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『黄色い目の魚』
- 2009/04/20(Mon) -
佐藤多佳子 『黄色い目の魚』(新潮文庫)、読了。

裏表紙の「あらすじ」から、
いわゆる高校生の恋愛ものかと思って読んだら、
これがかなりエッジの利いた2人の少年少女の成長譚でした。

面白い!

人間関係が構築できずにイラストレーターの叔父のところに入り浸る女の子、
人物画の落書きが得意だけれども人の嫌なところばかりを描いてしまう男の子。

どちらも人間観察力が突出していて
それを上手く、というか適当に処理することができないがために
孤立してしまっているという感受性豊かな2人。

彼らが出会い、成長していく様子をじっくりと描写した作品。

難を言えば、彼らの小学生時代の章があり、次に高校生活に飛びますが、
その間に少しだけ人間関係を作れるように、それぞれが既に成長しています。
「あの小学生が大きくなったら、もっと排他的なはずなのに」と
ちょっと違和感を感じましたが。
この間の成長ぶりが抜けていたような印象を持ちましたが、
高校生活の中での成長ぶりの描写はお見事。

この手の作品を読むと、いつも、
なんて自分はのんびりとした10代を過ごして、
何も考えずに生きてきたんだろう・・・・・・という喪失感です。

木島や村田の1/100も「マジに」生きてこなかった気がして、悔やまれます。

自分を見つめようと努力し、
自分の状態を上手く掴めなくてもとにかく考えようとする気概、
そういう緊張感を自分の中に持てるようになりたいです。


黄色い目の魚 (新潮文庫)
黄色い目の魚 (新潮文庫)佐藤 多佳子

おすすめ平均
stars傑作!できるだけ早い時期に読んでほしい!
stars「青春」
stars爽快なラスト
stars自分成長記
stars2章までは面白かった

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コメント
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これは知り合いの小母さんに贈られて11歳、小学5年生のときに読みました。
が…、あれ?高校生?前編と後編??
小学生が主人公の短編だったはずじゃ…。

この度実家に戻り、取り出してきました、私が読んだ佐藤多佳子の『黄色い目の魚』。
もう一度読んでみると、確かに私が記憶していたような話で主人公は中学生少女の短編でした。
それは「新潮現代童話館1」という中の短編童話集の書き下ろしである『黄色い目の魚』で、当時の私は正直ちっとも感心しませんでした。
大人たちなんかどうせ私らのことなんてガキだと思ってんだぜ、けっ、つまんね、っていう主人公中学生の態度そのものが子供っぽくて興ざめしてたんですね。
だからこういう作品は10代の頃に読んでおくべきだった、そうすれば大人に対する反発や青春のあれこれをリアルタイムによめたのにっていうのには…うーん。
2009/05/05 20:46  | URL | 悠遠の風 #-[ 編集] |  ▲ top

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悠遠の風さま

CMありがとうございます。
読むタイミングって難しいですよね。
作品との縁と言いますか。
その時の気分や体調で面白いと感じたり
つまらないと感じたり。
もちろん、読んだ時の年齢でも
経験の深さで読めたり受け付けなかったり。
再読することはあまりないのですが、
意外と新鮮な面白さがあるかもと思ってしまいます。
2009/05/06 15:35  | URL | かもめ組 #obYDgEv2[ 編集] |  ▲ top


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黄色い目の魚 佐藤 多佳子 授業中らくがきばかりしている。サッカーのポジションはゴールキーパーだけど補欠。何となくすべてが中途半端な悟。家に居場所がない。世の中には「嫌い」なものばかり。叔父さんであるイラストレーターの通ちゃんにだけ心を許しているみ …
2010/10/17 21:10  ナナメモ ▲ top

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