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『落日燃ゆ』
- 2010/09/23(Thu) -
城山三郎 『落日燃ゆ』(新潮文庫)、読了。

面白くって一気読みでした。

これまで、広田弘毅という人物については、
「文官なのに死刑になった唯一の人」という事実から、
「よっぽどなことをやった政治家だったんだろうなぁ・・・」という
印象というか、思い込みを持っていました。

ところが、本作を読んで、彼がどのように戦争と向き合ってきたかを知り、
また、戦後の極東裁判における態度を知り、
自分の無知を恥ずかしく思いました。

しかし、この手の、戦争の渦中における人物記の類を読んだ時にいつも思うのは、
「この戦争は、いったい誰が起こしたものなのだろうか?」という疑問です。

先が見通せる政治家も、外国という外の世界を知っている官僚も、
また、軍部の上層部の中にも開戦回避の声はあったという状況で、
「軍部に押されてズルズルと戦局が拡大し・・・」という事態が
どういうものなのか、なんとも理解し難いのです。

「軍部の現場の暴走」と言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、
それでは、各現場が勝手に動いていただけで、
軍部全体をみている統括者がいなかったということになります。
太平洋戦争って、そんな組織論不在の状況で行えるものなのでしょうか?

結局、誰も最後の責任を取らないままに、
状況に押し流されてしまったということなのでしょうか?

それとも、「誰が」というものではなく「時代が」そうさせたのでしょうか?

例えば、明治維新の急展開の動きには、
「時代がそうさせた」と言わせるだけのパワーを感じることができるんです。

でも、太平洋戦争という事態に対して「時代がそうさせた」と言ってしまうには、
戦争を起こした側として、あまりに無責任な言葉になってしまう気がして、
どうにも腑に落ちないものがあります。

ナチス・ドイツの活動に対しては、
「時代がそうさせた」という面もあるだろうなぁ・・・と思えてしまうのは、
自分が当事者の国に生まれていないから言えることなのでしょうかね。

広田弘毅という人物の生き様は良く分りましたが、
太平洋戦争というものが、ますます分からなくなった一冊でした。


落日燃ゆ (新潮文庫)
落日燃ゆ (新潮文庫)城山 三郎

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