなことが体験できる小説が好きだったのだとわかりました。
結局は、「強い子」「冷静な子」「頭の良い子」に共感している自分がいるのです。

でも、本作では、いじめをありのまま受け入れることしか術を知らない子供が何人もでてきます。
「いじめ」という行為を、客観視して、受け流すことも、対抗することもせず、
ただ、ただ、やられた行為を受け止めるだけ。

主人公がこのスタンスだと、
読んでいる自分として、何をどうしたら良いのか分からなくなって、混乱します。
そう、「頭の良い子」は、いじめられていようとも、
「この子なら大丈夫」と思わせるものがあり、特に支援を心配しなくても読み進められるのです。
なのに、本作の子供たちは、自力では何もできなさそうで、
将来に向けての不安ばかりを感じさせてくれるのです。

友達も、先生も、親も、誰も助けてはくれない、そのような絶望をひしひしと感じさせるので、
自分が子供だったときの思い出が、蘇ってくるのです。
あのとき、自分は何をして、何をしなかったのかと。

いろんなことを突きつけてくる作品でした。


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