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『東大落城』
- 2011/09/04(Sun) -
佐々淳行 『東大落城』(文春文庫)、読了。

久々の「佐々淳行大活躍の巻」的な本。
描写に躍動感が溢れていますし、上司との喧々囂々の議論だけではなく、
部下(それもかなり末端の機動隊員たち)とのエピソードも豊富で、
非常事態を取り仕切る管理者としての辣腕振りを、いつもどおり楽しませていただきました。

軸のぶれなさ、上司の活用の仕方、部下の鼓舞の仕方など、
その能力の高さには、目を瞠ります。

そんなスーパーマン振りや、警察組織の統率力の凄さを楽しみたかった一方で、
もう一つの目的は、「60年代の学生運動とは何だったのか?」というテーマの探求です。

実は、父親の世代が、学生運動の最後をちょっとかじっており、
本作に出てくる東大紛争では、受験生として影響を受けた立場のようですが、
入学してからは、ちょこっと学生運動にも参加していたようです。

あんまり、父の口から、学生運動に関する本音の話は聞いたことがありません。
デモに参加したときの出来事とか、偵察に出て警察に追いかけられた話とか、
面白半分に話のネタに出てきたことはありますが、「なぜ?」という思想については、
私のほうもなんだか怖くて、突っ込んだことがありません。
あれだけ荒れた後に参加しているわけですから、本気の思想を持ってたからだとしても怖いし、
大した思想も無く群集心理的に参加していたとしても、なんだか残念なお話で・・・。

出発点が、大学運営への改善要求や、不明瞭な会計処理の糾弾だったというのは
とっても理解できるものです。
なのに、なぜ、こんなに暴力的で先鋭的な活動になってしまったのか、そこが分かりません。

本作では、すでに暴力行為が激しくなってからスタートしているので、
残念ながら、この目的は満たすことが出来ませんでした。
ただ、ソ連共産党の動きから簡単に経緯を解説してもらったのは、とてもわかりやすかったです。

これまで、学生 vs 体制 という簡単な図式からすると、
佐々作品のように、体制側の視点での作品は、いくつか読んできました。
学生側の視点では、舞台が学生運動渦中の大学や高校という小説作品は読んだことがありますが、
いわゆる思想系のものは手をつけたことがありません。

佐々作品は、分かりやすいし、面白いですが、
やはり体制側の当事者の視点になってしまいますし、
本気で考えるなら、学生側の指導者の言動などを追ったような作品も読むべきなんでしょうね・・・。

ただ、このような同世代の連帯のようなものを経験せずに30代になってしまった私に、
当時の学生たちの熱い思いが理解できるかは、かなり不安なところがあります。
一層、冷めた目で、親の世代を眺めてしまうようになってしまうのも、悲しいことです。


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