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『イチゴ学への招待』
- 2022/12/19(Mon) -
織田弥三郎監修 『イチゴ学への招待』(大阪公立大学共同出版会)、読了。

仕事でイチゴ農家について調べる必要があったので
県立図書館に行って、タイトルに「いちご」と付いている本を何冊か借りてきました。

手始めに、その中で一番薄い本作から。

「日本イチゴセミナー」という団体に所属している人々による
小論文をまとめた一冊という感じです。

そもそもの、いちご作りの1年のスケジュールとか、
美味しいイチゴの見極め方とか、品種ごとの特徴の比較紹介とか、
イチゴ農家にとっての基本事項だけでなく、
そもそも日本におけるイチゴ食文化の歴史とか、
現在食べられているイチゴがどのように品種改良されてきたかというヨーロッパでの歴史や
現在のカリフォルニアでの大規模なイチゴ農園の生産力と日本の生産力との比較とか、
非常に興味深い視点が多かったです。

基本情報が得られれば・・・・・という資料あさりの目的で借りてきたのに
意外と内容に引き込まれてしまいました。

そもそも「いちご」というのは大和言葉であり、
清少納言の『枕草子』にも「いちご」が登場すると知り、
「そんな昔から日本人の生活の輪の中にあった果物なのか!」とビックリしました。
もちろん、平安時代の「いちご」は山に自生している種類のものであり、
現代の「いちご」とは異なっているのですが、それでも、なんとなくイチゴは
イチゴミルクやショートケーキなど、西洋の食べ物との親和性が高いイメージだったので
大正時代当りにはいってきたのかしら?ぐらいに思ってました。

それと、イチゴの品種の紹介ページを見ていて、
「甘さ」「酸味」「色」「形」「大きさ」「香り」「柔らかさ」「潰れにくさ」というような
非常に多様な品質の評価ポイントがあり、生果食、大規模流通に乗せる、ケーキの材料、
ジャムの材料、冷凍保存用、など、様々な用途に合わせて必要な個々の特徴を伸ばすことで
多くの品種が改良されており、その専門家さんたちの努力は凄まじいなと感じ入りました。

品種改良の担当県も、栃木、福岡、静岡、愛知など、全国の様々な県に散らばっており、
各地域の気候や、消費地への距離感などに合った品種を作るとともに
ご当地ブランドを作り上げるための競争もあり、大変なご苦労なんだろうなと思いました。

近年は、こういう、日本人が必死に開発してきた品種を
お隣の国が勝手に育てている等という話をよく聞きますが、
そこはきちんと取り締まってほしいですし、各国の消費者に日本のブランドであり
日本が最も美味しく生産しているから偽ブランドではなく日本の本物を買うべきだと
しっかりPRしてほしいなと思いました。




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『続 なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』
- 2022/12/18(Sun) -
福田和也 『続 なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』(ハルキ文庫)、読了。

ブックオフで見つけて、「お、続編なんて出てたのか!」と買ってきたのですが、
なんだか思ったよりもマイルドな中身でした。

最初の本を読んだときは、「凄いことを大っぴらに言う人だなぁ」と驚いた記憶があったのですが、
「あれ?記憶が極端な方に補正されてる??」と疑い、読書感想の記録を本ブログで探したら
出てきませんでした。

ブログを始める前、20年ぐらい前に読んだのかなぁ?
一体何に驚いたか、全然記憶が残ってないわ(苦笑)。

本作は、ペルーの日本大使館人質事件の話から始まっていますが、
当時私は高校3年生。
事件当初は、「なんて衝撃的な事件なんだ!」と驚き、ニュース番組にかじりついてましたが、
事態が硬直してしまってからは、受験生ということもあり、気にしなくなっちゃいました。
ペルー軍による突入作戦が行われたときには大学に入学してしまっており、
一人暮らしの部屋で毎日ニュース番組を見るという習慣がなくなってしまっていたので、
新聞報道で事実として押さえただけで、特に感慨もなく。

改めて本作でその経過を読んでみて、「へ~、橋本龍太郎首相はそんな腰の引けた対応だったのね」と
ようやく日本政府のへっぴり腰具合を認識した次第です。

まぁ、でも、私の子供の頃の記憶では、「毅然とした首相」って、思い浮かぶ人が居ないんですよねー。
社会人になってから、小泉純一郎首相とか、安倍晋三首相とか、はっきりと日本国としての意見を言う
首相が出てきたイメージです。
だから、橋龍がグダグダでも違和感なし(爆)。

ただ、それは、首相が日本人の政治レベルを象徴していただけで、
当時の日本人全体の政治感度や国際感度が低かったんだと思います。
その後、全世界の紛争地域(「非戦闘地域」とされる場所だけど)に自衛隊が出て行ったり、
はたまた日本人がどこかで紛争に巻き込まれて自己責任論とかが国内で巻き起こったりして
ようやく世間一般の議論のレベルや意識のレベルが引き上がってきたのかなと思います。

だから、今、この20年以上前の文章を読むと、マイルドに感じちゃうのかなと。
当時は、著者のような一部の言論人だけが、一国の首相の姿勢に対して
厳しい言葉を投げかけて、それに読者が反応していたのかなと思いますが、
今やYoutubeなどで、かつては一般人とされたような立場の人たちも
自分の意見を強く主張できるようになってますからね。
みんながキツイ言葉で主張し合っている今から思うと、本作の著者の言葉は
批判の本質は厳しくても、表現はお上品に思えてしまうのかなと感じました。

果たしてそれが素直に社会の良い変化と言えるのかは微妙か気がしますが、
でも、いろんな人がいろんな主張を自分の言葉でできるようになったのは進歩だと思います。
たとえ罵詈雑言や誹謗中傷が混じっていたとしても、
そうではない真っ当で聞く価値のある意見が世の中にたくさん出てくるというのは、
最終的には社会の進歩に繋がると、私は希望を持っています。
罵詈雑言をゼロにするために言論空間を必要以上に制約するような方向には向かってほしくないです。
それよりは、意見を聞く側、参照する側が、アホな罵詈雑言は無視するという技術を身につけて
結果的に罵詈雑言を繰り出す輩の楽しみを奪ってしまうような知性ある社会になって欲しいというか、
そうしていきたいです。






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『アドラー心理学入門』
- 2022/12/17(Sat) -
岸見一郎 『アドラー心理学入門』(ベスト新書)、読了。

以前アドラー心理学についての新書を読んだとき、「改めて解説書を読みたいと思います」とか
言っておきながら6年間放置してる私(苦笑)。
ブックオフでアドラー心理学ブームの火付け役である岸見先生の新書が100円であったので、
改めて買ってきました。

が、しかし、・・・・・・うーん・・・・・・、アドラー心理学について「こういうことか!」という
腑に落ちる感覚は得られませんでした。

フロイトとの関係とか、アドラー自身の生涯とか、そういう大枠の立ち位置は、
コンパクトにまとめられていたので把握しやすかったですが、
そもそものアドラー心理学の教えの概要というか、肝というか、
その部分が本作のどこかにまとまっている感じではなく
全編に登場する一つ一つのエピソードから自分で拾い集めてくる感じになっており、
最後までぼんやりした輪郭しか得られませんでした。

紹介されるエピソードが、どちらかというと対子供目線の「教育」という観点のものが多く、
ビジネスシーンでどういう風に活用できるか?という視点で読んでいた私には
あんまりピンとこないところが多かったです。
自分が子供を持っていないから実感できないのかなと思いました。

アドラー心理学の全体像というか、肝を掴むには、
やっぱりヒット本の『嫌われる勇気』を読んだ方がいいのかしら。

それとも、そもそもアドラー心理学って、掴みどころがないような学問なんでしょうか?




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『牧師館の殺人』
- 2022/12/15(Thu) -
アガサ・クリスティ 『牧師館の殺人』(ハヤカワミステリ文庫)、読了。

超久々のクリスティ作品
「ミス・マープル・シリーズ」の長編第一弾ということでしたが、
そのシリーズの存在自体を知りませんでした。

セント・メアリ・ミードという小さな村で、嫌われ者の治安判事が、牧師館の書斎で
銃殺された姿で見つかる。すぐに警察に自首した男がいたが・・・・・。

牧師自身は事件前に電話で呼び出しを受けて牧師館に不在、
牧師館の庭に出入りした人は何人か発覚するが、いずれもどこか怪しげな行動、
誰と誰が不仲という噂話も飛び交って、大混乱となっていきます。

とにかく、イギリスの小さな村における人間関係、
特に仕事を持たずメイドを使いながら一人で暮らす老女たちの行動様式が
これでもかというぐらいネチネチと描き込まれており(苦笑)、
いや~、「田舎暮らしってこんな感じだよねー」と、今まさに田舎に住んでいる私は共感ばかり。

とにかく日がな一日、自分の家の窓や庭から周囲を観察し、
いつ、誰が、何をした、ということを主観的に記憶し続けます。
そして、思い込みを混ぜながら、噂話として周囲に吹聴して回り、
小さなコミュニティの中で自分のポジションを得ようとします。

そんな自分本位なマダムたちの中で、唯一ミス・マープルは、
正確な記憶と記録、そして鋭い洞察力で、決して身勝手な憶測はしません。
慎重に自分の推理を自分の心の中で進めていきます。
噂話は大好きだし、日がな一日近所を監視しているのは他のマダムと一緒ですが(苦笑)。

それと、牧師や医者、刑事をはじめとする男性陣の、女性や若者への偏見だったり、
メイドや執事という雇われ人の雇い主に対する歪んだ感情とか、
とにかく人間と人間がどのような感情の中で日々の暮らしを送っているのかという
ある種、共同体に共通するテーマが描かれているので興味深く読みました。

もちろん、国や民族、経済力、時代などで、その表面に出てくる個々の事象は違ってくると思いますが、
感情が浮き上がってくる構造だったり、感情が噴出する原因だったりというものは、
本質的に全世界で共通しているんだろうなと実感できる作品です。

でも、それを、主人公の牧師のシニカルな心の声で茶化しながら料理しているので
どよ~んとした嫌な気持ちに陥ることなく、面白がりながら読めてしまうのは
著者の力量かなと思います。

事件の真相は、正直、ふーん、そんなもんか・・・・・という感じでした。




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『京都花の艶殺人事件』
- 2022/12/13(Tue) -
山村美紗 『京都花の艶殺人事件』(徳間ノベルズ)、読了。

お気楽読書に山村作品。

銀座から京都のクラブに移ったホステスの主人公。
売れっ子として多くの客からアプローチを受ける中、簡単にはOKしないことで
自分の価値を釣り上げていくという戦略家です。

そんな主人公が勤めるクラブの同僚ホステスが客の別荘で死体で見つかる。
その前には、当該の客自身もホテルで死んでいるのが見つかり、
客との関係で悩んでいたホステスが客を殺して自殺したという見立てとなりますが、
この話はそのまま置き去りになってしまい、特に誰も真相を探ろうとしません。
(まぁ、現実の社会では警察に任せて自分の生活を送るというのが普通でしょうけど)

主人公は、東京時代からの客、京都に移ってからの客、新しく表れた客候補など
いろんな男を相手に、いかに自分を高く売るのか知略を巡らせる物語が展開されます。

あ、これは推理小説ではなく、お水業界のお仕事小説なんだな・・・・と思ったら、
筋書きはそんなに気にならなくなりました。

東京に本社がある大企業の社長、大阪や京都に本社がある中堅企業やローカル企業の社長、
地元選出の代議士、有名な大臣クラスの代議士、それぞれに対して、ホステスという立場の人が
どういう打算的な計算をして、どういう策略をはかって目的を達成しようとするのか
そういう手練手管が知れて面白かったです。

他の作品でも、同じような感想を書いたことがあるのですが、
著者はお水の世界に関してしっかり描写しますよねー。
この業界には職場としてもお客としても触れたことが全くないので、
その描写が正しいのかは判断できないですけど。

男の人が本作を読んだら、「しっかり描いてるな~」と感じるのか、
「誇張し過ぎだよ~」と感じるのか、聞いてみたいです。




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『あなたに伝えたい政治の話』
- 2022/12/11(Sun) -
三浦瑠麗 『あなたに伝えたい政治の話』(文春新書)、読了。

著者の存在を初めて知ったのは、Abemaの橋下徹さんの番組にゲストで出演されたとき。
(番組終了のためYoutubeでは動画が削除されてました。やむなくニコ動の方を上げておきます)

へー、こんな若くて美人な政治学者が出てきたのかー、と興味を持ち、
橋下さんを相手に堂々と話をしている姿は頼もしく思いましたが、
一方で、「美人を前にデレデレする橋本氏」という構図で番組が演出されており、
まず、Abemaとは言え作り手が昭和の価値観のテレビ屋だなぁ・・・・・とガッカリし、
まぁ、こういう古い価値観にも嫌な顔せず乗ってくれる美人インテリ女性は
テレビ屋さんは使いやすいだろうなぁ・・・・と、メディア批判の目線で捉えてました。

しかし、その後、著者自身の活動や発言をネットニュース等で見る機会が増えると、
本人もそういうチヤホヤされる立場がまんざらでもない感じだなぁ・・・・・と感じて
論客としての興味が半減してしまいました。

まぁ、でも、テレビやネットのメディアの演出で歪められた人物像だけで批判するのは
良くないなと反省し、試しに一冊読作を読んでみることにしました。

2015~2018年あたりの政局について、主に著者のブログに書いたことをまとめた本です。
時期的には、安倍政権の中盤~トランプ大統領の登場あたりになります。

まず読んで思ったのは、文章が頭に入ってこないなということ。
べつに難しい表現で書いているわけではないのでが、なんだか読みにくい。
途中で思ったのは、文章に華がないのかな・・・・という漠然とした感想でした。

学者さんや評論家さんの本で、読んでいて面白さを感じるものは、文章の至る所で、
自分が思っていることやモヤモヤと感じていたことをズバッと端的に表現してくれるので
「そうそうそう!」という共感があって、引き込まれていきます。
一方、著者の文章は、平板な感じがして、「端的にズバッと」という感覚がないために
盛り上がりに欠ける気がしました。

内容をちゃんと読んでいくと、政局において、どの党がどういうポジションでどういう行動をしたのか
というような整理がきちんとされていて、さらに、それに対する冷静な批判もあるので
内容は面白いのに、文章が面白くないという残念さ。

あと、批判のスタンスが、保守やリベラルに寄っているのではなく、
各党の政策や行動に対して是々非々なので、そこもフラットだなと感じました。
ただ、整理と批判で終わっているような尻切れトンボな感じもあり、
論客というよりは批評家なのかなぁ・・・・・。

結局、著者の主なメディア登場の場がテレビ中心で、
ネットメディアではゲストどまりなのは、言論の華やかさよりも見た目の華やかさに価値が置かれていて
さらに軸となる自分の主張が見えにくいからなのかなぁ・・・・・と思っちゃいました。






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『他人をほめる人、けなす人』
- 2022/12/10(Sat) -
フランチェスコ・アルベローニ 『他人をほめる人、けなす人』(草思社)、通読。

ブックオフでドカ買いしてきた中の一冊。

自己啓発本かな?と思っていたのですが、
読み始めたら、何の前置きもなしに「楽観的な人、悲観的な人」「皮肉っぽい人、熱狂する人」と
人格のカテゴリごとの解説が始まりました。

なかなかこの解説が終わらないので、いつになったら本文が始まるのかな?と思って
ようやく目次を見たら、最後まで「つねに善意をもてる人」「自分の過ちに気づく人」と
この解説文章が並んでいるだけで、「だから何なのか?」ということが全く分からず(苦笑)。

一応、訳者あとがきはあったものの、
「目次を見るだけで内容のあらましについての見当は付くと思われるので」と書いている始末で
何ら補足説明がなされていません。

うーん、もし現地イタリアでは、こういう形式の著作が普通にあるのかもしれませんが、
日本で翻訳本を出すなら、日本の著作文化に合わせて、せめて、前書きと後書きで
訳者による補足説明が欲しいところです。

でも、奥付を見ると「第27刷」となっており、何でこの本、こんなに売れてるんだ!?




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『百器徒然袋 風』
- 2022/12/09(Fri) -
京極夏彦 『百器徒然袋 風』(講談社NOVELS)、読了。

約10年ぶりぐらいの京極作品。
なんてったって、分厚いですからねー。
何冊かいただきものがあるのですが、積読のまま溜まっていく一方です。

先日、東京出張に持って行ったのですが、
なんと続きものの2冊目の方を持っていってしまい、読めず。
かさばるのに自分アホですねー。
しかも帰宅後に1冊目を探したら、持っていないという・・・・ブックオフで買わないと・・・・。

というわけで、京極作品を読む気にはなっていたので、
積読の中から別の本を。

本作も、シリーズ物の2冊目のようでしたが、どうやら探偵小説の中編集のようなので、
途中からでも行けるかな?と読んでみました。

榎木津薔薇十字探偵と、その下僕たちの物語ですが、
主人公は、下僕じゃないのに騒動に巻き込まれ続けている図面書きの本島君。
彼は凡人中の凡人で存在感のない男として描かれていますが、
これほど奇妙奇天烈な男たちに愛されているのは、それだけで変な人ですよ(苦笑)。

この本島君が、友人の近藤君と一緒に訪れた豪徳寺の参道で
たまたま出会った女性2人組の相談を受けることになり、
それを最終的に榎木津探偵事務所に持ち込むことで騒動が激化します。

そして、収録されている3つの事件は、別々のものかなと思っていたら、
黒幕は繋がっていて、連作集のような流れでした。
しかも、この黒幕に榎木津が狙われる元凶になった「伊豆の事件」というのは
どうやら長編作品として先行発表されているようですが、
そこもあんまり気にせず本作は楽しめました。

何より、コメディタッチで、この主人公の本島君が全ての登場人物の変な行動に
心の中でツッコんでいくので、それを軸に読んでいけば楽しめます。
小心者の凡人なので、あくまで「心の中で」のツッコミであり、
変人たちの暴走は一向に収まらず、好き放題に暴れてます。
凡人の本島君は心の中でツッコミながらも巻き込まれ被害は全く止まらず、哀れ哀れ。

そこに、中禅寺の博識が挿入され、なんとなく実のある話を読んだような気になりますが、
でも全体を通すとバカバカしいという。

ページ数の多い大作ですが、中身は軽いという、まぁそれはそれで面白かったです。




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『津に縁のある本の話』
- 2022/12/08(Thu) -
岡正基 『津に縁のある本の話』(二角獣社)、読了。

以前に読んだ同じ著者の『津ゆかりの作家と作品』とセットで
親戚のおじさんにもらった本。

前著は、津市出身というような作家個人の縁も重視されていたように感じましたが、
本作では、もちろん作家の略歴も押さえながら、そのうえで、その作家の作品に
津がどういう形で登場してくるのかというところを重視していて、面白かったです。
やっぱり、津という町が、作品に直接どんな影響を与えているのか気になりますからね。

紹介されている作品は、どれも読んだことがなかったので、これから読んでみたいと感じましたが、
詩集など小規模な出版のものもあったので、どうやったら入手できるかなぁ?と。
図書館の「地域の本」コーナーに行ったらあるのかな?

あと、ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士が津の海についてのエッセイを
残しているのもびっくりしました。
京都一中に在学中の湯川少年は、夏の水泳実習で毎年3週間ほど津で合宿していたとのこと。
その海も、寄宿地にしていたお寺も、私の実家のそばだったので、
あんなに偉大な業績を残した日本人が、少年時代の人格形成期に津で過ごしていたのかと思うと
感慨深いものがありました。

司馬遼太郎も津に訪れた際のエッセイを残しているようで、この方は、高虎公は嫌いでしょうけど(苦笑)、
地元民が結城宗広のことを「結城さん、結城さん」と親しみを込めて呼んでいることを
温かな目線で書いており、是非、高虎公も「高虎さん」として地元民のヒーローであることは
感じてほしかったなと(苦笑)。

ま、とりあえず、時間のある時に図書館に行って、1冊ずつ探してみるかな。


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『ひとりをたのしむ』
- 2022/12/07(Wed) -
伊集院静 『ひとりをたのしむ』(講談社)、読了。

伊集院静氏は、大作家さんだと思うのですが、
これまであんまり接点がないままになってました。
わずか4冊しか読んだことがないのに、うち2冊がサイバラ女史との本ということで、
私はかなり歪んだ読み方をしているはず・・・・・(苦笑)。

たまたまブックオフで本作を見かけて、
「ひとり」がテーマだったので、買ってみました。
そんなに内容は気にしてなくて、時間つぶしの一冊ぐらいのつもりでしたが、
読んでみたら凄く心に沁み込んできました。

シリーズの第10弾ということですが、
雑誌の連載のようで、途中から読んでも問題なかったです。
というか、読み始めて気づいたのですが、2021年の発行で、コロナの話とかが出てきて
とても「今」を感じるエッセイでした。

「おひとり様」みたいな要素を感じるタイトルですが、
読んでみたら、著者のほんの些細な日常を切り取ったエッセイが続き、
肩ひじ張らない姿と、でも、気になることには「バカモノが!」と憤慨している姿と、
その作っていない感じが、読んでいてすんなりと受け入れられました。

とにかく穏やかな感じの文章が、心に染みます。
ところどころ「バカモン!」と怒ってますが、それすらも染みてきます。
ものすごく忙しい日常を生きているはずの著者ですが、
年老いた愛犬に寄り添う時間を大切にしたり、ランチに入ったレストランでの隣の席の
お客さんの会話に耳を傾けたり、編集者との電話の言葉の端々を気にしたり。

コロナ禍で、「不要不急の外出を控えてください」と言われる生活の中で、
窮屈な日々を暮らしていても、小さな気づきからいろいろ思いを巡らして
こんな世の中で良いのか?というような視線を向けていることに、
あぁ、感受性が高い人は、窮屈な日々でもいろいろ考えてるんだなーと感嘆。

読んでいて、心が落ち着いていく様子が感じられました。

一方で、あんまり著者のことを知らなかったので、
エッセイの中に出てくる「前妻」という言葉や「家人」という言葉になんだか含意がありそうな気がして
読み終わってから検索してみたら、夏目雅子に、篠ひろ子!?
なんとまぁ豪華な奥様陣、そして波乱万丈の夫婦生活・・・・・。
ちょっと読後感のイメージ変わりました(苦笑)。

そして、マッチの大ヒット曲の作詞は著者だったのかと初めて知りました。
わたくし、たしか、保育園の運動会でこの曲でお遊戯したはず・・・・。




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