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『柔らかな頬』
- 2009/01/21(Wed) -
桐野夏生 『柔らかな頬』(文春文庫)、読了。

少女の失踪事件を舞台装置としながら、
その家族や関係者の人生を描いて行く作品。

北海道って、私自身行ったことが無いのですが、
本作で描かれている支笏湖周辺の森の様子をイメージしていると
なんだかその奥に魔界がありそうな恐ろしい雰囲気を根底に感じます。
カスミの強迫観念にも似た故郷嫌いが影響しているのでしょうけれど。

そんな森の別荘地で発生した少女の失踪。

「手がかりなし」「物理的に不可能」と当時は判断されますが、
後半に立て続けに示される推理夢(?)を読んでいくと
どうにでも起こしてしまえそうな事件のようにも思えてきます。
どの仮説も作中では否定されていませんしね。

でも、本作では、真相云々よりも「因果は巡る」という言葉のほうが
重みを持って迫ってきました。

村を棄てて家出したまま親との関係を絶った少女の娘が、
ある朝突然居なくなる・・・・・。

この因果応報は怖いです。


一つ残念だったのは、後半のカスミの行動が理解できなくなっていったこと。
元刑事の内海の部屋にやっかいになるまでは良かったのですが、
彼の布団に入り込んでしまってからは、やたら行動が本能的で、
もはや娘のことなんかどうでもよくなってしまっているような・・・。

桐野作品って、後半の詰めの段階で
主人公の女性が精神的に一線を越えるというか一本切れるというか
そういう転調を起こすことがたまにありますよね『OUT』とか。
それ、実は、ちょっと苦手です。
自分の想像が届かない世界に行ってしまったような感があって。

本作もそうだったのですが、
内海の登場自体は、物語に厚みを添えていて良かったと思います。

それにしても、最後の数ページは怖いですよねぇ。


柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)
柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)桐野 夏生

おすすめ平均
starsすごい・・・・
stars跡形もなく消えた少女の謎
stars本作にあるものとないもの。それが生み出すもの。
starsアンフェアだが腹は立たない稀有な異色作
stars面白い。

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柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)
柔らかな頬〈下〉 (文春文庫)桐野 夏生

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starsもやもやしますがとりあえず納得?!
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stars生と死、相反する絶望と再生
starsこれで終わり?
stars渾身の作品。

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OUT 下 講談社文庫 き 32-4
OUT 下  講談社文庫 き 32-4桐野 夏生

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stars弁当工場、殺人、死体解体、ヤクザなどが盛りだくさんで怖い話だが、超お勧め
starsこれはミステリーなのか?
starsおもしろいが「リアルワールド」と構成がまったく一緒なのはいかがなのものか
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