『悪の社会学』
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- 2010/10/03(Sun) -
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戸川猪佐武 『悪の社会学』(角川文庫)、読了。
世間から悪役視されている政治家や財界人にスポットを当てた一冊。 出だし、著者による悪役論が延々と続くので、 「お題目は良いから、具体例を早く示してよ・・・」と ちょっとイライラしてしまいました。 田中角栄のエピソードが始まってからは、面白く読めました。 ただ、1冊の中で何人もの人を紹介しようとしているので、 どうしても1人当たりの紙面が限られてしまい、 思いがけない掘り出し物エピソードが出てくるということは 少なかったように感じました。そこは残念。 やっぱり、1人1冊の分量でじっくりと読みたくなってしまいますね。 私も、著者の言わんとする、 「実力がある人物だからこそ敵が生まれて悪役視されてしまう」 「マスコミが短絡的に悪というレッテルを貼るから、彼らの活躍が制限される」 という主張は、その通りだと思います。 特に、最近の世論は、負け組の僻みみたいな批判が多いですからね。 長期的な展望を広い視野で描ける人の構想は、 どうしても既存の安定したシステムを脅かすものになってしまいますから、 現状維持派からすると、敵視せずにはいられない存在でしょうね。 それを押しのけてでも、自分の主義主張を通す実力がある人が、 真の政治家であり、真の財界人であると思います。 そういう気骨のある人は、今だと誰になるんでしょうかね・・・(遠い目)。 余談ですが、著者は、城山三郎の広田弘毅論がお気に召さなかったようで、 最近、城山の著作を読んだ身からすると、批判をじっくり読みたかったなぁというところ。 こういう主義・評価の対決も、面白いですよね。
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