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『カノン』
- 2009/06/09(Tue) -
篠田節子 『カノン』(文春文庫)、読了。

「ホラー長編」という触れ込みだったので、
あまり期待せずに「どんなもんかいな?」というぐらいの心づもりで読んだのですが、
結構はまってしまいました。

確かに起きている現象は幽霊モノなのかもしれませんが、
それに直面している主人公自身が
「疲れや精神不安定によるものなのかも」というような半信半疑の状況で、
意外と冷静に状況をとらえようとしているので、
変なドタバタ感が出ることもなく、
また自分の内面をみつめるようなしっかりとした心理描写もあり、
読ませてくれる内容でした。

最後も、映像として考えると劇的なのかもしれませんが、
ホラー作品として見ると、現実の世界の中で何とか結末をつけようとしていて、
キョーレツな摩訶不思議現象でエンディングにしてしまおうという
感じではなかったので、それなりの納得感をもって読み終えました。

自殺の原因探しのところは謎解きの要素もあって、
読み物として面白かったです。


カノン (文春文庫)
カノン (文春文庫)篠田 節子

おすすめ平均
starsぼやけている
stars心の深層にひっかかる作品
stars状況描写が素晴らしい
stars音楽の追求
stars小説版「フーガの技法」

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