fc2ブログ
『すごいトシヨリBOOK』
- 2022/09/29(Thu) -
池内紀 『すごいトシヨリBOOK』(毎日新聞出版)、読了。

実家にあった本。
父や母が買ってくる類の本ではないので、たぶん、いただきものでしょう。

そもそも、読んでたら著者が77歳だというくだりが出てきて、
「えー、そんなにご年配だったの!?」とびっくり。
自然科学系の池谷裕二さんと頭の中でごっちゃになっちゃってたかも(苦笑)。

後期高齢者の著者が、同年配に向けて送るメッセージエッセイなのですが、
その内容は、結構、「身の丈に合わせろ」「無理をするな」「背伸びをするな」みたいな
高齢者に対して過信を戒めるようなものだったので、40代の私も、納得しながら読めました。

正直、高齢者に向けて「自由に生きろ!」「福祉を活用しろ!」的なメッセージを送られると、
「わたしら、その原資を払わされてるんですけど・・・・・」と捻くれた気持ちになってしまうのですが、
「50歳を過ぎたら下り坂に入るのだから、下りのペースに合わせた人生の楽しみ方を」
という著者のようなメッセージを出してもらえると、一つのコミュニティの中で一緒に
暮らしていけるように感じますし、むしろ、自分も10年後、20年後に入っていく世界なので、
年の取り方について自分が憧れるようなモデルケースになってくれる高齢者が
たくさん増えてくれると嬉しいなと感じました。

言っている本質はシビアなのですが、
著者なりの優しい言葉で書かれているので、手触りは温かです。
できるだけ多くの高齢者の方に読んでいただきたいです。

うちの両親は、ちゃんと読んだのかしら?




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  池内紀 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『雛の葬列』
- 2022/09/28(Wed) -
清水一行 『雛の葬列』(祥伝社)、読了。

近所の公民館の図書室から廃棄処分になったものをもらってきました。

舞台は戦後の特殊鋼メーカー。
総合鉄鋼メーカーを相手に、朝鮮戦争での急な儲けを設備投資に回し、
ヨーロッパから最新設備を導入することで、ここでしか作れないという特殊鋼を武器にし、
成長していきますが、やがて総合鉄鋼メーカーの地力に押されて・・・・・・。

戦後の日本が工業国として再び立ち上がってくる勢いの良さを、
特殊鋼というジャンルを通して感じることができます。

物語としては、景気が傾いた特殊鋼メーカーの経理責任役員が死体で発見されたことで
その犯人を警察が捜査するというサスペンスものですが、
複雑に絡み合った鉄鋼業界の企業関係や人材の流動性について
ギョーカイものとして興味深く読みました。

「鉄鋼」と「雛」という重厚な言葉と可愛い言葉のギャップはどういう意味なのかな?と思ってましたが、
3月3日に人が亡くなる、それも一人じゃなく・・・・ということで、あ、だから「葬列」なのね、と。

総会屋も絡んで、企業の闇の部分を映した作品なのだと思いますが、
ここまで何人も死ぬと、さすがになぁ・・・・・・と思っちゃうところもあります。
でも、昔は、国鉄総裁が殺されたりしたからなぁ・・・・・と考えると、
こういうギラギラした世界もあんまり違和感なかったのかもしれませんね。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  清水一行 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『山女日記』
- 2022/09/27(Tue) -
湊かなえ 『山女日記』(幻冬舎文庫)、読了。

あのドロドロの湊かなえが山登りの本なんて!と驚き、
買ったもののしばらく積読でした。

8つのお話が入っており、8つの山が登場します。

冒頭の「妙高山」で、デパート勤務の女性が、デパートで行われたアウトドアフェアの余韻で
同期を誘って人生初の山登りをする話が出てきますが、
山登りなんて小学校の遠足以来したことがない私にとっては、
「え、山小屋に泊まって縦走するような山登りを、初心者がいきなり行っちゃうの!?」と
物語の内容そのものよりも、まず、その物語の入り口の展開に驚いてしまいました。

私は、スキューバダイビングが趣味で(ここ数年行けてないですが・・・・)、
はまってた時は年間50日ほど海に居たので、
きっと山が好きという人も同じ感じなんだろうなぁと漠然と思ってました。
遊ぶフィールドが海と山で違うだけでアウトドアとして同じだろうと。

でも、スキューバダイビングはライセンスが必要なスポーツなので、
プールと海でインストラクターの指導を数日ずつ受けて、さらにルールの理解度を図るために
筆記テストもあったうえで、インストラクターがOKを出さないとライセンスがおりません。
そしてライセンス取得後も、基本的にはインストラクターなりガイドなり、
プロのダイバーに海の中を案内してもらうので、常にそばに頼れるプロがいる状態です。

山はライセンスがないので素人でもチャレンジしやすいというのは理解してましたが、
それでも初心者が山に登る際には、ベテランの先輩にくっついていったり、
初心者向けツアーに参加したり、ガイドを頼んだりするものかと思い込んでました。
そうか、いきなり一人で行こうと思えば行けてしまうのか・・・・・と驚き、
そして、リスク管理がそれできちんとできるのかしら?と不安に感じました。
まぁ、自己責任の世界なのかもしれませんが。

「槍ヶ岳」の中に、初めて登山をした中年女性が、自分の体力や技術を過信して
途中で動けなくなってしまう様子が描かれてますが、
動けなくなっても「休憩したら大丈夫です!」と強気に反論する姿を見て、
「うわー、ダイバーでこういう人はなかなかお目にかからないなぁ・・・・」と感じてしまいました。
インストラクターさんは、無理だと思ったら「ダメです」ってはっきり言いますからね。
何度かダメと言われたら我が儘は言わなくなるか、ダイビングを辞めるかしちゃいます。

そういう海と山の違いを思いながら読んでいると、この本のテーマである
「山に登って自分の人生を考える」という行動が、あ、海にはないわ・・・・と思っちゃいました。
山は何日もかけて歩くので、考える時間もたっぷりあるのでしょうが、
海に潜るのはせいぜい1回60分、しかも気を抜いて何かトラブルに見舞われたら
結構な確率で死んじゃうので、集中した60分となり、考え事をしてる暇がありません。
その分、陸に上がってからの休憩時間は体力回復のためゴロゴロしてることが多いです。
ダイビング旅行に行って、夜、浜辺に寝転んで星空を眺めながら人生を考えるという人は
いるかもしれませんが、本当にダイビングにはまっちゃうと夜も潜りますからねぇ(爆)。

同じアウトドアでも、海と山では、全然違うものを求めて大自然の中に浸ってるんだなと
本作を通して理解できました。

個々の物語の感想は、みんな悩んで生きているけど、山に登ってきちんと向き合ったら
どんな答えであれ、自分が納得できる答えが見つかるんだなと思いました。
登場人物たちみんな、どこか軽そうなところもあるけど、でも、真剣に人生を生きてるんだなと
そういう思いに浸れる爽快な作品でした。

まさか、こんな爽やかタイプの湊かなえ作品があったとは!




にほんブログ村 本ブログへ



この記事のURL |  湊かなえ | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『○に近い△を生きる』
- 2022/09/26(Mon) -
鎌田實 『○に近い△を生きる』(ポプラ新書)、読了。

こちらもブックオフの50円ワゴンで買ってきました。

長野県で地域医療に尽力し、また3.11後に福島県の避難所で医療提供を行うなど
患者や被災者に寄り添って全力で取り組まれている医師です。

多くの患者に接して、無理をし過ぎて体を壊した人、
無理に病気前の自分に戻ろうと無理をしようとする人、
きっとそんな人々の姿を見て、「無理に頑張らなくていいよ」
「世の中、○と×だけじゃなく、柔軟に△という選択肢でいいじゃない」と優しく語りかけます。

「こういう人間にならなくてはならない」「これはできなければならない」という
皆が思い込んでいる「ジョーシキ」に縛られて、苦しい思いをしている人にとっては、
著者の優しい言葉は、染み入るのではないでしょうか。

一方で、世の中を上手くわたっていける人は、自分なりの△を上手く見つけて
するするっと面倒ごとから逃れる術を自然と身に付けてるんですよねー。
それはたぶん、自分の親の柔軟な生き方から学んだり、
もしくは反面教師で学ぶところもあったりするのかと思います。
そういうある種の要領の良さを発揮できない真面目な人に、
本作は助けになる言葉なんじゃないかなと思います。

と、温かな気持ちで読み進めてたら、いきなり安倍政権批判が始まり、ちょっとびっくり。
まぁ、トリクルダウンのような考え方では、弱者は「しばらく我慢して、少しずつ底上げするから」という
感じになり、確かに医療関係者には不満があるかと思います。
安倍政権は、功罪いろいろ議論になりますが、私は、こうやって賛否の議論が巻き起こること自体が
偉大な政治家の証拠だと思います。

政治家として温信があり、それを常に口にし、そして一つ一つ政策として実行していく、
だから賛成する人は信奉者のようになるし、反対する人は徹底的に毛嫌いする。
批判されたからと言って、簡単に信念を曲げたり隠したりせずに、議論を誘導する、
それがトップリーダーとしての政治家のあるべき姿だと思います。
(ちょっと強引に推し進める時があったことは、確かに私もどうかなとは思いますが・・・・)

民主党政権だったり、今の岸田内閣だったり、かつての自民党政権で短命の内閣だったり、
そういう人たちは、どんな日本を目指すのか、今何をしなければいけないと考えているのか
そのあたりが見えてこないし、ちょっと説明して批判されたらすぐに翻したり、
そういう不安定でふにゃふにゃな政治家には、賛成も起きないけど、大反対も起きませんよね。
55年体制の時の社会党も、彼らは野党として一本筋が通る政策議論をしてたと思います。
だから1/3もの議席を獲得できていたのだろうと。
野党も与党も、骨のある政治家が、もっと前面に出てくるように望みます。

話が逸れましたが、後半に、チェ・ゲバラの話が出てきて、
あ、著者はゲバラ信奉者なのか、そりゃアベノミクスは嫌いだろうなぁ・・・・・と納得。
著者が描くゲバラの、民衆と共に農作業をする姿には興味を覚えたので、
いつかゲバラの伝記とか読んでみたいなと感じました。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『偽証(ガセネタ)』
- 2022/09/25(Sun) -
南英男 『偽証(ガセネタ)』(祥伝社文庫)、通読。

ドカッといただいた本の中の一冊。
シリーズものの4作目のようですが、これしかなかったので4話目から。

警察組織内で問題行動を起こしたものの、対外的な理屈や組織内の派閥の理屈で
クビにならずに組織内に留め置かれた「優秀な」問題児たちが集められたという特命遊撃班。
その班で今回扱うことになったのは、数年前に組織の理屈で警察を辞めさせられた元刑事が
何者かに射殺されるという事件が起き、解決の糸口が見つからないため捜査に加わることに。

うーん、全然、頭に文章が入ってこなくて、そもそもの物語が描けませんでした。
登場人物たちに魅力的に思える人がいないという個人の趣味の問題だけでなく、
そもそも事件があちこちに展開し過ぎなのではないかと感じました。

そして、その先々で主人公のはみだし刑事が
「真実をしゃべったらお前の罪は目をつぶってやる」的な違法捜査をして
情報を得ていくのですが、その展開もワンパターン。

紅一点の女性捜査官も、姉が失踪している妹に対して、初対面なのに
「お姉さんは、もうこの世にはいないかもしれないと思てらっしゃるのね」なんて
軽々しく口にする人間性も残念。

シリーズの最初から読んでいたら・・・・・・いや、たぶん、無理だな。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『オールド』
- 2022/09/24(Sat) -
『オールド』

出張で泊まったホテルがホームシアター無料だったので
並んだタイトルから時間が2時間を超えないものを探して、これに落ち着きました。

とあるビーチリゾートに遊びに来た家族。
ホテルの支配人?から、こっそり秘密の提案を受けて、プライベートビーチへ出かけることに。
もうひと家族と一緒になり、さらに遅れてやってきた夫婦と
都合3家族が半日ビーチで過ごすことに。
しかし、少しの時間遊んでいると、子供たちが見知らぬ少年少女に変貌していた・・・・・・。

特殊な鉱石に囲まれている影響で、体の成長(細胞のサイクルかな?)が
異様に速いスピード(30分で1年分)で進むことがわかり、皆、ビーチを逃げ出そうとします。
しかし、やってきた道は鉱石の間を走る道で、その道を進もうとすると
細胞の成長速度に体が追い付かず、意識を失ってしまい脱出不可能。

老衰で死ぬ者が出て、持病で死ぬ者が出て、
そして精神の異常で互いを傷つけ合い・・・・・・・。
そりゃまぁ、こんな変なところに閉じ込められて、しかも自分の寿命が100歳まであったとしても
明日のうちには死んじゃうと分かったら、気が振れてしまいますわ。

ま、そこまでは分かるのですが、こんな高級リゾート地に遊びに来られる人たちなので、
金持ち=成功者=知的階層という図式に当てはまるような、
医者、数理学者、博物学者、アーティストばかりが揃っているのですが、
しかし、脱出に向けての作戦会議や、命を守るためのリスク回避の行動が
いずれも思い付きで脇が甘々なので、どんどん人が死んでいきます(苦笑)。
知性も何もあったもんじゃない・・・・・という感じ。

そして、細かいところの雑な感じがとても気になる(苦笑)。
でっかくなった子供の水着はどこから調達したのよ?とか、
体だけじゃなく頭脳も急に大人になっちゃいないかい?とか、
腫瘍の手術は化膿しないのに錆は一気に体に回るの?とか、
種を残す本能凄すぎない?とか、
息なげーな!とか。

結局、「超高速で年を取る」というアイデアを映像で見せるためだけの映画かなという感じでした。
最後に、なぜこんなところにこの3家族が送り込まれたのかという真相の部分は
私は結構面白く思いました。Amazonレビューではくそみそな人も多かったですが(苦笑)。

確かに、製薬会社にとっては、1年で50年分の治験データが取れれば
たった1サンプルだったとしても、得られる情報は多そうです。
ただ、得られるデータが遠隔の映像のみというのはもったいない。
死体の回収をしないと意味ないかもね。




この記事のURL |  ナイト・シャマラン | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『「おじさん」的思考』
- 2022/09/23(Fri) -
内田樹 『「おじさん」的思考』(角川文庫)、読了。

著者の社会考察にはとっても納得できるのに
なぜか社会問題の解決策としての政策議論になると全然賛同できないという傾向が
顕著なのですが、まあ、でも仕方ないのかな。

経済学者とかになると、政府に直接経済政策を助言する学者という存在はあり得ても、
社会学者や哲学者は政府と近づくきかっけがないですよね・・・・。
で目だつ論陣を張ろうとすると、政府には批判的な言説となってしまい、
なんだか反対ばかりしているように見えてしまう・・・・・あ、どこかの野党みたいだ!

いや、決して、内田樹氏が野党的だと言っているわけではないのですが、
でも立憲民主党パートナーですからね(爆)。

閑話休題。

本作でも、自衛隊と憲法9条みたいな議論は、やっぱり、そっち側の結論になるのかー的な
ところはありましたが、でも、概ね、日本社会をバッサリ斬ってるところは
読んでいて興味深かったです。

本作を通じて感じたのは、著者は、日本社会の今の姿をありのままに受け止めて、
決して理想論を振りかざそうとせず、「今すでにこういう事態なのだから
今後に向けて最善の策はこういうことだと思うよ」という、結構冷たい提案なんですよね。

でも、著者の提案は、「できない人はできないし、分からない人は分からないんだから
分ってる僕らがこういう風に気を回してあげないとダメだよね」的な、
最後の最後は優しい結論になるんですよね。

私は、そこを、「分からない奴には分け前はない」と最後までばっさり切り捨ててしまうので
著者の提案には「そんな最後に優しくしちゃったら、分かろうという努力をしなくなっちゃいますよ~」
と批判的な気持ちなっちゃうんだなと、なんとなく理解できました。

最後の最後、弱者の側に立つのが著者で、最後まで勝ち組思想に乗っかってるのが私。
自分もいつ脱落するかわからないから、著者のような優しい世界の方が
本当は良いのかもしれないと思いつつ、でも、甘やかすから世の中が堕落するんだ!と
思っている自分もいて、結論が出ないです。

40代でまだ体力があるから、勝ち組理論に乗っかりたがるのかもしれません。
50代になり、60代になったら、転向してるかも。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  内田樹 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『なぜあの人は会社を辞めても食べていけるのか?』
- 2022/09/22(Thu) -
藤井孝一 『なぜあの人は会社を辞めても食べていけるのか?』(アスカビジネス)、通読。

もう会社辞めちゃったし、その後起業してとりあえず食べていけてるので、
別にこの本を読む差し迫った必要性はなかったのですが、
ブックオフで50円ワゴンに入ってて、なんとなく買ってしまいました。

ざっと読んでみて思ったのは、
会社を辞めて起業して食べていける人は、そもそもこんな本を読まなくても
自分の頭で考えて、事業スキームを構築したり、リスクを抑える工夫をしたり、
いろいろ手を施すだろうなということ。

逆に、この手の本を読まないと会社を辞める踏ん切りがつかない人は、
たぶん辞めたところで道に迷ってしまうだろうから、止めといたほうが良いのでは?と思ってしまいます。

そして、本一冊読んだところで、付け焼刃の知恵で何とかなるわけでもなく、
企業に勤めてる時から、いろんな経験積んで、しっかり身に着けてないと
いざという時にパニくると思います。

それを思うと、サラリーマンの時って、会社のブランド力のおかげで
分不相応な規模の仕事をやらせてもらい、万が一失敗しても、
部長なり役員なり社長なりが責任を取ってくれて、一社員である私は
社内で頭下げるだけで許されるなんて、なんてありがたい環境だったんだろうと思います。

今は、昔に比べるとゼロの数が数桁小さい仕事をやり、
ミスをしたら全部自分のせい、従業員のミスも全部自分のせい、
責任を負うという意味ではとってもしんどい立場です。

企業勤めの頃は、いろんな人に守ってもらいながら、
でも自分の能力からするとかなり背伸びした仕事までやらせてもらって
感謝しきれない良い環境だったなと思います。
会社辞めても、時々上司や役員が、飲み会の席から「今何やってんの~」と
電話を架けてきてくれる、とてもフレンドリーな職場でした。

コロナ禍以降、2年以上、お世話になった会社には遊びに行けてないですが
その間も何かと目をかけてくださり、
そろそろお邪魔しないとお世話になりっぱなしで申し訳ないですね。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『雪蛍』
- 2022/09/20(Tue) -
大沢在昌 『雪蛍』(講談社)、読了。

これまたお客様にいただいた本。

探偵崩れで、今は薬物中毒者のシェルター的な組織に身を置く男が主人公。
どうやら前職の頃の探偵時代の話がシリーズ化されているようで、
本作は、そのキャラクターの復帰第一作だったようです。

シリーズを順に読んでいたら良かったのかもしれませんが、
本作を何の前知識もない状態で読んだ自分としては、
物語の構造を理解するのに手間取りました。

冒頭、有名アイドル少女が失踪し、その連れ戻しに主人公が東北の僻地に向かったところから
始まるのですが、とにかく、主人公も少女も、肩ひじ張ったしゃべり方しかできなくて、
ザッツ・ハードボイルド!私の苦手な世界です(苦笑)。

で、連れ戻してきたら、今度はシェルター側で
新入り薬物中毒者の問題行動が顕在化し、さらに、東京で、行方不明となっている金持ちの娘の
居場所探しを依頼されます。

アイドルの話と、薬物中毒者の話と、金持ちの娘の話、
最初は、この3つがそれぞれ勝手に進んでいくので、頭が混乱しました。
どれか一つでも、他人に仕事を振れよ~、とビジネスマン的思考では愚痴ってしまいます(苦笑)。

最後まで読んでみて、確かに、主人公の人間性に深みを持たせるためには、
薬物中毒者の話と、少女の行方探しと、両面から主人公を描いた方が立体的になるという
その意図は分かったのですが、でも、それぞれ重たい話なんだから
別の作品に分けてよ~、とも思ってしまいました。
シリーズを追いかけている人なら、すんなり読めたのかな?

サスペンス作品という点では、行方不明の娘探しの方が、
芸能界やらヤクザ社会やら地元警察が絡んでくるので面白かったのですが、
でも、あまりに特殊な価値観を持った人ばかりが登場してきて、
なんだか疲れました。
少なくとも、私は、関わり合いになりたくない世界だわ・・・・・・という感じ。

唯一、穏やかな日々を求めて別荘暮らしをしている引退した脚本家の生活に
羨ましさは感じましたが。
日がな一日、私なら、本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり、
そういう好きなことをして暮らしたいなぁと。

でも、高齢になってからの別荘一人暮らしは何かあったら不安だから、
お手伝いさんを雇っての別荘暮らしか、もしくは町中で見守りサービス付きマンション暮らしか・・・・・・
そんな、本作とは全く関係のないことを考えながらの読書となり、
「それまでにお金貯めなきゃ!」が最終的な結論となりました。

そんな本じゃないはずなのに(苦笑)。
先日読んだ大沢作品がとても面白かったので、本作も分厚いな~と思いつつ
すぐ手に取ったのですが、うーん、本作のせいで、次の作品に手が伸びるのは億劫になりそう・・・・。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  大沢在昌 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『伝記 世界の偉人 アインシュタイン』
- 2022/09/18(Sun) -
永井道雄、手塚治虫 監修 『伝記 世界の偉人 アインシュタイン』(中央公論社)、読了。

台風が来るというので、実家に避難中。
祖父の本棚を覗いたら、子供向けの学習マンガがあったので
ぱらぱらと見てみました。

アインシュタインの人生を紹介しているのはもちろんのこと、
なんと、相対性理論を解説しようとしちゃってます!
なんとチャレンジングな。

でも、特殊相対性理論の方については、
ある程度理解できるレベルに嚙み砕かれてて、なんか凄い!と学習マンガ相手に
感動してしまいました。

ただ、「光速度不変の原理」が、どういうことを言っているのかは分かりましたが、
「なぜそうなるのか?」は、私には肌感覚として理解ができませんでした。
だから、原理の字面は頭に入りましたが、その内容については腑に落ちてないです。

たとえば、私が好きな自然科学系の学問は地学なのですが、
地学って、その事象が発生する原理が、ある程度実感できるんですよね。
例えば、地震のP波、S波とか、火山岩の色や形という性質がマグマの温度の影響を受けるとか。
中学校の授業で、「温めたカレーはサラサラだけど、冷めてくるとドロドロになるだろ?」という
理科の先生に大納得。この言葉で、花崗岩とか玄武岩とか、一気に興味が持てました。

一方、光って、そういう肌感覚とは次元の違うところにあるものだと思ってます。
そして、物理式も。
だから私は物理が苦手・・・・・気象予報士の試験でも物理関係の知識を問う設問は超苦手・・・・。

というわけで、本作でも、特殊相対性理論は、なんとなく字面の意味は分かりましたが、
腑に落ちず、その先の一般相対性理論は、その手前が腹落ちしてないから
当然、頭に入ってこず・・・・・。

まぁね、難しい理論なんだから、仕方ないんだよ~、と割り切っちゃいました(苦笑)。

マンガとしては、正直、子供向けとは思えないギャグが散見され、
手塚プロの仕事だと思うのですが、あんまり質は良くないように思えました。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ