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『銀行疑獄』
- 2010/08/27(Fri) -
広瀬仁紀 『銀行疑獄』(光文社文庫)、読了。

これまた、何で購入したのか切っ掛けをよく覚えていないのですが、
30年近く前の作品です。

とある市政の指定金融機関の座を狙って、
中堅の都銀、相互銀行、そして現在その地位を占めている地銀が
三つ巴の戦いを繰り広げるというお話。

最初、市政と3行それぞれの登場人物が、少ないページで一気に紹介されたので、
どこの誰だか覚えるのに手間取りましたが、
各行の具体的な攻勢が開始されてからは、ぐいぐい読ませてくれました。

スマートな都銀のエリート店長、
汚いことも臆面なく実行できる成り上がり志向の支店長、
安定的な座に落ち着いてボンクラな支店長。

三者三様の動静が面白いです。

支店長クラスで比較すると、三つ巴と言えるほどの戦いぶりではなく、
終始エリート支店長がリードしている展開ですが、
むしろ、そこにリアリティがあるように感じました。

そして、この市政を巡る勝ち負けは最後に明確になるのですが、
各行の頭取や役員らトップクラスは、
この一地方支店の勝負だけではなく、もっと広い視野で自行の将来像を描き、
また、自分の出世や保身を考えています。

そのため、3行それぞれに、その銀行なりの結論が出ていて、
そういう世界観の広さも、この作品の面白さでした。

自分の業績を伸ばすための駆け引き、出世のための駆け引き、
保身のための駆け引き、どれも、勉強になりました。


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広瀬 仁紀

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