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『お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人』
- 2024/04/27(Sat) -
吉村葉子 『お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人』(講談社文庫)、読了。

大ヒット本。ブックオフで50円で見つけたので買ってきました。

大学生の頃は、こういう比較文化論的な作品をアレコレ読んでましたが
段々と年を重ねてくると、著者がどういう立場の人なのかで
同じ国に訪問してても印象はガラッと変わるだろうな・・・・・・と思うようになり、
例えば有名ビジネスマンが海外支社長を務めていた時の体験談とか、
アスリートが海外チームに移籍した時の物語だとか、
そういう、著者のバックグラウンドや人間性が明確に分かるものを選んで読むように
なってきました。

そんな自分の変化があり、本作は、なんとなく手を伸ばさないまま来てしまいましたが、
50円だったので(爆)。

著者は、フランス在住20年で、物書きを仕事にしているので
比較的時間に自由が利き、取材熱もあり、また友達づくりが上手い人のようなので、
フランス社会のあちこちに顔を出し、学校での教育の様子も自らの目で見ていて
エッセイの内容は非常に面白いです。

一方で、私が気にしている「その社会における著者のポジション」は、
著者本人のことについては言及がありますが、旦那さんについてはほとんど書かれておらず、
ここが結構キーなのかなと思いながら読んでました。

実業家なのか、サラリーマンなのか、自由業なのか、芸術家なのか、旦那さんの像が結べません。
ホームパーティとかに出かけるのが苦手なタイプ・・・・ということだけは分かりましたが(苦笑)。

著者と同じようにフランスで生活している女性はたくさんいると思いますが、
やっぱり旦那さんの職業によって、奥さんが見ているフランス社会のありようは
変わってくるんじゃないかなと思ってます。
それは、妻は夫の付随物という意味ではなく、著者が本作で何度も述べているように、
夫婦は2人で一組だと思うので、夫が妻に与える影響はやはり大きいと思います。

他の作品を読めば、旦那さんがどんな人物で、どんな生活を夫婦で送っているのかは
もうちょっとわかるのかしら?

フランス人と日本人の考え方の違いは、どちらが優れているとかいう話ではなく、
その国の歴史や地理的状況によって蓄積された国民としての長年の体験から来るものだと思うので
我々日本人は、著者が紹介するフランス人の生活や思考回路を知ることで、
「あぁ、そういう考え方もあるのか」と感じて自分達の思考の選択肢を増やすのに利用すればよいし、
日本社会で「こうあらねばならない」と堅苦しく思い込んで苦しんでいる人は、
「フランス人みたいに自由に考えてもいいんだな」と、気持ちを緩めるのに使えばよいと思います。

というわけで、著者のエッセイは、いろいろ気づきをもたらしてくれそうなので、
旦那さんの追跡もしながら、他も読んでみたいと思います。




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『金メダル男』
- 2024/04/26(Fri) -
内村光良 『金メダル男』(中公文庫)、読了。

舞台映画と観てきて、最後は小説です。
本が出たとき、「これがジャニーズの力か!」と思ってしまいましたが(苦笑)、
読売新聞の夕刊で連載されてたんですね。
勇気あるね、読売新聞(爆)。

映画を観たときの感想でも書きましたが、この作品は、やっぱり舞台のためにある作品であり、
それを映画や小説という違うメディアに移したときに、同じ枠組みで見せちゃうのは、
演出の引き出しが少なすぎると感じてしまいました。

本作を読んでいる間中、私の頭の中では、前半は舞台の記憶で内村さんが中庭で踊っており、
後半は映画の記憶で木村多江さんが主人公に寄り添ってました。

この映像が思い起こされたので、舞台や映画を追想する感じで、小説も楽しめましたが、
小説だけ読んだ人、特に、読売新聞で連載小説として読んだ人には、
この世界観は伝わったのかなぁ?と不安になってしまいました。

この作品は「表現部」という空間への思いが繰り返し語られますが、
まさに内村さん自身が「表現部」という生の舞台空間あってこその人だなと再認識しました。
「テレビでコントを作り続ける人」という世間のイメージがありますが、
テレビのコントも、その場にいるスタッフを笑わせようとしている生っぽさがあるので、
テレビの中にあるミニ舞台みたいなものだと思うと、やっぱり舞台あっての内村光良だと感じました。




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『底辺への競争』
- 2024/04/22(Mon) -
山田昌弘 『底辺への競争』(朝日新書)、読了。

少子化のトピックスなどがあると、識者としてよくコメントを見かける著者。
本もヒットしていますし、お名前は意識していたのですが、著作を読むのは初めてです。

「底辺への競争」という言葉自体は、アメリカで戦前から言われていたようなのですが、
つまりは、社会の底辺に堕ちていかないための必死の争いを表しているとのこと。
アメリカでは特に若者の貧困化・下層化を指しているようです。
アメリカの最下層となると、ホームレスのような、経済社会からはじき出されるような状態だと
思います。

日本では、そういう生活が全く成り立っていないような階層に堕ちるのではなく、
経済社会の中には辛うじて居られるけれども、最下層からはどう頑張っても脱出できないという
貧困の固定化のような状況が起きているとのこと。

上を目指しているのに上がっていけない悔しさを感じている人たちも居れば、
そもそも上を目指すことを望まない若者もたくさんいるという事実も怖いです。
三浦展氏の『下流社会』を読んだ時、「上昇志向のない若者」という存在が描かれていて、
それまでは、そういう野心の無い人たちのことって、意識したことがありませんでした。

しかし、実際に私のサラリーマン時代に、私のいたチームに移動してきた5歳ほど上の先輩は、
「出世したくない、重たい責任を負いたくない」と言って、昇進試験とか、形だけ受けてたものの
たぶん真面目に回答せずに、いつも落ちていたようです。
結婚してて、子供もいるのに、「今が楽だから」とい理由で上を目指さない人を初めて身近で見つけて
「そんな価値観があるのか!」と衝撃でした。

ただ、この先輩も、やる気を出して昇進試験を真面目に受けたら、人間性は穏やかな人だったので
たぶん課長ぐらいまでは出世できたんじゃないかと思います。
今や、本人の意思とは関係なく、「出世できない人」「そもそも出世ルートが存在してない人」
「そもそも会社に就職できない人」「そもそも大学に進学できない人」というように
上にあがるための階段が全く周囲に見つけられない人が大勢出てきたというのが
社会の不安定化そのもののようで、怖いです。

私自身は今のところ、親のおかげで大学まで出してもらい、会社もまともなところに入れて、
その後脱サラしても生活には困らない程度に稼げて、一応貯金もそこそこ貯まりました。
でも、今はまだ親が大きな健康不安もなく2人で穏やかに暮らしてくれているからいいですが、
例えば親が大病したとか、認知症が出たとか、そんなことになったら生活は一変しますし、
自分自身が病気になることや、鬱病になること、大きな事故に巻き込まれることなど
いくらでも不安要素があります。

何か起きたら、簡単に下の層へ落っこちていくんだろうな・・・・・と本作を読みながら思っちゃいました。
そして、一度下に落ちたら、簡単には上がれなさそうで。
もう一度サラリーマンに戻るにしても入社の競争が激しいでしょうし、
同じ業界に戻るにしても、10年近いブランクは知識の欠落が大きいでしょうし、
そもそも最近の企業で使われているインフラ類に慣れるのにも時間かかりそうで。

本作では、未婚化についても語られていますが、正直、自分の感覚としては、
「カネ」が最大の問題なのか?という疑問があります。
もちろん、1人育てるのに多大な生活費や教育費がかかるので、2人目、3人目に躊躇するというのは
よく理解できます。しかし、それ以上に、夫婦共働きで、女もキャリアの継続を要求され、
家に帰って子供の世話をし、オンライン化が進んでいるので家でも残業が出来てしまう・・・・みたいな
社会からの「より良い男性・父親像」「より良い女性・母親像」みたいな要求が
多種多様に及び、なおかつレベルが高いものを求められ、心身ともに疲弊してるんじゃないかと思います。
それを横目で見ている二三歳年下の後輩たちは、「あんな辛い思いをしたくない・・・・・」と判断して
結婚まではするけど子供は作らないとか、そもそも結婚しないとか、というような選択が
増えてるんじゃないかなと感じてます。

でも、彼らも、例えば政府のアンケートとかで聞かれたら、そういうフワッとした感覚的不安を述べずに
「お金が・・・・」とか「キャリアが・・・・」とか、分かりやすい回答をしちゃうんじゃないかと。

このあたり、誰か、若者の本音を引き出す調査ができる人はいないものですかね。




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『リターン』
- 2024/04/20(Sat) -
五十嵐貴久 『リターン』(幻冬舎文庫)、読了。

五十嵐作品の中で一番有名であろうと思われる『RIKA』の続編。

私の中で、「気持ち悪い作品だったから、続編読もうかどうしようか・・・・・」と迷いながら
ブックオフで100円で見つけたので買ってきました。

で、読み始めて、最初に感じたのが、「あれ?『RIKA』ってどんな話だったっけ?」ということ。
作品の冒頭から、『RIKA』の物語を存分に引きずる形で始まるのですが、
まったく自分の記憶が反応しない・・・・・。

ついに、50ページぐらいまで読んだところで諦めて、本ブログで過去記事を検索してみたら、「無い!」。
ブログを書き始める前に読んだんだっけ?と思い、買った本リストのタイトルを追ってみましたが、「無い!」。

なんと、『RIKA』、読んでなかったです・・・・・・・大丈夫か、自分の記憶(悲)。

ただ、『RIKA』事件の特異性を冒頭で語ってくれているので、前作を読んでなくても
支障なく物語には入っていけました。
まぁ、正直、本作の中であらすじ的に語られるリカ事件については、
「そんな展開が現実に起こせるの?」みたいな疑問も湧いてきたのですが、
「リカ事件の特異性」というオーラ一本で、あまり細かいこと気にしちゃダメだと言い聞かせて読んだら、
結構、気にせず読めました。

「リカは異常」という点を、とにかく最大限に意識して読めば、
その異常さが味付けとなって、ぐいぐい読ませてくれる作品です。

一方で、「異常とは言え現実世界にリカは居る」と冷静になって読んでしまうと、
やっぱり展開の強引なところは気になっちゃいます。
例えば、電車で麻酔を打って意識を混濁させた人間を、どうやってアパートに連れて帰ったの?
みたいな致命的な部分が気になっちゃいます。
ここを「リカだからできる!」で強引に読み進める胆力があれば、面白く読めると思います。

本作を読んでいて気になったのは、「実際のところ、刑事が手柄を立てるために単独行動を取るのって
どれぐらいの確率で起きることなんだろう?」ということです。

小説だけでなく、映画でもテレビでも、だいたいの刑事ものサスペンス作品では、
主人公の刑事が独断で勝手な行動をして、危険な目に遭いつつも、最後は犯人逮捕で大団円!
みたいな展開がオーソドックスだと思います。

しかし、私は勤め先の会社のセキュリティ部門(金融の不正防止の仕事)で一時期働いていたので
警視庁とかのサイバー犯罪の担当の人とか、詐欺事件の担当の人とか、
あと社内には警察OBの社員さんもいたりして、茶飲み話とか、酒の席の話とかで
過去の犯人逮捕の捕り物の話など聞かせてもらいました。
彼らと接していて感じるのは、警察という組織で、役割分担の中で各人が自分の役割を
最大限果たすためにどう動くかという発想で行動しており、とても単独行動が褒められるような
環境には思えませんでした。
仮に単独行動で犯人を逮捕できても、勝手な行動をしたことで組織内での自分の評判を落とす
のではないかなと思いました。

本作では、登場してくる男性刑事も女性刑事も単独行動ばっかりで、
正直、こんな刑事さんいるのかなぁ・・・・・と、そこが気になっちゃいました。
恋人関係にある刑事同士は、判断が私情で歪んでしまうことは仕方ないとはいえ、
せめて主人公は冷静に動こうや!と思っちゃいました。

でも、そんな物語は読んでても面白くないのかもしれませんが。
組織の理論でガッチガチの刑事ものも、一度読んでみたいものです(笑)。

あと、肝心の『RIKA』ですが、本作で概ね話の展開が分かってしまったのと、
さらに本作のラストシーンの描写のエグさを読んでしまったら、
たぶん私は『RIKA』のエグさに耐えられなさそうなので、
あえて読むのは止めておこうかと思いました。
精神衛生上、読むと良くなさそう。






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『歴代総理の経済政策力』
- 2024/04/19(Fri) -
三橋貴明 『歴代総理の経済政策力』(知的発見!BOOKS)、通読。

私が小学生から中学生にあがる頃にバブルが崩壊し、
その後、失われた30年という時代を若者世代として生きてきました。
それでも、親が苦労して東京の大学に行かせてくれ、
就職氷河期と言われながらも何とか良い企業に就職でき、
同世代の中では、日々の生活には不安も不満も感じない恵まれた人生を過ごさせてもらえました。

一方で、ニュースでは、同世代で正社員として就職できない人がたくさん居たり、
就職できてもブラック企業でこき使われて精神的に病んだり自殺してしまったりする人が増えたり、
結局、仕事が不安定だから結婚したくてもできない、子供を作りたくても作れないという
状況から少子高齢化が進み、政治では高齢者の意見が通り、若者は政治を諦めますます政治離れ、
それじゃあ、未来は良くならないよね・・・・・と思ってしまいます。

一時期、アベノミクスが実行されていた時は、社会全体が政治に期待している雰囲気が醸成され、
前向きで安定した空気が社会を覆っていたように思います。
少なくとも、金融機関勤めだった私の周囲は、期待感で高揚しており、また実際に
給料もボーナスも上がってました。自分はそんな経験はしてない!という層もいることは分かってますが。

安倍政権の政策は、上手くいったこともあれば、私自身批判的に見ている政策もありましたが、
少なくとも、主張ははっきりしていたので、賛成や反対がしやすかったというのがあると思います。
それが著者の言うグランドヴィジョンに繋がるのかなと。
私が民主党政権を評価していないのは、コロコロと言うことが変わるので、反対しようにも
軸の無い意見に反対するのは徒労感が半端ないなと思ってしまってました。

で、本作ですが、田中角栄政権の経済政策評価から始まります。
「国土の均衡ある発展」というグランドヴィジョンに従い、次々と法律を作り推進してきたという説明に
やっぱり政治家は、個々の政策の内容よりも、軸が一本通ったブレの無い政治をしてくれるかだよなぁと
改めて政治家の信念の大事さを思いました。

で、次の三木武夫政権の評価は?と思ったら、なんと見開き2ページで終了。
語るべき経済政策が無かったという皮肉なのかもしれませんが、
そこはやっぱり解説してほしかったです。

田中角栄のような軸のある政策信念は無かったのかもしれませんが、
建前だけでも、何らかの方針演説はしてたと思うんですよ。
その方針がグダグダで、政策と一致していないと思うなら、その批判を読みたかったです。

三木政権以降の政権の評価も、田中政権に対する評価のページに比べると、
政治家の信念についての言及が少なく、世界でどういうことが起きていたか、
それに対し日本国内でどういう政策が取られ、結果どうなったかという
事実を追うだけの描写が増えてしまい、「総理の考え」がほとんど見えてこなかったので
後半2/3の内容は残念に感じて、流し読みになりました。

本作は、最後、菅直人政権で終わってしまいますが、第二次安倍政権のアベノミクスという
グランドヴィジョンの評価まで読みたかったなと感じました。




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『決算書の9割は嘘である』
- 2024/04/18(Thu) -
大村大次郎 『決算書の9割は嘘である』(幻冬舎新書)、読了。

著者の本は何冊か読んでますが、本作が一番面白かったです。

利益を過大に上乗せする「粉飾決算」と、利益を少なく見せかける「脱税」と
別のベクトルを向いてる決算書操作について、「やってることの本質は同じ」として
分かりやすい視点で解説しています。

ニュースになった現実の企業の粉飾や脱税の事例を使って解説しているので
分かりやすいですし、結局、大きな企業でも、零細企業でも、やることは一緒なんだなと
理解できました。

私自身も小さな会社を経営してますが、別に複雑な事業ではないので
税理士は使わずに自分で経理処理して決算書類も作り、税務署への申告もしています。
自分一人で全部処理していると、「あ、ここ、ちょっといじっても見つからないよね・・・・・」と
思いついてしまうことが時々あります。

その、私ですら思いつけることが、本作に書かれていることとほぼ一致しており、
結局、決算書の粉飾も脱税も、簡単に思いついちゃうし、簡単にできちゃうということなんでしょうね。

だから逆に、オリンパスとか山一證券とかの大掛かりなスキームを学ぶと、
犯罪の悪質さへの怒りとは別に、シンプルに「すげー」と感心しちゃいます。
その頭の良さを、本業を正しく伸ばすことに使えばいいのに・・・・(爆)。

税務署は、利益を水増しする粉飾決算は見逃がしがちということですが、
脱税も簡単にできちゃうことを思うと、結局、「悪質な」脱税かどうかというところが問題なんですかね。
単純に不正確な決算書ばかりで、税務署も相手を選ばなきゃやってらんないということなんでしょうけど。

うちも3月決算なので、とりあえず経理処理まで終えて、あとは申告書を作るだけの状態ですが、
こんな本を読んじゃうと、魔が差しますわ(苦笑)。




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『仮面病棟』
- 2024/04/17(Wed) -
知念実希人 『仮面病棟』(実業之日本社文庫)、読了。

著者のことを知ったは、実は、作家としての評判ではなく、
コロナ禍において、"X"上で基本的に政府方針に沿って各個人で対策するよう推奨しており、
反マスクや反ワクチンの人たちから攻撃されている様子を目にしてでした。
最初は、SNSで情報発信をする正義感の強い医師の一人なのかなと思ってましたが、
新作発売の告知をしているのを見て、「へー、ミステリ作家さんなんだ」と気づきました。

コロナ対策について発信されている内容は至ってまともなものであり、
陰謀論的な人たちから攻撃されている様子を見て、医師としての責任感が強い人なんだろうけど
わざわざ陰謀論者と正面から対決する性格からすると、著作ってどんな感じなんだろ?と
正直、少し引き気味に見てました。

たまたま行ったブックオフで、その店のおススメ作品が並んでいる棚に本作があって、
手にとってあらすじを見てみたら、病院への強盗犯籠城ものということで、
アクション要素もあって面白そうかな・・・・と試しに買ってみました。

昔は精神病院だったという建物を、療養型病院に転換した古めかしい病院が舞台。
近くのコンビニに強盗に入った男が、女の客を人質にとって、
逃げる途中で近くの病院に立てこもる。そこに居合わせたのは、週に1回だけ当直のアルバイトを
している主人公の外科医。同じく当直の看護師2人が巻き込まれ、
さらには、いつもは夜間は居ない病院長が残業で居合わせて・・・・・。

とにかく展開が早いので、ぐいぐい読ませてくれます。
ところどころに、「なんでこんな行動するの?」「なんでこんな指示するの?」と疑問に思うことが
いくつか出てきますが、最終的には、その理由は分かるようになっているので、
話としては上手くまとめてあると感じました。

一方で、実際に、その指示に直面した当事者は、変だとは思わないものなのかなぁと、そこは疑問。
まぁ、危機的状況に直面したら、「なんか変だ」なんて呑気に考え込んでいる暇はないでしょうから、
言われたことを素直に受け入れるのが普通の態度なんでしょうね。

この病院で起きていたことの真相は、現代的な問題を扱っていて、興味深かったです。
こんなアブナイサービスに次々と利用者が現れるのか?という点はやや疑問でしたが、
利用者さえ見つかれば、上手いサービスだなと思いました。
現代の病院ビジネスですよね。少数のスタッフで、多くの入院患者、しかも文句を言うこともなさそうな
意思のない患者を病床に寝かしておくというのは、大きな儲けはないけど安定した儲けが
出るんでしょうね。

籠城事件の展開については、主人公の先生、人質の身でありながら、あまりにアグレッシブだろ・・・・
と思ってしまったのと、先生、惚れっぽすぎるだろう・・・・・そこまで魅力的な女性か?と
疑ってしまったところもありますが、やっぱり危機的状況という極限世界のせいかな。

トータルで見ると、一気読みできる作品で、面白かったです。
解説で、他の作品も詳しく紹介されていたので、気になるものから読んでみたいと思います。




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『金のなる人』
- 2024/04/15(Mon) -
成毛眞 『金のなる人』(ポプラ新書)、読了。

新書なのにやたらと装丁にお金がかかってる感じの本です。
新書って、表紙デザインを統一して余計な経費をかけないことで
とにかく様々なテーマの本を時宜に合わせてタイムリーに出すことを心掛けている商品だと
思ってたので、ずいぶん規格外なことをするんだな・・・・・・と。
これも金を生み出すための工夫なのかな?

中身は、いつもの成毛節で、分かりやすいというか、
どの本も言っていることが首尾一貫してて読みやすいです。

著者は、マイクロソフト日本法人の社長を務めた人として知られており、
成功したお金持ちのイメージが付いて回りますが、
大学卒業後に入社した企業は地元北海道の自動車部品メーカーであり、
非常に庶民的というか、普通の若者の感覚で就職活動とか
その後の転職とかを経験されて、今の地位にのし上がってきた人だと思います。

だから、著作の中で述べられている「こうすべきだ!」「これはするな!」みたいな教えが、
普通のサラリーマンでも実行可能なレベルで提言されており、
「よし、やってみよう!」という行動に繋がりやすいように思います。

売れてる本であっても、読んでみたら、凡人には想像もつかない劇的な人生が描かれ
参考にしようがない・・・・・というハウツー本も多いですからね(苦笑)。

本作も、金を生み出すために、貯蓄を否定するのは良くあることですが、
投資よりも、まずは仕事で稼ぐことを推奨しており、
一定額を貯めることができたら、投資も小口で初めてみろと薦めています。
このあたりの優先順位付けの感覚や、リスク管理の考え方が、
庶民感覚に合ったものとなっていて、現実的な提言だなと感じます。

私自身、30代までは、自分がいくら稼げているか、ということにそれほど執着せずに生きてきて、
サラリーマン時代は給与明細をまじまじと見ることもなく、年に1、2度、銀行口座の残高を見て
「あ、こんなに溜まってる・・・・そろそろ定期預金に移しておこ」ぐらいの感覚でした。
一応、金融機関勤めで、結婚もせず、不動産も車も買うことがなく、病気もせず・・・・・という人生だったので
お金の不安はほぼなかったので放置状態でした。

40歳を前に脱サラして起業しても、地方住まいだとそんな生活費もかからないし、
会社の経費で落とせるもの(例えば勉強用の図書費とか、視察のための旅費とか)を差し引くと
食費と日用品とちょっとした交際費さえあれば不安なく生活でき、
サラリーマン時代と同じように貯金はたまっていきます。

最近、ようやくNISAで投資をするようになったとはいえ、最初の申し込みをした以降は
ほったらかしになってますし、それ以外の積立保険とかなんやかんやも
確定申告の時にチェックするだけで、「あー、大きく増えてるわけでもないけど
別に減ってはないし、定期預金よりは増えてるなぁ」ぐらいの感覚で、
増やすよりも、ただお金を置いている場所が複数に分散されたというだけで。

大きく稼げたら老後に向けて安心感は増すんでしょうけど、
子供が居ないから自分自身以外の出費は無いですし、当面は親の介護が始まったときに
どのぐらい自分の今の資産からポイポイ出せるだろうか・・・・というところぐらいですかね。
二人とも普通に暮らしてるから、今は介護関連費用は何もかかってないですけど。

自分の性格は、毎日上下動があるような投資には向いてないと思うので、
「あー、今、残高ぜんぶ足したらこれだけあるわ」という安心感だけ得られたら良いので、
結局、分相応な生き方をできてるのかなと思います。
それが一番心安らかな気がします。




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『理系あるある』
- 2024/04/14(Sun) -
小谷太郎 『理系あるある』(幻冬舎新書)、読了。

理系の人にありがちな「癖」について面白おかしく紹介した本。

私自身は、文系に進みましたが、学校の勉強では数学や理科の科目も好きで
大学受験も数学と理科の点数で合格できたと思っているので、
普通の文系よりも理系よりな性格をしているように思っています。

例えば、車を運転していて前の車のナンバーで計算をしてしまうのは、私もあります。
本作で紹介されているような、4つの数字を四則計算で「10」にする遊びは、
さすがに頭が疲れるのでやりませんが、「3で割り切れるかな?」という簡単な計算は
眠気避けによくやります。

あと、「疑似科学に厳しい」というのも共感できます。
ただ、批判の先は、疑似科学・似非科学を広めている詐欺師の側よりも、
それに引っかかっちゃうリテラシーが低い人たちを悲しい目で見てしまいがちです。
なんでそれ信じちゃうかなー、と。

そんなこんなで、楽しく読める本でした。
ちょっと文章の笑いの取り方がクドイですが(苦笑)




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『不動産の法律知識』
- 2024/04/12(Fri) -
鎌野邦樹 『不動産の法律知識』(日経文庫)、通読。

昔から、民法の物権の話って苦手でして、
一応金融機関勤務だったので、会社に言われて資格取得のために勉強したこともあるのですが
勉強しても試験が終わったらサッパリ忘れてしまって・・・・・というか、きちんと理解してないまま
なんとか合格点をクリアしてたような状況で、全く知識の蓄積が出来てません。

資格試験のテキストみたいなものとは別の形式の本を読んだら
ちょっと理解が進むかな?と、たまたまブックオフで見つけた本作を買ってみましたが、
やっぱり全然頭に入ってこず(苦笑)。

学者先生による解説だったからか、結局、資格試験のテキストと同じような感じでした。

弁護士や司法書士みたいな、物権や債権を直接扱ってる実務畑の人が
現実に起きている争いごとの事例をもとに解説してくれた方が、興味持って読めるかも。
あまりの骨肉の争いぶりに、読むのが嫌になっちゃうかもしれませんけど。




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