『死亡推定時刻』
- 2009/12/07(Mon) -
朔立木 『死亡推定時刻』(光文社文庫)、読了。

非常に迫力のある作品で面白かったです。

真犯人は早々に、簡単に推測できるので、謎解きの面白さはありませんが、
何よりも、捜査そして裁判の過程がよくわかります。

冤罪事件をテーマにした作品では(特にテレビドラマとか)、
ややもすると警察が完全に悪者になって、
組織ででっち上げるという類のものになりがちですが、
本作では、警察取り調べでの自白の強要は
決して手柄を立てたいとかいう利己的な動機ではなく、
初動捜査で掴んだ証拠から「こいつが犯人だ!」と直感的に感じ取り、
「何としてでも犯人を挙げよう」とする正義感から出た行為だったと思います。

もちろん、死亡推定時刻を改竄したり、
その後の控訴審の過程で、警察関係者が口裏を合わせて
自白の不整合を隠したのは組織を守ろうとするあるまじき姿ですが。

そのように読みながら感じたことは、最後のシーンで、

  冤罪というものは、決して一人や二人の悪人の悪意や  
  誰か一人のミスによって起こるのではない


という言葉で、納得できました。

本作で描かれたような第一審での手抜き裁判は、
裁判員制度が導入された今は、無くなっていくのかもしれませんが、
「指紋」「前科」「被告人の幼児性」などを突き付けられたときに、
「犯人じゃない可能性だってある」という考え方ができるのか自分は不安です。
事前の報道のせいで、かなり偏った目で被告人を見てしまいそうです。
そういう点も考えさせられる、よい作品でした。


死亡推定時刻 (光文社文庫)
死亡推定時刻 (光文社文庫)
おすすめ平均
stars裁判員制度が問題の今だからこそ
starsさすが法律家の書く小説
stars裁判員制度で候補になる前に
starsアっと言う間に入り込んでしまい、気が付いたら読み終わっていました。
stars最後。意外な終わり方。こういう余韻の残し方は結構好き。

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-死亡推定時刻/朔立木 ★★★★-
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