一橋フォーラム21
| ||||||||
- 2010/07/01(Thu) -
| ||||||||
一橋フォーラム21 『アジアと世界へのまなざし⑥』(2010年6月30日受講)
本日は、アジア文明論に関する日本の研究者の業績を追いかけてきた これまでの講義から一転して、広島大学の町田宗鳳先生による 「人類は『宗教』に勝てるのか」というテーマでの講義でした。 「いかにして充実感のある生活を送るか」。 非常に哲学的な問題提起であり、 下手をすると、今流行りの「スピリチュアル」にドツボってしまいそうなテーマですが、 とても興味深く90分の講義を聞くことができました。 一つは、一神教というガチガチの世界観を否定し、 宗教なのか生活慣習なのかさえ曖昧な(と私が思っている)日本人の精神世界に 積極的な意味を与えるスタンスに共感できたのと、 もう一つは、宗教的なものを扱いながら、ユング心理学やトルストイなど 非常に多彩なアプローチに、視野の広さを感じたためです。 ユングの四位一体説を使ってのアメリカという国家の分析、 マナ識やアラヤ識にある否定的記憶が蓄積されていく過程、 「心と体の一体」という状況を説明する「ビールの最初の一杯」の話。 具体事例やたとえ話がわかりやすく、科学的な話もあったりして、 もっと、詳しいことを知りたいと感じました。 幸い先生の著作は多数あるみたいで、かつ一般向けの著作も多いようなので、 古本屋でなんとかみつけられないかな・・・と思ってます。 個人的には、「意識・個性的世界」における上昇志向と 「無意識・没我的世界」への内向的な思索思考とが 常に繰り返され、それぞれが高められ、深められるのだという話が刺さりました。 保守的・消極的に日々を営んでいては、上昇はなく、 そのため、ガツンと頭打ちになるような失敗も挫折も経験せず、 その分、反省も小さくなるから、思考が深まりもしない・・・。 どんどんシュリンクしていく人間というのがイメージできました。 伸びようと努力し、達成感も挫折感も十分に得るからこそ、 中身が深まり、それがまた伸びるエネルギーになるということなのだと理解しました。 そして、それらを闇雲にガツガツと追求するだけではなく、 どこか余裕をもった眼で眺められるような冷静さと遊び心も持ちたいものです。 十牛図の痴聖人という存在を初めて知りましたが、 その境地に至れたら、幸せでしょうね。一目で憧れてしまいました。 そして、この痴聖人という存在を知って、素直に受け入れられる 日本人の精神世界に自分が生きていられることも、素晴らしいことですね。
|
||||||||
コメント | ||
|
コメントの投稿 |
トラックバック |
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/2048-4e4709f1 |
| メイン |
|