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『人民は弱し 官吏は強し』
- 2010/12/08(Wed) -
星新一 『人民は弱し 官吏は強し』(角川文庫)、読了。

父であり製薬王である星一の半生を描いた作品です。

ショート・ショートの世界とは、全く異質な伝記ものですが、
科学を愛する心を持つ父がいたからこその、SF作家の誕生だったのかなと
思わずにはいられません。

その星一氏の生涯はというと、
日本で初めてアルカロイド製剤を製造・販売するなど、
医薬品の父としても、経営者としても、成功した一面を持ちながら、
官僚組織との軋轢に悩まされ続け、最後は苦しい生活を強いられていたことを思うと
必ずしも、成功者の一言では片づけられない人物だと思います。

本の後半は、その官僚との闘いの日々の描写に費やされますが、
何分、官僚側の言い分が、理屈の通らない言いがかりといいますか、
気に食わない民間人を感情的にいじめるといいますか、
とにかく、なぜそこまでのことをするのか普通の頭では理解ができないため、
困った官僚組織の糾弾に興味がある人には面白いかもしれませんが、
単なる興味本位で本作を読んでしまうと、食傷気味に感じるかと思います。

その官僚との闘いの中から、いったい何を読み取ればよいのか・・・というほど、
意味の無いやりとりが延々と繰り広げられているので。

そんなことに半生を奪われてしまった星一氏においては、
本当に、才能を無駄にさせてしまったことが残念です。

自由に製薬業に取り組めていれば、
日本という国は、豊かな生活をもっと早い時期に手に入れられていたかもしれませんね。


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コメント
-日々雑記-
星新一さんの本は本当に面白いですね。
「人民は」は、はじめて権力というものを知った本でした。祖父小金井さんを書いた本(考古学者?)も別の観点から面白かったです。
また、読んだときにはブログで教えててください。
(ちなみに手塚治虫さんのマンガ「W3」の主人公の名前は、手塚さんが星新一さんの名前を借りたということです。ご存知でしたか?)
2010/12/10 07:22  | URL | 人生楽しみ #-[ 編集] |  ▲ top

--
人生楽しみ様

CMありがとうございます。
いろいろ読まれているんですね。
父が若い頃に星新一作品が好きだったみたいで、実家の本棚にたくさんあるので、
私も子供の頃から時々読んだりしてました。
でも、残念ながら、小金井氏のことも手塚氏のことも知りませんでした。
こうやって、いろんな情報が繋がっていくのって面白いですね。

2010/12/11 00:44  | URL | かもめ組 #obYDgEv2[ 編集] |  ▲ top


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