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『1985年の奇跡』
- 2011/07/18(Mon) -
五十嵐貴久 『1985年の奇跡』(双葉文庫)、読了。

野球モノは、やっぱり面白いですね。
チームプレー、個人スキルの差、部活動、学校と、青春小説の舞台としては、完璧です。

というわけで、本作も楽しめたのですが、
ただ、残念だったのは、野球ものとしての面白さはあっても
五十嵐作品としてのオリジナルの面白さはイマイチだったこと。

超高校生級のピッチャーが入部してくることでポンコツ野球部に火が灯るわけですが、
このピッチャーの球を、この野球部のキャッチャーがいきなり受けられるとは思えず。
そして、全般的に、野球そのもののを描いたシーンが少ないことを思うと、
あんまり、野球に詳しくない作家さんなのかしら?

あと、墨山高校との最初の対戦のときの思わぬ展開に対して、
たしかに、チームメートからすれば、沢渡投手に「なぜ?」と聞きたくなるのは分かりますが、
スポーツとして対戦しているんだから、まずは墨山高校の卑劣な作戦に対して
怒りが湧くのが最初じゃないのかな?と思います。
高校生なら、なおさら。
なのに、その怒りが、非常に遅れて出てくるところに、強く違和感を感じました。

それでも、最後の墨山高校戦の応援シーンには感動しました。
ああいう受け入れ方もあるもんなんだと。
高校生らしい青春を感じさせる場面でした。

あと、個々のキャラクター設定は、ちょっと中途半端な気が。
癖のあるチームメイトなのに、その活かし方が表面的です。
また、成績がFクラスの割には、会話でのツッコミに
「高野聖」とか「外様の取り潰し」とか出てきて、非常に違和感。

沢渡投手に関しては、「1985年の高校生にしては波乱万丈過ぎるだろー」と
突っこんでしまいましたが、良くも悪くも、ラストシーンに向けては必要な設定ですね。はい。


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五十嵐 貴久

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