『思い出トランプ』
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- 2009/08/08(Sat) -
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向田邦子 『思い出トランプ』(新潮文庫)、読了。
とっかかりの「かわうそ」で見事に引き込まれました。 呼びかけると「なんじゃ」とおどけて返事をする妻。 ほのぼのとした日常のように見えながら、 よくよく考えてみると、妻の思い通りに進んできたような日常。 その裏側には生や死の出来事も絡み合って・・・・。 妻を、遊び感覚で魚を捕って殺すこともあるという「かわうそ」に重ねる演出、 さらにはエンディングで印象付けた妻のしたたかさ、 このあたりの構成力が素晴らしいです。 他の作品も、日常のふとした切っ掛けで見えてしまう「狂気」や「殺意」といった 非日常の噴出を扱っていて、非常に面白かったです。 短篇作品での場面の切り取り方や 現在への過去のシーンの取り込み方とか、 作家としての感性の凄さを感じさせてくれる作品集でした。
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