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『少し酔って』
- 2022/07/31(Sun) -
森瑤子 『少し酔って』(角川文庫)、読了。

ブックオフの50円ワゴンで目に留まり、
「あ、上野千鶴子に喧嘩を習った人だ」と思い、試しに買ってきたら、
上野女史の方は、「遥洋子」さんでした(爆)。

というわけで、何の情報もないままの読書となりましたが、
お酒の名前がタイトルになった短編10編が収録されています。

最初の1編を読んだら、不倫をしている夫が主人公で、その妻がキッチンドランカーだと
最近気づいたことで、妻にどう切り出そうかと悩む話。
客観的に見たら、しょうもない夫婦なのですが、
話の運び方が上手いのか、文章のキレが良いのか、なぜか面白く読めました。

そのあとに続く短編も、男と女の要は痴話げんかみたいな話が多いのに、
なんだかコジャレた感じがして、すいすい読めました。

全く認知外の作家さんでしたが、Wikiで見たら多作な作家さんのようなので、
今後、気にかけていこうかなと思います。




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『夜の京都殺人迷路』
- 2022/07/30(Sat) -
山村美紗 『夜の京都殺人迷路』(徳間ノベルズ)、読了。

京都に住む妹が通りすがりの男3人にレイプされ、その後自殺した。
姉である主人公は、自身が恋人に裏切られ、恋人は上司の娘と結婚することに。
妹の書き残したものから、男3人と一緒に居た女は京都の高級クラブに勤めていると推理し、
勤め先を辞め、京都に引っ越して高級クラブに勤めながら、妹を犯した男たちを探すことに。

かなりな性描写が何度も出てくるので、正直、うーんという感じでしたが、
しかし高級クラブのビジネススキームが結構しっかり書かれており、
そこに興味を持って最後まで読めました。

トップレベルのホステス達のお客様へのサービスぶりや、裏側での勉強ぶり、
そしてホステス間の助け合いや足の引っ張り合い、
お客の側の遊び上手な人、遊び下手な人、それぞれの解説が興味深かったです。

事件の真相については、そもそも、雨が降ってきた観光地で困ってた女性を車で拾い
家に連れてきて、そこでレイプするという事件の流れに、
そんな脇甘な・・・・という感覚もあったので、あんまり被害者に共感できなかったのですが、
犯人側も思慮がない人たちで、どうしようもない感じ。
こんな人たちに翻弄される主人公も、なんだかバカな男に入れあげてたようなところもあり
みんながみんな、しょうもないなー、という、どうしようもない感想になってしまいました。




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『Google経済学』
- 2022/07/29(Fri) -
柴山政行 『Google経済学』(フォレスト出版)、通読。

軽ーいGoogle解説の本かなと思い、気楽な気持ちで手に取りました。

前半は、Googleを中心に、米国Yahoo、マイクロソフト、Mixiなどの
IT企業やSNS企業と財務諸表を比較しながら、解説していきます。
私としては、Googleの事業スキームの特異さを語ってほしかったのですが、
決算書類の読み方の方に重点が置かれており、その解説の事例としてGoogleを使いますよ~
という感じで、正直、あんまり深みがなかったです。

しかも後半は、一般的な経済用語を解説しているだけで、
Googleのビジネス自体からも離れてしまい、残念でした。

やっぱり、Googleを語るなら、そのビジネスの特異性を語ってほしいですよねー。




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『交渉力』
- 2022/07/28(Thu) -
ジョン・イリッチ 『交渉力』(三笠書房)、読了。

近所のおっちゃんからもらって、何年も積読になってた本。

交渉の場面において使えるテクニックを多数紹介しており、
一定参考にはなりますが、あんまり体系だった論述ではなく
思いつくままに並べましたというような感じなので
自分の中で何かが整理された感覚にはなりませんでした。

アメリカと日本では、基本的な文化的差異もありますしね。
どこまで適用できるかは分かりません。

最後、訳者の手による解説ページで
「アメリカ人は交渉に弱い場合が多いと言われる」という一文から始まったので、
「え、!?そうなの??」とビックリしました。
1980年頃の日本では、そういう認識だったんですかね?
とても当時も、日本の交渉力はアメリカの交渉力に敵わなかったように思うのですが・・・・。




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『私を通りすぎた政治家たち』
- 2022/07/27(Wed) -
佐々淳行 『私を通りすぎた政治家たち』(文春文庫)、読了。

安倍元総理が銃撃されたとき、最初の一方はYahooからのプッシュ通知で知り、
外に居たので、ネットの情報やカーラジオの情報で続報を集めてました。
その時に最初に思った疑問は、「なんで2発も至近距離から撃てちゃうの?」
「しかも目撃者が1発目は空砲っぽかったって言ってるけど、この事件、防げたんじゃないの?」。

その後、Twitterなどで、銃撃の瞬間の動画が出回るようになり、
それを見て、やっぱり「なんで1発目の音の後に、安倍さんを伏せさせなかったんだろう?」
という警護要員の動きに対する疑問でした。
あの数秒間に警護要員でも周辺の自民党関係者でも誰か1人が安倍さんを
無理やりにでも演台から引きずり降ろしていたら、死ぬことはなかったんじゃないかと・・・・。

まぁ、今さら、そんなことを言っても命は戻ってこないのですが、
当時、この疑問が頭に膨らんできたときに、
「あぁ、佐々淳行氏だったら、この事件にどんなコメントをしたんだろう?」という思いが沸き上がりました。
まぁ、佐々氏がご存命なら、コメント云々以前に、現場に招集がかかってるかもしれませんが。

本作では、佐々氏が直接仕えた政治家、または与野党の関係の中で議論した相手の政治家について
様々な具体的なエピソードとともに、その人物評と、警備や防衛の観点から
どういう思考を持つべきかという提言をしている一冊です。

官僚として長く第一線で活躍した著者ですので、多くの政治家に仕えており、
当然、エピソードが豊富なので、本作のように一冊にまとめてしまうと
政治家1人当たりの分量が少なくなってしまうのは残念。
ま、でも、多くの著作があるので、個々の事件についての深掘りは
それらを当たったほうが良いのかもしれませんね。

本作では、有名政治家が横並びで評価されており、
しかも、ステーツマン(=国家観をもった政治家)とポリティシャン(=利益優先の政治屋)に
明確に区分して述べているので、著者にとって、政治家を評価する基準が何なのか
よくわかって面白かったです。

与党自民党のステーツマンに対する評価は、他にもいろんな人が本で書いているので
そんなに違和感がなかったというか、新鮮味もやや薄かったですが、
野党のステーツマンに対する評価は興味深く読めました。
公明党、民主党、民社党、政党全体として眺めると、うーんという感じですが、
1人1人の政治家を見ると、やっぱり熱い思いと相当な覚悟を持った傑物がいるものですね。

特に扇千景さんについては、もっと深掘りした本を読んでみたいなと思いました。

安倍晋三氏についても、今後に期待の政治家として名前が挙がってますが、
みんなが嫌がって先延ばしにしてきた政治課題を、いくつも形にしてきた功績は
やはり素晴らしいものだと思います。
そんな偉大なステーツマンの活動が、こんな最期で急に終わってしまうなんて、とても悲しいです。

本作に限らず、著者の作品の中で、
「日本の将来のためにこういう組織の設立を提言してきた」
「日本の将来のためにこういう法律の整備を提言してきた」
という話はたくさん出てきますが、
「日本の将来のためにこういう人材の育成を私はして、具体的にこういう後継者を作った」という
話は印象にないので、優秀な人材が、必ずしも優秀な教育者・育成者にはなりえないという
そういうことも考えさせられる本でした。




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『捨てない生きかた』
- 2022/07/26(Tue) -
五木寛之 『捨てない生きかた』(マガジンハウス新書)、通読。

いただきものの本。

五木寛之氏というと、私が大学生だったころに『大河の一滴』がヒットし、
そこで初めて存在を認識ました。
ヒット本なので、まもなくブックオフで100円で売られるようになり、
試しに読んでみましたが、正直、ピンとこないというのが感想でした。
書かれてい内容がピンとこないというだけでなく、
どういう読者層に刺さっているのかもうまく想像できませんでした。

その後、10年以上著作に触れることはなかったのですが
数年前に近所のおばちゃんに古本の山をドカッと譲っていただき、
その中に著者の作品がたくさん含まれていたので、ちょこちょこ読むようになりました。

その正直な感想は、「こんなすごい小説を書く人だったのか!」というもの。
小説ルポルタージュなど面白い作品がたくさんあり、
まだ読んでないものも手元で積読になっているので楽しみです。

で、本作なのですが、こちらはエッセイ。
帯によると発行から3か月で5刷10万部突破!ということのようですが、
相変わらずこの手の人生を見つめるエッセイ的なものは、私にはピンときません。

なんとなく、著者の同世代の人たちで、生活が別に苦しいわけではないけど
新鮮味が欠けているように感じているような、ないものねだりの人たちが
自分たちの暮らしを肯定してほしくて読んでいるのかな?と
勝手な想像ですが、そんな風に感じながら読んでました。

大きな文字で行間もしっかり空いているので、分量的にもかなりあっさりしてると思うのですが
これで先に書いたような帯が付くぐらい売れるというのは、
もう五木ブランドが確立してるということなのでしょうかね。
本の内容より、一つのビジネスアイテムとして考察したくなりましたわ。




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『MBA経理課長 団達也の不正調査ファイル』
- 2022/07/25(Mon) -
林總 『MBA経理課長 団達也の不正調査ファイル』(日経ビジネス人文庫)、読了。

小説仕立ての会計実務を解説した本。
日経ビジネスオンラインの連載企画だそうです。

この手の小説仕立てのビジネス本はいろいろ出てますが、
他の著者のシリーズよりも小説としての書きぶりがそれなりに様になってて、
ストレスなく読めました。

シンガポール大学ビジネススクールでMBAを取得した主人公は、
並みいるコンサル企業からのオファーを蹴って、恩師の勧めに従って
日本の中規模部品メーカーに就職します。

創業者が亡くなり、社長を継いだボンボンは優柔不断で経営判断ができない。
そのためいとこで銀行勤務だった優秀な男を専務に引き入れますが、
次第に専務が経営権を握るようになり、専横的な行動を隠さなくなってきます。
そんな状況で経理課長として就職した主人公は、
社内に蔓延る不正を見つけて糾弾していきます。

メーカーだからこそ可能な仕掛品の過大評価とか
仕入販売で労力なしに売上を底上げできる循環取引とか、
具体的にこうやってやるのかぁ・・・・・と変な実務が勉強になりました(苦笑)。

現場に会計知識がなければ、それこそ経理部や調達担当に指示された通りに
伝票を立てたり仕入れ品を動かしたりしてしまうでしょうから、
スキームの組み立てさえしっかりできたら、統制の取れている日本の会社組織では
意外と実行しやすいのかもしれませんね。

そして、社内でいろんな悪事を繰り広げてきた専務に対しても、
最後に、「最初から乗っ取ろうというようなつもりはなかったはず」と評価しており、
意外とそうなのかもな・・・・と感じました。
あまりに跡継ぎ社長がボンボンで頼りないから、自分がなんとなしなければ・・・・という思いから
次第に、自分の能力をストレートに発揮するために権力を集める必要があり、
それが、専務というポジションのために歪んだ指揮系統の構造になってしまい
最終的に、乗っ取らないとダメだという判断になってしまったのかなと。

この手の作品では、悪役に対しては勧善懲悪を求めたくなるのですが、
小さいながらも会社経営をしている身としては、
本作の専務には、なんだかちょっと同情してしまうところがありました




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『地層捜査』
- 2022/07/24(Sun) -
佐々木譲 『地層捜査』(文春文庫)、読了。

キャリア官僚に暴言を吐いて謹慎処分になった若手刑事の主人公。
謹慎明けに与えられた仕事は、迷宮入りになった15年前の殺人事件の再捜査。
別に新たな証拠や証言が出てきたわけではなく、関係者の都議から
「自分に疑いがかかったままで気持ち悪いから解決してほしい」というクレームがあったから。

事件の舞台になった荒木町を、定年退職した相談員の所轄OBとともに
2人で歩き回って事件の真相にたどり着く・・・・・。

この荒木町という町、本作でも、小さな飲み屋が集まっている場所として描かれていますが
私も東京でサラリーマンをした居た頃、よく飲みに誘っていただいた上司から
「最近、荒木町にはまっててさぁ~」という話を聞き、気にはなっていたのですが、
結局、その上司と飲みに行くことはありませんでした。
会社から近い池袋から数駅の範囲で飲むことが多かったので。

ただ、住居が新宿区だったので、あちこち散歩する中で、荒木町周辺は何度か歩きました。
荒木町を意識していた訳ではなく、四谷方面や新宿方面に散歩するとき、
曙橋のあたりを通っていきました。
で、先の上司の荒木町云々という話を聞いた後で、「あ、荒木町ってこの辺か~」と
散歩の途中で発見したような次第です。
通ったのは昼間でしたが、その時に見た町のディープそうな雰囲気から
「こりゃ、おじ様に連れてきてもらわないと、女子会では使いにくそうだな」と判断。

そういう、なんとなくの土地に対するリアルな印象が記憶に残ってたので、
本作で捜査員2人が荒木町を歩き回るシーンが立体的に頭の中に蘇ってきて、
非常に面白く読めました。

というか、作品としては地味なものだと思うので、
この荒木町という町を知っているかどうかで、面白さが変わってきそうな気がします。

物語は、バブル崩壊期における地上げが行われた荒木町という舞台において
とある芸者上がりのアパートオーナーが刺殺された事件を再捜査するのですが、
地上げが横行した時代も過去のものであれば、荒木町が花街だったのも過去のこと。
現代の若手刑事が、2つの過去が重なる街で殺人事件を捜査するという枠組みに、
ビジネス世界の厳しさと、時代が変わっていく厳しさの両面が感じられる
重みのある作品で、興味深く読みました。

この若手刑事と、サポートについたOB刑事が
それぞれ別の筋読みをしていながら、お互いを尊重して協力はきちんと行うという
大人な関係を作っていくため、そこも面白かったです。
変に自我を通して対立するのではなく、相手を尊重しつつ自分の意見も伝えていく
その大人な対応には、ビジネスマンとして学ぶべきところもありました。

途中で、別の殺人事件も見えてきて、複雑な雰囲気を漂わせていきますが、
正直、大元の事件の真相については、あんまり好みの展開ではありませんでした。
というか、その真相が顕わになるプロセスにおけるOB刑事の関与の仕方が
それまでのOB刑事の捜査姿勢に対する私の評価を傷つけるような展開で、残念でした。
まじめな刑事はまじめな刑事であって欲しかったです。情より役目。




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『生きる姿勢』
- 2022/07/23(Sat) -
曽野綾子 『生きる姿勢』(河出書房新社)、読了。

この方のサバサバした生き方、好きです。
ただ一方で、裕福な家庭に生まれ、才能があり、生活に余裕があるからこそ
こういう割り切った考え方を実行できるのか、
それとも、こういう割り切った考えを実行できるから成功したのか、
どちらなのかなー、なんて本題に関係ないことを思いながら読んでました。

どっちが、というものではなく、
余裕があるから割り切れるし、割り切れるから成功するという
良いループにはまっているということなのかなと思いますが、
自分の信念にそって一生懸命頑張り、現場に立ち、また組織のトップに立ち、
やれることはやってきたという清々しさも、エネルギーになるのかなと思いました。

悪意というものはもともと破壊的なものだが、善意と信じられる感情もまたやっかいな存在。
善意の背後には、自分がその人を理解しているという自負がある。

ありがた迷惑という言葉があるように、概念としては理解できてて、
具体的にそういうものを押し付けられたときに嫌だなと感じても、
それに対処するのはなかなか難しく、つい諦めて受け入れてしまいますよね。

私自身は、なるべく、ありがた迷惑なことはしないように気をつけてるつもりですが、
断る力までは持っていません。
でも、きっと著者は、断る力まで持ってそうだなー、うらやましいなー、と思ってしまします。
まぁ、断るストレスもあるので、断って捨てられるストレスと、どちらが大きいかを
判断することになると思うのですが、著者のような強い心で判断できるようになりたいなと。

強い心を形成している1つは信仰心だと思うのですが、
私は、仏教+神道+アニミズムの上に積みあがった日本人的な常識観みたいなものに、
ビジネスライクなコスパ重視の考え方をミックスしたものが拠り所なのかな。
なんだか相反するもののようでもありますが、なんとなく自分の中には共存できてるので
きちんと自分なりに考えて突き詰めていくプロセスが大事なのかなと思います。




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『家族写真』
- 2022/07/22(Fri) -
荻原浩 『家族写真』(講談社文庫)、読了。

荻原浩らしい軽いタッチのコメディ短編が並んだ一冊。
いずれも家族が主人公で、強い妻と弱い夫、子供からの突き上げなり冷たい反応なり、
そういう家族内の人間関係を、笑いと自虐を交えて描いていきます。

最初の3編「結婚しようよ」「磯野波平を探して」「肉村さん一家176㎏」と読んできて、
お父さんが家族みんなに対して非常に気を遣いながら会話をしていて、
機嫌を取るような冗談を言ったり、自分を落としてネタにしたり、
涙ぐましい努力の姿に、「あぁ、今の父親っていうのは大変なんだなぁ」とおもう一方で、
「今のお父さんって、こんなにポップな会話ができるのか」と時代を感じてもいました。

私の父親はもう70代ですが、年齢の割にはおしゃべりで、
結構冗談を言って場を盛り上げたがる人ですが
年代相応の堅苦しさもあり、私の父のおしゃべり感と
本作に登場するような今の40代50代のお父さんのおしゃべり感は
またちょっとニュアンスが違ってて、うまくその差異は表現できないですが、
その違いを感じながら読んでいくと面白かったです。

そのお父さん像が最も象徴的に表れていたのが「しりとりの、り」でしたが、
渋滞の車の中で、父親が思い付きで発した「しりとりをしよう!」に対して
18歳の娘でさえ渋々ながら参加してくれるのは、ある意味、仲良い家族だなと(苦笑)。
しかも「リンパ腺・・・・の腫れた医師」から始めて、大きくバカにされることもなく
妻が「食器洗い乾燥機」と答えて、子供たちも順番に応えていくというのは、
なんだか、良い家族だなーと思えてしまいました。
オチも含めて、良い家族です。

一番印象に残ったのは、表題作の「家族写真」。
地方で小さな写真館を経営する父親が倒れて入院、
写真館を手伝っていた引きこもり気味の娘の呼びかけで、
東京でカメラマン見習いをしている息子が一時的に帰ってきます。
ベタな展開ではあるのですが、息子や娘が、それぞれ自分の生活の中でぶつかっている
壁を乗り越えようとしている気持ちに共感出来て、良い作品でした。




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