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『農家の青色申告』
- 2023/01/31(Tue) -
小沢禎一郎 『農家の青色申告』(農文協)、通読。

農家さんの経済構造を調べたくて、図書館に行ってきたのですが、
「これは税理士さんによる指南本かな?」と思い、ぺらぺらっと見てみたら、
畜産農家が、自信の経験を踏まえ、「ザル会計から青色申告に変えて利益を出せ!」と
触れまわっている本でした。

当初の目的には合わない本でしたが、
どれだけ農家がザル会計でやっているかということを知るのに面白かったので
ざーっと流し読みしてきました。

昭和15年生まれの著者が、借金して農業を大きくしようとした時の話が起点になっているので、
昭和45年ぐらいの話。
帳簿もつけず、売上は農協でデータが取れるにしても
経費の方はざっくりとしか計上しておらず、当然、大目に利益が計上されるので、
納税額も高くなります。

きちんと帳簿をつけて、使った費用をすべて損金算入すれば、
そんなに大した納税額にはならない。
しかも、青色申告すれば、奥さんにも専従者給与という形で支払いができ
奥さんも満足、一家も納税額が減らせるということで、
一気に家庭の近代化と効率化が進みます。

本作を読んでいて思ったのは、納税に対する著者の前向きな気持ちにとても共感できること。
私の周囲の経営者さんたちは、ほとんどが、年度末になると黒字にならないよう
無駄なものをあれこれ買い込んで、で、結局使わない機械が工場に放置されていたりするのですが、
私は、法人税払って、剰余金から株主配当もらう方が自分の懐があったまるから
基本的に黒字経営を目指してます。

著者が言うように、みんな「税金を取られる」という言い方をしますが、
基本、法人税は、儲かった額を超える納税は発生しない(大きな投資で償却資産が生まれると別ですが)ので、
法人税を納められた年は、うまく事業が回った年として、気持ちよく納めさせてもらってます。
一つだけ、株主配当を受け取ると、そこから源泉徴収されるのは、
法人税と所得税の二重課税じゃないのかと不満ですが・・・。

とにかく、お金に関する考え方を改めよう、
そして家族経営が主体の農業では、家族を「無料の労働力」と考えるのではなく
「働いた人にそれに見合う給料を出す」という風に改めようという考えは、
農家だけでなく、自営業の個人商店や職人的な仕事の場にも広げていくべき
考え方だなと思いました。

まぁ、今現在は、ネット世界に税金や申告、はたまた節税に関する指南のサイトが
たくさん出来ているので、農家さんも、特に若い人を中心に自分でお金の管理をやる人が
増えているでしょうし、JAもそういう方面の支援を手厚くやらないと
農家離れが進んでしまうでしょうから、だいぶ状況は改善してるんjないかなと思いますが。

国は、一次産業の世界に、法人化だとか、青色申告だとかを普及させて、
税金をきちんと徴収する仕組みを整えてきましたが、
税金の側面だけでなく、農家家庭の近代化にも役立っているんじゃないかなと感じました。




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『調べる技術 書く技術』
- 2023/01/30(Mon) -
佐藤優 『調べる技術 書く技術』(SB新書)、読了。

インプットとアウトプットの具体的な技術論、方法論について
事細かに丁寧に説明した本です。

敏腕外交官だった著者なのに、
「封筒に5万円入れよう、何にいくら使ったか都度封筒に書いていこう、何日で使い切るか確認しよう」
なーんて、懇切丁寧に簡易家計簿のススメをしており、
一体どんな読者層が想定なんだ!?という感じでしたが、
若者向けの啓発書という位置づけなんですかね?

私も、金銭的に余裕がなかった20代前半は、ブックオフで100円の本を買い込み、
新刊書はもとより、神保町の古本でも、1000円超えると何度も足を運び
本当に欲しいか、かなり悩んでから買ってましたからね。

金銭的に制約がある中で、インプットをしていこうと思うと、
本作に書かれているような工夫が必要ですよね。
そういう若者向けには、すぐに役立つ本かもしれませんね。

ただ、やっぱり、敏腕外交官が書くべき本なのかしら?という疑問は
最後までモヤモヤしました(苦笑)。




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『農の再生と食の安全―原発事故と福島の2年』
- 2023/01/29(Sun) -
小山良太、小松知未 『農の再生と食の安全―原発事故と福島の2年』(新日本出版社)、通読。

メインタイトルから、日本の農業の一般的な本かなと思って
あんまり考えずにドカ買いしてくる際に買ってきたのですが、
今回読み始めたら、福島の原発問題に絡めた農業の問題の話でした。

よく見たら、サブタイトルに「福島原発」って入ってるし、
帯にも「放射能問題への挑戦」と書かれてて、どんだけ適当に本をカゴに入れちゃってるんだ!?と
本選び力を反省。

3.11の福島原発事故により発生した放射能汚染で直接的な損害と風評被害を受けた
福島県の農業をどのように復活させていくかという具体的な取り組みを
現場からレポートした本。

読みながら感じたのは、どれだけ農家の方たちや、JAや学者がまじめに真っ当な取り組みを進めても、
農産品を買う消費者の側に科学的なリスク評価のリテラシーがないと、
残念ながらその努力の多くは無駄になってしまう可能性があるということ。

例えば、放射能の安全基準について考えると、「この基準値が正解です!」という絶対的な解が
得られる可能性は少ないと思うんです。
結局、人間の判断で、「えいや!」でどこかに線引きをする必要があり、
一旦決めたらそれで運用してみるというところに社会の合意ができないと、何も進まないんですよねー。

被ばく量基準の「1年間で50ミリシーベルト」というのも、「なんで30じゃなくて50なんだ」
「100にあげても大丈夫なんじゃないか」みたいな議論を突き詰めても、
論理的な結論は導けないと思うんですよね。
「過去の事故の経験から」とか「動物実験による結果から」とか
そういう統計的な方法で「50」って決めることになっていくと思います。
そこに「50であることの論拠」を求めると、なにも決められなくなってしまうという。

3.11の後の世論を見ていると、今までよりも事故のインパクトが大きかったというか、
「そこに住めなくなる」という一般市民への影響が目に見える形で生じたことで、
反原発や脱原発の動きが具体的に起こり、声も大きくなりましたが、
正直、私からすると、過去にも東海村の臨界事故で死人が出てるじゃない、
もんじゅ事故で放射能は漏れたじゃない、その時は凄く騒いでたけど
結局時間がたったら興味を無くして、原発は3.11まで普通に稼働してたよね、
だから今は騒いでるけど、岸田首相の指示通り、原発再稼働は進んでくんじゃない?と思ってます。

私は、原発を作っちゃった以上、もったいないから使い切ったほうがいいと思うし、
原発コントロール技術のレベル維持のためにも若い研究者が一定数行きたくなる業界であるべきだと思うし
中国や韓国の原発に対する監視の目を持つためにも、日本の原子力研究は維持した方がいい
と思っているので、原発再稼働の方向性には賛成です。

反原発や脱原発の人、そして、そこまでいかなくてもボンヤリと原発怖いって感じている人、
みんな、例えば高木仁三郎氏の著作を読んで、
冷静に批判する目を持つべきだし、正しい科学知識に基づくリスク評価と、
適切な政治プロセスにのっかった中身のある議論をして国策の方向性を決めるべきかなと思います。

岸田首相の進め方はやや強引なようにも感じますし、
反対派の反対論法は議論が成り立たないので無力感を覚えます。
福島の方たちが一生懸命に行動をし情報発信をしていることが無駄にならないよう、
正しい科学知識で原発を評価し、福島産の農作物を評価できる社会になるべきだと感じました。




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『「豆朝日新聞」始末』
- 2023/01/28(Sat) -
山本夏彦 『「豆朝日新聞」始末』(文春文庫)、読了。

かなり久々の山本夏彦翁。

タイトルからは、朝日新聞をはじめとするマスコミへの批判の本かと思いましたが、
それらに限定されず、幅広い夏彦節でした。

『徹子の部屋』に出演したときの話。
「お好きなコラムの1行を3つ挙げてくださいとの徹子さんからのオーダーに対して、
「年寄りのバカほどバカなものはない」
「平和な時の平和論」
「ロバは旅に出ても馬になって帰ってくるわけではない」
そして嫌いな言葉については
「話し合いって言葉、大っ嫌い」。

いやー、この回の『徹子の部屋』、見たかったですわー。

夏彦翁の暴走気味発言の数々に対し、
テレビ朝日へのクレーム電話の嵐を防止するため、
うまーくフォローの言葉をアドリブで差し挟む徹子さん。
今はだいぶお年を召してしまい、キレがなくなってしまった感がありますが、
やっぱり冠番組で台本のないトークショーを何十年も続けてこられる能力は
余人には代えがたいものがありますね。

いつも、夏彦翁の放言を楽しんで読んでいるクチですが、
この人がTwitterやってたら、どんなに面白かっただろうか、どんなに社会に影響を与えただろうかと
思うと、今の時代に生きていてほしかったなーと思ってしまいました。




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『沿線風景』
- 2023/01/26(Thu) -
原武史 『沿線風景』(講談社文庫)、読了。

ブックオフにて、「首都圏の路線をめぐる散歩エッセイかな~?」ぐらいの
軽い気持ちで大して内容を確かめずに買ってきたのですが、
日本政治思想史が専門の学者さんによる乗り鉄&書評エッセイという、
なんだか凄く複雑な背景を持つ作品でした(苦笑)。

最初の舞台が、東武伊勢崎線なのですが、
沿線の小さな駅の正面にある本屋がレディコミックスと成人雑誌ばかりの店だったことから
「人目を忍んで団地妻がレディコミを買っている姿を想像してしまった」とか
この本屋を「東急沿線ではまずお目にかかれない書店を見つけたわけだ」とか
なんだか上から目線の鼻につく表現が気になってしまいました。
著者は、東急田園都市線沿線に30年以上もお住いのようですが、
う~ん、いきなりマウントが凄いな・・・・・と。

この調子でエッセイが続くならしんどいな・・・・と思ってしまいましたが、
電車に乗りながら、その景色や出会った事柄と結び付けて紹介される本の数々が
結構、政治的なものだったり、学術的なものだったりしたので、
学者センセなら多少浮世離れしてても仕方ないか・・・・と慣れちゃいました(苦笑)。

著者は、『昭和天皇』『大正天皇』などの著作があるようですが、
中身は本作で触れられている以上には、私自身読んでいないので分かりませんが、
本作で三里塚へ行き「感慨深い」と述べているので、やっぱり左翼的な思想なのかなと思いつつ
でも、そういう考え方がドギツク作中の文章に現れてくることはなく、
むしろ、同じタイトルの『昭和天皇』という本を同じ頃に出版した福田和也氏と
本作の企画で一緒に電車に乗ってお出かけしているところを見ると、
結構、柔軟なスタンスで天皇制に向き合ってる人なのかなとも感じました。
とりあえず、もし100円で見つけたら読んでみよう。

本題の沿線歩きで気になったのは、天皇家に関する場所を巡るのと同じくらい出てくる
新興宗教の本山や出家施設などの話。
特に、JR立川駅から直行バスが出ているという真如苑の宗教施設「応現院」の話にびっくり。
わたくし、学生時代に国立市在住だったので、立川にも良く行きましたが、
「そんな新興宗教の話、知らんかった!」と思ったら、どうやら2006年にできた様子。卒業後でした。
そんな信者しか乗ってなさそうなバスに平気で乗っちゃうとか、
やっぱり学者さん、浮世離れしてるわ(笑) ← これは誉め言葉

他にもオウム真理教や大本教などが出てきて、
あー、戦後の日本の国家統治の仕組みの中に、カルト的な要素は結構重要だったのかも・・・・と
改めて感じました。この辺は、著者の他の著作を読んだ方が良さそうです。

22本の小旅行の話が収められていますが、そのうち1本だけポーランド旅行記が含まれており、
「これらの都市に比べると、ワルシャワの郊外は、はるかに東京の郊外に似ていた」と、
西欧やアジア諸国の各都市と比較した感想を述べており、
やっぱり日本は「成功した社会主義の国」だったのかなと思いました。

軽いエッセイを読むつもりが、小難しい話が多い読書となりましたが、
著者の着眼点が面白い本でした。








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『一番わかりやすい栄養学の本』
- 2023/01/25(Wed) -
夢プロジェクト 『一番わかりやすい栄養学の本』(KAWADE夢文庫)、読了。

ブックオフでドカ買いしてきた一冊。

基本的な栄養素について把握するにはちょうど良いかなと思い買ってきたはずですが、
そこそこ、うまくまとまってて分かりやすい本でした。
トンデモ科学的な記述もなさそうで、まともです。

読みながら感じたのは、各栄養素についていろんな研究が細かいところまで進んでいるのは、
食物という人間には不可欠な要素だから研究対象として重要という点だけでなく、
女性研究者が昔から入っていきやすい分野だから多くの研究がなされてきたという
そういう側面もあるのかなということ。

実際に、栄養学とかの分野には立ち入ったことがないので、
女性研究者が働きやすい職場なのかどうかはわかりませんが、
外から見てて、女性研究者が多い分野だと思います。

単純に、男の研究者だけがいる分野に比べて、2倍の頭で考えられるなら
研究もいろいろ進みそうだなと。

もちろん、すそ野が広がると、トンデモさんが入ってきやすくなり、
似非科学みたいなものも広がりやすい分野かと思いますが、
そこは読む側がリテラシーをもって対処すべきでしょうね。

過度な栄養信仰はトンデモ系だと思いますが、
適度に毎日の食事で栄養を考えながら食べるのは大事ですね。




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『タテ社会の人間関係』
- 2023/01/24(Tue) -
中根千枝 『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)、読了。

高校生の時に、Z会の国語の問題文だか、模試の問題文だかで
中根千枝氏の文章を読んで、「面白い!」と感じて印象に残ってました。
その後、古本屋では著作に出会えず(私が100円棚ばっかり見てるからですが)、
ようやくブックオフで見つけたので買ってきました。

50年以上前の発行ですが、文章の切れ味も良く、古さを全然感じません。
前半はちょっと抽象的で難しさを感じましたが、
個人的には第4章の「『タテ』組織による全体像の構成」が
一番腹落ちして面白かったです。

たぶん、私は家族内や親族内の人間関係ではそんなに困った経験がなく、
また、趣味の世界でも楽しくグループ内に居場所見つけて過ごしてきたので、
職場や取引先など仕事まわりの人間関係でしか、キリキリと気を遣うことがないので
会社組織を想定しやすい第4章の話に共感を覚えたのかなと思います。

読む人それぞれが抱えている人間関係の悩みによって、
どの章が気持ちに刺さってくるか変わるのではないかなと思います。

こういう著作に断片的であっても触れることができ、さらに興味を広げられた点でも、
学校での国語の勉強や受験勉強は楽しかったなーと振り返り。




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『実践型農業マーケティング』
- 2023/01/23(Mon) -
平岡豊 『実践型農業マーケティング』(全国農業会議所新書)、読了。

タイトルから、農家が直売に取り組む際の心得を解説した本かな?と思い、
まぁ、教科書的な内容だろうと期待してなかったのですが、
あにはからんや、面白かったです。

読む前に、裏表紙にある著者の写真をチラリと見て読み始めたのですが、
まじめそうなオジサンだなぁ、と思い、農協役員とか農水省系官僚とか大学教授とか
そんな感じの経歴の人だろうなと勝手に思い込んでたら、どうも文章から受けるイメージが違う。
途中で著者プロフィールをちゃんと見てみたら、博報堂出身の人でした。
そりゃ、マーケティングの実地経験の豊かな人だから、内容は面白くなるわな。

前半で、簡潔に農家側の心構えがまとめられており、
後半で、具体的な事例が紹介されています。
この事例も、主となって進めている人の決意や心配りの本質が一言で表現されてて
すんなりと腹落ちする感じです。

想定読者が農家さんなので、農業の話で進んでいきますが、
マーケティングの本質の部分については、業界関係なく使える話だと思いますし、
著者によるまとめ方は、本質部分をうまく切り出していると思うので、
モノを売る仕事をしている人全般に役立つ本じゃないかなと思います。




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『ケータイを持ったサル』
- 2023/01/22(Sun) -
正高信男 『ケータイを持ったサル』(中公新書)、読了。

さーて、次に何を読もうかな~、積読なんとかしないと・・・・・
と、積読の山を漁っていたら、なんと、宮崎哲弥氏がミソカスに批判してた本が出てきました。
買ったこと忘れてた(苦笑)。

宮崎氏の批判内容が頭に残っている今読まないと、もう、読む気にならなさそう・・・・・
ということで、急遽読むことに。

本業はサルについての学者さんで、京大の霊長類研究所の教授ということなので、
その界隈では有名な方なのかなと思いますが、
本作は、その本業のサルの話をちょいちょいネタに使いつつ、本題は若者論です。
タイトルにあるように、ケータイばっかり見てる若者のコミュニケーションレベルを、
サルと同等だと言っているような感じ。

うーん、ところどころ、専門のサルに関する研究結果や観察結果などデータが出てくるのですが、
本題の若者論になると、著者の「私はこう思う」「若者のこういうところが気に食わん」みたいな
感情的な結論にワープしちゃうので、「え?論理的な説明どこにあるの?」みたいな感じで
読んでいて置いてきぼりにされちゃいます。

そして、とっても気になるのは、著者が批判する若者って、若い「女性」に限定されているような印象です。
著者自身が日本人を被験者にいくつか行った実験や調査が掲載されているのですが、
基本的に女性を対象としているんですよね。
20代女性と40代女性の携帯登録者数を調べたり、女子高生たちに投資ゲームをさせたり。

著者はやたらとルーズソックスを持ち出して若者の象徴のようにしてますが、
オジサンがJKに目くじら立てて騒いでいるだけの本のように感じてしまいました。
女性蔑視とかミソジニー的とかまでは言いませんが、ちょっとJKに偏見があるんじゃないの?と
感じてしまいました。

あと、実験や調査の手法についても、母数が少ないこととか、そういう外形的な点も気になりました。
JKに投資ゲームをさせた件ですが、どうやって女子高生グループに実験の説明をしたのかが
書かれておらず、もし、被験者たちに、「ケータイ保有者とケータイ重用者にグループ分けました」みたいな
ことを言ってたら、頭の回る生徒たちは、「ケータイ漬けはバカのレッテル貼られるかも。要注意!」
という空気を読んだのではないかなとも思います。
結果、「相手を無条件に信頼して行動する」というキレイごとの選択を意識的に取った可能性も考えられます。

まぁ、宮崎氏の批判が先に頭に入っているので、
私の読み方もかなり偏見まみれかもしれませんが。
でも、たぶん、宮崎氏の新書を読まないまま本作を読んでも、たぶん、内容には共感できなかったと思います。

本業のサルの研究だけにとどめておけば良かったのに・・・・・・と思ってたら、
本投稿をするための裏どりに「宮崎哲弥 正高信男」で検索かけたら、
「論文捏造疑惑」なる言葉が飛び込んできました。
サルの論文でさえも問題起こしてたのか(苦笑)。




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『逆説の日本史11 戦国乱世編』
- 2023/01/21(Sat) -
井沢元彦 『逆説の日本史11 戦国乱世編』(小学館文庫)、読了。

第10巻までの信長論が非常に面白く
あまりに満足度が高かったので、その余韻に浸ってしまい第11巻に手が伸びませんでした。

最近、三重県の歴史に関する本を読み、そのワクワク感から
歴史熱が再び盛り上がってきたので、第11巻に挑戦。

今回の主人公は豊臣秀吉です。
私の中で、秀吉という人物評は、行動力や判断力、そして人間を取り込んだり争わせたりする能力は
突出したものを持っていますが、一国の統治者としてはあんまり魅力を感じず、
信長から家康までの乱世の繋ぎ役的な目で見ていました。

信長の後釜として横から伸し上がったものの実質自分一代で一族を滅ぼしてしまったという結末や、
派手好みなところ、そして例え勝てたとしても統治は難しかったのではないかと思われる朝鮮出兵、
これらの要素から、どうにも信長や家康と比べて低く評価してました。
ま、私が冷静沈着な家康が大好きという嗜好の問題も影響していると思いますが。

というわけで、井沢史観では秀吉はどういう風に評価されているのか興味がありました。
ところが、読んでみると、秀吉そのものの評価よりも、
現在の学者や言論人が秀吉の業績なり人物なりをどう誤解しているのか、どう捏造しているのか
そういう部分への著者の批判が面白く、引き込まれました。

第11巻だけでなく、第1巻から著者が言い続けていることですが、
(1)今現在の常識で歴史を評価してはいけない、当時の常識で考えろ
(2)歴史は結果から見るな、流れを順に追え
(3)現在に残っている文献だけで評価するな、文献がすべて正しいと思うな
これらの原則に忠実に徹底的に秀吉像を見ていくとどうなるのか、ということが
第11巻では書かれていて、興味深く読みました。

私が、統治者としての秀吉の欠陥のように感じて拒否反応を覚えていた朝鮮出兵に関しても、
本作で「1回目の出兵と2回目の出兵は意味が違う、小西行長がキーマン」という見立てに、
な、なるほどね、と納得できるところが多かったです。
井沢史観においても、1回目の出兵に関しては、やっぱり判断に誤りがあったとは思いますが、
当時の世界情勢の情報収集力の低さを思えば、仕方がないのかなぁ。
攻め込まれた朝鮮半島の人々にとっては、怒りしかないでしょうけれど。

秀吉という人物の改革性と実行力、そして強引さは、よく理解できました。
本作も面白かったです。
早く第12巻で、私の好きな家康の話を読まないと!

あと、妹尾河童さんの大ヒット本『少年H』が本作の中で出てきますが、
だいぶ前に買ったものの、長いなーと思い、ずーっと積読放置しています。
どれだけこの本が欺瞞に満ちているのかを、井沢氏が糾弾しているので、
却って早く読まないと!という気持ちにさせられました(爆)。




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