『ほんとうの味方のつくりかた』
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- 2023/03/29(Wed) -
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松浦弥太郎 『ほんとうの味方のつくりかた』(ちくま文庫)、通読。
以前に著者の本を一冊だけ読んでいますが、 「なんか、お上品な本だなー」で終わってしまったにもかかわらず また買ってきてしまいました(苦笑)。 社会の中で孤独を感じている人向けの本なのかな。 まず自分を見つめ直そう、自分の強みを自覚しよう、 周囲の人を関係別に捉え直そう、その中で自分の見方を作ろう、 そういうことが、優しい言葉で書かれている本でした。 やっぱり、私からすると、ちょっとお上品過ぎて 座り心地がモゾモゾしちゃう感じの本でした。 年度末のバタバタしたときに読むのはタイミングがまずかったです。 流し読みになってしまいました。 でも、周囲の人との関係性の整理については納得性が高かったというか、 自分の頭の中がスッキリした感じでした。 ・家族は「守る」 ・友人は「助ける」 ・社内の人、同僚は「報告をする」 ・仕事をくれる人、クライアントは「けっして損をさせない」 ・知り合い、取引先の人は「つなげる」 ・顔の見えないオーディエンスは「発信する」 この整理、自分の行動を振り返ってみると、 だいたいこんな意識で動いていたので、自分を肯定されている感じで 納得感が高かったのだと思いますが、「あ、これで良かったんだ」という 安心感が得られました。 ![]() |
『真相はこれだ!「昭和」8大事件を撃つ』
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- 2023/03/28(Tue) -
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祝康成 『真相はこれだ!「昭和」8大事件を撃つ』(新潮文庫)、読了。
ブックオフでドカ買いしてきた中の一冊。 週刊誌的時間潰し用にという感じで大して期待していなかったのですが、 読んでみたら第1章からメチャメチャ面白くて一気読みでした。 第1章がいきなり、「美智子皇后 『失声症』 の真相」で、タブー感満載、これぞ週刊誌! 1993年の失声症報道は記憶にはありますが、子供だったので詳しくは覚えおらず、 とにかく皇室に対して世論の冷たい風が吹きつけていたような印象です。 この時の美智子皇后バッシング、そのあとの雅子妃バッシング、今の秋篠宮妃バッシングを見てると 各時代に1人スケープゴートが必要な存在なんだろうなと。 そして、そのスケープゴートという存在は、皇室自体が生み出しているというより、 マスコミなり国民なりが求めているのではないかと思ってしまいます。 高貴な世界で、外交面でも内政面でも一定の効力をもっている存在で、いつもにこやかかつ晴れやかな そういう存在に対して、「それは作り物の世界だ!」って不満をぶつけたくなる気持ちが 心のどこかに燻っている層が一定数いるんでしょうね。 それ以降の章も、週刊誌らしいトピックスが並んでいますが、 個人的に興味深かったのは、「丸山ワクチン不認可」と「和田心臓移植」の2つの医療事件。 丸山ワクチンに関しては、審査のプロセスにおいて、医学界における権威主義や 派閥や製薬会社の利権構造などの問題で不利な扱いを受けたというのは理解できましたし そのくだらない理由に多くの人の命が助かったかもしれない長くなったかもしれない可能性が 小さくされてしまったことには憤慨しました。 しかし、それとは別に、ワクチンの効果を証明するデータが不足している、不正確だという指摘は 解決しなければいけないものなので、そこは実際どうだったのかなというモヤモヤが 本編では最後まで残ってしまいました。 Wikiで調べたら、現在、大規模な臨床試験が行われているようで、適切適量なデータを きちんととって検証して欲しいなと思います。 で、問題は「和田心臓移植」の方。 前に、同じような週刊誌ネタを集めた本を読んだときにも取り上げられていたので 知識としてはあったのですが、本作では、関係者の証言をきちんと取り直していて、 和田医師による無謀な「2件の殺人」だったということが述べられており、衝撃でした。 医者になるだけの能力があるということは、知識量も判断力も決断力もある人物だと思うんですよ。 そんな人が、「とにかく日本で最初の心臓移植の執刀医になりたい!」という欲望だけで 移植の必要がなかった患者に、死んでいない急患の心臓を無理やり移植してしまうという衝撃。 しかも、かなり杜撰なコトの運び方で、後から簡単にバレるようなことを重ねており、 会見でも不用意な発言をして殺人の意思の証拠のようになってしまっています。 どんだけサイコパスだったのか、当時の心理状態はどんなだったのでしょうか。 そして、一番怖かったのは、こんな大規模な手術を和田医師一人でできるはずもなく、 多くの医師や看護師、医療関係者が関わっているのに、誰も止めなかったということ。 組織による内部統制がまったく効いていません。 暴走するサイコパス医師がトップに立っていたら、殺人なんていつでもできる・・・・・・恐ろしや。 他にも、美空ひばりとNHKの確執、猪木・アリ戦の舞台裏など、 よく知らなかった芸能世界の話もあって、興味深く読みました。 この手の本は、現在から当時を振り返るという感じで、過去の記事を切り張りして仕上げる 手抜きなものも多い中で、本作は、きちんと著者が再調査に当たっており、 当時の関係者から「今だから言える」という証言を引き出している力作だと思います。 ![]() |