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『世紀末の隣人』
- 2010/09/15(Wed) -
重松清 『世紀末の隣人』(講談社文庫)、読了。

この本は、読み応えがありました。

世紀末に起こった事件の現場を歩き、そこから見えてきた現在を追うことで、
事件の当事者たちが、決して特殊な人間たちだったのではなく、
私たちの隣人と言ってもいいほどに、どこにでも発現しうる存在であることを
描いていきます。

この本を読んで最もショックだったのは、
取り上げられている殺人事件が、すっかり記憶の外にこぼれ落ちてしまっていること。

最初の章で、「池袋通り魔殺人事件」が取り上げられていますが、
どんな事件だったか、しばらく思い出せませんでした。
「てるくはのる事件」も、「てるくはのる」という言葉は何となく覚えていましたが、
事件自体の内容は、すっかり忘れてしまっていました。

きっと、当時は、報道を見ながら、
「怖い」だの、「理解できない」だの、いろいろ感想を持っていたはずなのですが、
その時に感じた恐怖は、「秋葉原通り魔事件」「池田小学校殺傷事件」
上書きされてしまっているんです。

繰り返し、繰り返し、センセーショナルな殺人事件が発生し、
全く関係の無い人の命が奪われていることに愕然としつつも、
その恐ろしい事実を、「よくある」とは言わないまでも「時々あること」として
自分自身の記憶が圧縮・整理されてしまっていることに衝撃を受けました。

衝撃すら消化されてしまう現代に、底知れない恐ろしさを感じました。


世紀末の隣人 (講談社文庫)
世紀末の隣人 (講談社文庫)重松 清

おすすめ平均
stars隣人は確かにいる
stars読み物作家の想像力は否めないが
stars多角的な視点
starsやさしさに溢れたルポでした。
starsルポタージュなのに重松清らしい・・・

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