『灰色の北壁』
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- 2011/02/23(Wed) -
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真保裕一 『灰色の北壁』(講談社文庫)、読了。
山岳ミステリー3編を収めた作品。 山岳モノって、独特な臨場感がありますよね。 私自身、山登りは門外漢ですが、それでもワクワクするものがあります。 生死が表裏一体でありながら、じっくり考える時間もあるという あえて考えて判断できるからこその一つの判断の難しさというものが 読んでいてのハラハラ・ドキドキ感を掻き立てるのだと思います。 また、3編ともプロットが面白かったです。 ある事実の裏に潜んでいる物語に、読む手を止められませんでした。 プロットだけで十分面白かったがために、 「黒部の羆」は、変に構成を捻ったところが蛇足のように感じてしまいました。 もっとストレートに表現してしまったほうが、 個々の登場人物の思いが伝わるのではないかと思いました。 「灰色の北壁」は、隠れた物語の真実に、「そういうことかー!」と納得。 ちょっと人物がピュアすぎるような気もしますが、 山だけを見ている男というものは、それほどピュアでないと やっていけないのかもしれませんね。 「雪の慰霊碑」は、恋愛感情そのものに信憑性があるやなしやの野暮な詮索は 横に置いておきまして、残された者たちの苦悩の淀みのようなものが伺い知れて 興味深い一遍でした。
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