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『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業』
- 2022/05/31(Tue) -
夏野剛 『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業』(幻冬舎新書)、読了。

夏野さんの本を読むのはこれで3冊目ですが、
どの本も、夏野さんの面白さがイマイチ出ていない凡庸な内容になってしまっているような気がします。

Abemaの番組などで夏野さんはよく見かけて、
一般人があーだこーだ思い込みで社会に対する不安や不満を述べると、
経営者としての経験からズバッと「その考え方はおかしい」というような指摘をされるので
個人的に非常に注目しているコメンテーターです。
ただ、口が悪かったり、態度が大きかったりするので世間的には誤解されているように感じますが、
自分の視点を明確に主張するために、あえてそういう態度をとっているようにも思えます。

動画が面白く、新書が面白くないのはなぜなんだろう??と思いながら読んでいたのですが、
著者の存在価値は、世間一般が誤ったイメージや意見を持っている事象について
「そうじゃないよ、本質はこういうことだよ」とクリアに見せてくれるところにあり、
そのクリアさが際立つのは「議論」になったときなので、
一人で淡々と解説する新書という形式は向かないんだろうなと思います。
対談形式とか、読者からの質問に答えるというような形式だったら
もうちょっと面白さは出てくるのかなと感じました。

夏野さんの著作の代表作ってどれなんでしょうかね?
それを読んでみても面白くなかったら、夏野氏の著作は私的には打ち止めかな。

なお、本作は、相変わらずタイトルと中身の乖離が甚だしいです。
編集者が、著者の世間的イメージをベースに、毒のあるタイトルを無理やりつけてるような気がして
タイトルが読書前の印象をミスリードするから、読んでも満足度があがらないという
悪影響を与えている気がします。






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『小樽地獄坂の殺人』
- 2022/05/29(Sun) -
山村美紗 『小樽地獄坂の殺人』(講談社文庫)、読了。

癌で亡くなった父親の遺言状に
「自分が死んだら笛木和子に2000万円、小川明夫に1000万円、
 三田村雅也の居場所が分かったら彼と結婚してほしい、
 結婚できなければ彼に3000万円を渡してほしい」
とあり、3人とも知らない人物のため、娘である主人公は3人を探すところから始めます。

いやいや、3人を探しちゃうのかよ!と、まずそこから突っ込み(苦笑)。
だって、知らない男で、しかも父親自身も居場所すら把握していない男と結婚しろという
意味不明の指示が書かれており、こんなの受け入れられんでしょうに。

まあ、一体だれなのか、父親とどんな関係なのかというところは気になりますから
私だったら興信所とか使って調査はすると思います。
自ら相手のところに乗り込んでいって、相手がどんな人なのかわからないままに
「父の遺言で2000万円をもらってください」なんて話はしませんよ。

まぁ、山村作品にリアリティというか、現実的な思考回路を求めても仕方ないのかもしれませんね。
そこさえ乗り越えられたら、京都と北海道を行ったり来たり、
また、どんどん人が殺されていくので(苦笑)、テンポは良いです。

父親の死をきっかけに、主人公の周りに新しい人間関係がどんどん生まれていくので、
きっとこの中に怪しげな人物がいて、意図的に近づいてきたんだろうな・・・・・と思ってましたが、
私の予想は半分当たって半分外れでした。

ま、時間つぶしにはなりました。




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『海の見える理髪店』
- 2022/05/27(Fri) -
荻原浩 『海の見える理髪店』(集英社文庫)、読了。

直木賞受賞作ということで期待しましたが、
読みはじめたら短編集で、「直木賞を与えるならこの作品じゃないだろう!」と怒りが沸々(苦笑)。

なんだか直木賞って、最近、常に与える作品を外しまくってませんか?
受賞者自体には何の違和感もなく納得できる人選で、むしろ「遅きに失した」と思うことが多いくらい。
何度も候補作に名前が挙がったうえで、ようやく与えられるわけですが、
「これに与えるなら前回候補作の方がふさわしいだろ!」と思えてしまいます。
なんだかなー。
選考委員が年寄りばっかりだから、若手の台頭を素直に評価できないんですかね。
ちなみに、直木賞選考委員のコメントを読んでみたら「他の作品で受賞させたかった」的な
コメントを発している人が何人かいて、そんな言い訳すんな!とさらに怒り(爆)。

というわけで、愚痴愚痴と書いてしまいましたが、
普通に短編集と思って読んでたら十分楽しめたと思います。
「この作品で直木賞かよ・・・・・」という思いがどうしても私の読書タイムを邪魔してくるのが
非常に残念。直木賞の弊害ですよ、こりゃ。

冒頭に表題作があるのですが、たまたま入った理髪店でイメージチェンジをした俳優が
その新たな髪形で演じた役柄がきっかけで大ブレイクを果たしたというエピソードを交えて、
現在、仕事でも家庭でも悩みを抱える主人公が、その理髪店を訪れるお話。
結末は、予想通りというか、ある種の王道路線ではありましたが、
理髪店店主の人柄と、俳優のエピソードの爽快さで楽しく読めました。

他に印象に残ったのは、英語を学び始めてなんでも英単語で呼んでみたい小学生の女の子が主人公の
「空は今日もスカイ」。
女の子の一人語りで進んでいくのですが、ポンポンと英単語が挟まれるので
不思議なリズム感をもった文章になっていて、読んでいて心地よかったです。
終盤、家出という展開になりますが、自宅の方でどんな騒動になっていたのか全く描かれず
警察官に発見されるという場面しか描かれないので、却って自宅の様子が頭の中で
いろいろ想像されてしまい、主人公のこの後が過酷な人生になったのか状況が改善したのか
気になるところですが、家出先の関係者に与えた影響の描写が冷酷だったことを思うと、
少女のこの後も辛い日々が待ち構えていたのではないかと、恐ろしい想像をしてしまいました。

あと、「いつか来た道」。13年間母に会っていなかった娘が、弟に促され
久々に母の元に行くと、自分の頭の中に居た母の姿と現実の老いた母のギャップに直面し
いろいろと心が揺れてしまう娘の心情を描いています。
私は毎週のように母に会ってはいますが、でも一緒には住んでいないので
もし母が、この作品の母のように、レールから足を踏み外してしまうようになったら・・・・と思うと
不安がこみあげてくる作品でした。

というわけで、なんだか不安な気持ちになる作品が多かったのですが、
最後の「成人式」の突き抜けた爽快感に救われました。
突飛なドタバタした展開も、荻原作品らしさが堪能できて良いですね。




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『貯金兄弟』
- 2022/05/26(Thu) -
竹内謙礼、青木寿幸 『貯金兄弟』(PHP文庫)、読了。

両親を亡くしたことで小学生の時に叔父の家に居候することとなった兄弟。
日々の生活が貧しいだけでなく、居心地の悪さも重なり、
それぞれの人格形成に大きな影響を及ぼします。

大人になり、兄はその時にあるお金を将来のためにいかに使うか、
手元のお金以上に使えるお金がどれだけ作れるかというような
良く言えば投資家肌、悪く言えば浪費家の人物に育ちます。
就職先が大手広告代店ということで、金銭感覚も通常の幅よりも過大に膨れていきます。

一方、弟は、節約命の切り詰めた生活を良しとし、
各種制度をいかにお得に活用するか熱心に情報収集を行う人物に育ちます。
固く公務員の仕事を選び、消防士となります。

この兄弟や、その周辺人物のお金にまつわる悩みやトラブルを解決するために、
弟を中心にお金のテクニックを解説、提言していくストーリーで、
お得生活を学べる仕組みになっています。

前半は面白く読んだのですが、後半は、弟に火を自在に操ることができる「パイロキネシス」の
能力があるという話に展開していき、お金の話とどうリンクしていくのかと思ってたら、
全然繋がらないまま物語が終わってしまったので、「なんだったんだ???」という感じでした。

無理に小説としての山場を作ろうとして失敗したかのような・・・・・。

前半が、スムーズにお金の知識を学べる流れになっていて面白かったのに
後半でぐずぐずになってしまって残念でした。




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『ままならないから私とあなた』
- 2022/05/23(Mon) -
朝井リョウ 『ままならないから私とあなた』(文春文庫)、読了。

朝井リョウ的な嫌らしさのある作品で、面白かったです!

冒頭の「レンタル世界」は、レンタル彼女の仕事をしている女性と知り合い、
本物の彼女になってほしいと思いながら、きっかけづくりに大学ラグビー部の先輩で会社の先輩でもある
男の家に彼女をレンタルして遊びに行きますが、
そこで先輩夫婦と向き合うことで、なんでもオープンに共有してきたと思っていた
ラグビー部の先輩後輩の濃密な関係の外にある世界を見せつけられることに・・・・・。

辛らつなオチです。
私が主人公だったら、今後、会社で先輩と今まで通りに会話することができなくなりそうです。
人間って、孤独なんだなー、誰かと理解しあえるなんて、無理なんだなーと、思ってしまいました。
小説を読んでいると、麗しい友情の世界もよく描かれていますが、
でも、現実社会は、この「レンタル世界」で描かれているような状況が広がっているんだろうなと思います。
砂漠感。

表題作の「ままならないから私とあなた」は、小学校で親友になった2人の少女の
成長していく様子を描いています。
数学の才能があり、無駄が嫌いでとにかく効率性を求める薫と、
ピアノの練習に打ち込み将来は作曲家になりたいと願う主人公の雪子。

小学校や中学校での2人の日常は、お互いへの信頼感や安心感が全面に描かれていて
とても微笑ましく、そして羨ましくもある関係性です。
この関係性が、高校、大学、そして社会に出てからもずっと続いていて、
薫は自分の新しいチャレンジを雪子に一番に話し、
雪子は自分の新しい作曲を薫に一番に聞かせます。

なかなかこんな関係って持続できないですよね。
どちらかが、外的要因で生活が変わってしまったりして途中で途絶えてしまうようなことが
多いように思います。

極端な合理主義者の薫と、人間味のある温かさを大事にする雪子の
その対極な性格が、うまく凸凹になってブレンドされた人間関係なのかなと思いながら読みました。
お互いに相手のことを大事に思って行動するので、常にあたたかな空気が2人の間に流れています。

しかし、社会経験を積んでいくにつれ、薫の合理主義的な性格は先鋭さを増し、
人間の不器用な部分や目標達成までに時間を要してしまう部分を「無駄」と切り捨てるようになり、
デジタルの力で人間の足りない部分を乗り越えるどころか、飛び越して最初から正解に辿り着ける
そんなツール作りに熱中していきます。

私自身は、明らかに無駄を嫌い、効率性を重視する人間なので、薫か雪子かでいうと薫タイプなのですが、
本作の特に中盤以降の薫の言動には共感できませんでした。
たぶんそれは、私が、「無駄が多い人は無能、効率よく動ける人間は有能」と思っていることは
自分の頭の中でだけ思うべきことであり、口にすべきことではないと自制しているからかなと感じました。
薫と2人きりで話をするなら共感できる部分はかなりありそうなのですが、
そこに他の人、特に雪子みたいなタイプの人が居たら、こんな話はすべきじゃないと思ってます。

それは、倫理観とか心配りとかではなく、
そんな話をしても分からないだろうから、この手の話は分かる人だけで話すべきだと
考えてしまっているからだと思います。
上から目線で嫌な考え方ですけど。

薫のキャラクターに共感できなかったのは、なんでこんなに効率的な思考ができる人なのに、
こういう考え方は理解できない人間がたくさんいるということが想定できなかいのだろうかと
その想像力の足りなさというか偏りというか、そこがアンバランスなように感じたためです。

物語としては、雪子は最後に、人生を左右する出来事に直面し、
実際にその後の人生が大きく予定から変わってしまったことが描かれていますが、
私は、薫自身も、本当にこういう人生が送りたかったのかな?と疑問に感じてしまいました。

女の子2人とって、結局は過酷な人生を歩むことになったような気がして、
朝井センセ、相変わらず容赦ないなー、と感じてしまいました。




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『こうして、思考は現実になる』
- 2022/05/21(Sat) -
パム・グラウト 『こうして、思考は現実になる』(サンマーク出版)、挫折。

ブックオフの50円ワゴンでドカ買いしてきた一冊。

ビジネスで成績を上げるためにどういう心構えで向き合うべきかという
ビジネス系自己啓発本かと思ってたのですが、
読み始めたら「宇宙のエネルギー」「スピリチュアル」などの言葉が冒頭の2ページから溢れてて、
「え!?そういうたぐいの本なの?」と焦りました。

で、表紙を見直したら、サンマーク出版でした。
そりゃ、スピリチュアルですよね(苦笑)。
買ってしまった自分のミスです。

自分的には非常に苦手なスピリチュアル系の話ですが、
(なんでこんな言説を信用しちゃうんだろう?という疑問が湧きまくりになるので苦手です)
誤って買ってしまったのを機に、試しに、この手の本がどんなロジックで
読者を説得しようとするのか見てみよう・・・・・・と思い直して読み進めてみました。

しかし、「アブラカダブラの法則」「101匹わんちゃんの法則」「魚とパンの法則」などなど出てきて、
うーん、意味不明(爆)。

結局30ページで脱落しました。




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『せんせい。』
- 2022/05/20(Fri) -
重松清 『せんせい。』(新潮文庫)、読了。

ザ・重松作品!という感じの
小学校や中学校、高校の先生を主人公にした短編集です。

こういう作品を読むたびに、「先生とは子供の成長に寄り添えるやりがいのある仕事だなぁ」ということより
「先生って一人一人の個性に対応しなきゃいけないから大変だなぁ」ということの方を
強く感じてしまいます。
仕事に対する責任感以上に、教師という職業に聖なるものを感じて信じていないと
とても心も体も持たないよなぁ・・・・・と。

医師も同じようなところがあると思いますが、
自分の努力の結果が治療結果という成果に繋がる度合いが
教育結果という成果に繋がる度合いに比べて、まだ大きいような気がします。
患者の方が素直に指示を聞く人が多そうだし、治したいという前向きな気持ちで努力する人が多そうな
そんな気がします。
それに比べて子供を教えるというのは、相手の反応の読みにくさが大きそうに感じます。
今は、親もわがままですしね。

本作に収められた短編集では、先生は、若いときにはいろいろあったにしても
それなりに自分らしく子供のことを考えて教育の現場に立っているように感じましたし、
悩みながらも前を向いている感じが心地よいなと思いました。

そして、それに向き合う子供たちも、どこか大人な目線を持ち合わせていて、
先生を思いやる気持ちと、先生への本音の評価が心の中に住み合わさっている様子も
共感するところが多く、小説の世界に浸ることができました。

高校野球の世界と闘病ものがミックスされた「泣くな赤鬼」は、
王道過ぎるぐらい王道な作品でしたが、泣けました。
先生も誠実だし、生徒も自分の人生に誠実です。

そして、一番印象に残ったのは「にんじん」。
20代の若手教師が、初めて受け持った6年生のクラスで、
前任のベテランで子供たちに強く信頼されていた教師を超えようと、
最初は真っ当な方法で挑みますが、次第に手段を択ばない方法で教室運営をするようになり、
その過程で一人の生徒が犠牲になります。
教師のしたことは、いじめと言ってしまえばいじめになるのでしょうけれど、
でも、教師の心情もどこかわかるような気がします。
集団になれば、一人ぐらい合わない子も出てきますよね。
どんな物語の展開になるのかなと思ったら、最後、その犠牲者に思いを述べる場を作ってあげる展開で
そのストーリー構成に、作者は子供たちに対して優しいなと感じされてくれる作品でした。




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『あきらめない』
- 2022/05/18(Wed) -
鎌田實 『あきらめない』(集英社文庫)、読了。

8割がた読み終わった本を実家に置き忘れてしまい、
次に半分ぐらいまで読んだ本を外出先に置き忘れてしまい、
つまみ食いみたいな読書ばかりで、なかなか投稿できず。

本作は、ブックオフの50円ワゴンからドカ買いしてきた中の一冊で
しばらく積読になってました。なにが気になって買ってきたのか記憶がなく、
著者も「名前聞いたことがあるけど誰だっけ?」みたいな状況で、
読み始めて、「あ、お医者さんか、聞いたことあるな」という状況でした。

終末医療における患者と家族と医師と看護師の気持ちの持ち方みたいな話が多かったですが、
みんな強いよなーと思ってしまいました。

そもそも、こんなにも患者に寄り添った医療提供を行うには
医師や看護師の覚悟が相当ないとできないと思いますし、病院の経営側の理解もないと
難しいと思います。
そして、そういう部分がクリアしても、患者と家族が我儘なだけだと成り立たず、
お互いの信頼関係がないとできないよなーと。

医療にプライドを持っている人たちと共に、表現は変ですが、
患者としてのプライドを持っている人である必要があるだろうなと感じました。
自己主張をするだけというのは恥ずべき姿勢と反省し、医療体制の限界の部分について理解し、
可能な範囲で自分の思い描く生活ができる形を実現していくという
冷静な判断力が必要だろうなと思います。

この本の中には、終末医療の理想形のようなものがたくさん出てきますが
自分がそういうものを求めるのであれば、患者としてのプライドを適切に持てる人間に
成長していかないといけないのだろうなと。

よりより最期を得るためには、それまでの間に、自分自身が成長し
よりよい人間になろうと努力していることが大事だなと感じました。




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『一橋ビジネスレビュー2021夏』
- 2022/05/16(Mon) -
『一橋ビジネスレビュー2021夏』、通読。

特集は「研究力の危機を乗り越える」ということで、
主に日本の大学における研究力の低下もしくは実績の積み上げ力の低さを論じています。
あんまり、今の私に刺さってくるテーマではなかったので、流し読みになってしまいました。
どうせなら、1本ぐらい、一橋大学自身の直近の研究実績を評価する論文がほしかったですわ。
それこそ身を切る研究をね。

興味深く読んだのはビジネスケース研究。
一つ目は「大丸松阪屋百貨店」。
私は、会社勤めの時も百貨店さんと営業部門を介して間接的にお仕事をさせてもらっており、
今、自分で事業をするようになってからは直接お取引先様として繋がるようになったのですが、
百貨店さんって、本当に、社風というか、組織文化の違いがはっきりしていて、
特に合併したりすると、社風のぶつかり合いをもろに肌で感じます。
三越さんと伊勢丹さんとか、その店舗のこのフロアをどっちが仕切ってるか空気で分かります。
今回のケースでは、人事制度改革に焦点を絞って述べていますが、
制度よりももっと骨身に染みている企業文化の統合をどうやるのか、そこに目が行きました。

もう一つのビジネスケースは、キリンビールの「タップマルシェ」。
私、ビールが大好きで、東京に住んでいたころはビアバーとかに時々行ってましたが、
三重県に移ってからは、そんなオシャレな場は四日市ぐらいにしかなく・・・・・と悲しんでいたら、
タップマルシェを導入するお店が増えてきて、よく利用するようになりました。
4種類のクラフトビールが選べますが、お店の方でも、定番2種と新ネタ2種みたいな感じで
うまく商品を切り替えてくれるので、お店に行くたびに新しいビールが楽しめ、
一方でお気に入りのビールも常時楽しめて、気に入ってます。
小ロットで多くの銘柄をそろえてペットボトルで供給するというスキームを最初に知ったとき
「キリンは、やっぱり凄い会社だ!」と感動しました。
今回のケースでは、そのスキームをどうやって構築していったかがきれいに整理されており
感動再び!という感じでした。
自社の売り上げをいかに伸ばすかという近視眼的な考え方だけでなく、
日本人、特に若者のビール離れをどう食い止め、ビール好きをどう育てるかという
ビール業界全体の将来を考えているキリンビールという会社がますます好きになりました。




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『「気の使い方」がうまい人』
- 2022/05/15(Sun) -
山崎武也 『「気の使い方」がうまい人』(三笠書房)、読了。

「気の使い方」についての具体事例が100個ほど紹介されている本。

特に体系だったものではなく、思いつくまま挙げました・・・・みたいな感じですが、
まぁ、マッサージチェアでポコポコ肩たたきしてもらいながら読むには
適当な本でした。

紹介されている事例が普遍的に通用するものかは分かりませんが、
そういうところに目を配る気持ちの余裕があると、上手く立ち回れるだろうなと感じました。




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