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『秘剣、豪剣、魔剣』
- 2021/06/30(Wed) -
時代小説の楽しみ一 『秘剣、豪剣、魔剣』(新潮社)、読了。

近所のおばちゃんにもらった本。
いわゆる「剣豪小説」の傑作選。

正直、剣豪小説って、食指が動きません。
ぶっちゃけ、ちゃんばらでしょ~?って思っちゃってます。

まぁ、食わず嫌いもよくないかなと思い、
せっかく本をいただいたので試しに読んでみました。

16人の作家の作品が収められており、
短編集なので、初心者には読みやすかったです。

決闘だったり、道場破りだったり、仇討ちだったりという緊迫した場面で、
剣士と剣士が対峙した時の戦略とか、技術とか、心の動きとか、
そういうものを楽しむものなんだと思いますが、ちょっと世界観が小さいような気がして
やっぱりあんまり好みではなかったです。

その点、大名クラスが絡んでくる作品は、
天下取りに向けた戦略とか深謀とか奥行きがあるので、面白かったです。
池波正太郎氏の「卜伝最後の旅」とか、戸部新十郎氏の「上泉伊勢守信綱」とか。

結局は、剣豪小説よりも、戦国時代ものとして楽しんだ感じですね。




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『この町の人』
- 2021/06/27(Sun) -
平岩弓枝 『この町の人』(集英社文庫)、読了。

質屋の女主人を中心に、彼女の家に出入りする親族や客や近所の人々の日常を
素直に切り取った連作短編集。

まず、この女主人が気持ちいいんです。
質屋を一人で仕切っているぐらいだから、お金に対する姿勢は厳しいものを持っていますが、
その反面、人間としては愛情豊かで、情にもろいようなところもあり、
とても愛すべきキャラクターでした。

そして、その質屋の2階に転がり込んでくるのは、ご近所さんだった同年輩の男。
下町らしく子供のころから知り合いの気の置けない仲です。
男の方は一人娘が嫁いだばかり。
男の金で取手市に新居を構え、そこに同居する予定だったのに
いざ一緒に住んでみたら気を遣う毎日に嫌気がさして、住み慣れた街に戻ってきてしまったとの理由。

私は結婚したことがないので、あくまで想像ですが、
結婚して、それまで赤の他人だった人物と同居するのって、気を遣うだろうなと。
もっと本音ベースで言えば、しんどいだろうなと(苦笑)。

しかも、本人はまだ隠居するような年齢でもないということで、ビルの夜警の仕事につきます。
でも、この選択は、娘からしたら、「せめて昼間の仕事にしてよ」と思っちゃうのも分かります。
夜勤は体がしんどそうですし、何もそんな肉体労働をしなくても・・・・という感覚もあります。

このあたりの、それぞれの立場での、自分の都合やら相手への思いやりやら、
いろんな思いが交錯するのですが、それが細やかに、でもすっきりとしたタッチで描かれており
とても面白い作品でした。

そんなに大きな出来事が起こるわけではないのですが、
人間の生活って、毎日こんな感じで過ぎていくよね~と、しっくりくる作品でした。

平岩作品はこれで3作目でしたが、前に読んだ作品も面白かったので、
これからはしっかり意識して追いかけていきたいと思います。




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『夢魔の標的』
- 2021/06/26(Sat) -
星新一 『夢魔の標的』(ハヤカワ文庫)、読了。

星新一氏の長編小説ということで父の本棚から持ってきたものの、
珍しいなぁ・・・・と思いつつ、ショートショートでないと触手が伸びないところもあり、
ずっと積読状態でした。

ようやく読んでみたのですが、主人公は腹話術師。
その人形が、ある日突然しゃべり出す。
周囲の人間からは、あくまで主人公の腹話術の結果として人形が話していると思えているものの、
主人公には口を動かした意思はなく、何かの力に操られての腹話術という展開です。

この設定は面白いなと感じました。
そもそも腹話術師という存在が、昭和な香りが漂う世界観ですが、
人形が単に意思を持つというのではなく、あくまで腹話術として話始めるというのが
不思議な感じがしました。

前半は、主人公が、人形が自意識を持ち始めた経緯やその影響力について
把握しようとしたり抑制しようとしたり、いろいろチャレンジする姿を興味深く読んだのですが、
中盤から「世界の王」という概念が出てきたあたりから、私の興味は正直削がれてしまいました。

統合失調症って、こんな感じで始まるのかな・・・・・って思ってしまいました。
催眠術が使える女医さんの登場も、ちょっとご都合主義的かなって。

設定は面白く思いましたが、話の展開に無理があるような気がして、
やっぱりショートショートの方が楽しめそう・・・・という結論に至りました。




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『ケネディのいちばん長い一日』
- 2021/06/23(Wed) -
ドノバン・ロバート 『ケネディのいちばん長い一日』(毎日ワンズ)、読了。

ブックオフの50円ワゴンからドカ買いしてきた中の一冊。
特にケネディ大統領に強い興味があるわけではないのですが、
第二次世界大戦での従軍経験の話に特化してあるようだったので
そこに興味を持って買ってみました。

まずは、ここまで命の危険に晒された戦闘経験を持っていたとは知りませんでした。
ソロモン諸島周辺海域で日本の駆逐艦と衝突し、乗組員全員が海に投げ出され、
近くの小島に泳いでたどり着き、味方に見つけてもらえるように
毎日小島から海に泳いで航路上で船の通過を待つという過酷なサバイバル状態。
流れのある海を何kmも泳ぎ、さらに航路上で何時間も立ち泳ぎ、そして遭遇できなければ
また何kmも泳いで戻ってくるという・・・・・・到底私にはできないチャレンジです。

この経験は、当然、選挙で強いPRポイントになるでしょうね。
米大統領は従軍経験がなければならないとトランプ大統領の前までは暗黙のルールだったようですが、
英雄譚として仕立て上げるには、格好のトピックスですよね。
むしろ、そういうPRポイントがないのに大統領選挙に勝ってしまったトランプさんの方が凄いというか(爆)。

でも、英雄譚としての情緒的な側面だけでなく、危機管理能力とか組織の統率力とか
そういうリーダーシップが一定備わってないと、戦地から生きて帰還できないんだなということも
本作を読んでよく分かりました。
やっぱり、戦争から生きて帰ってくる人間というのは、運の面ももちろん大きいのでしょうけれど、
マネジメント能力があるかないかで、生存率は大きく変わりそうです。
だから、大統領に求められる資質として、端的に表れているんだろうなと思います。

というわけで、50円の割には結構興味深く読んだのですが、
サブタイトルの「ある日本軍人との死闘」は、日本向けタイトルで看板に偽りありのような印象です。
個別具体的な日本軍人との対峙というか交流というか、そういう太い関係があったのかと期待したのですが、
ただただ戦地で攻撃しあったというだけで、日本軍人側は、相手がケネディであるか否かなんて
全く認識していないでしょうから、これは期待外れでした。

あと、翻訳文がちょっと読みにくかったです。
たぶん、接続詞がほとんどないからだと思います。
原文の英語が、接続詞のあまりない文章だったのかと思いますが、
日本語は接続詞により文章のリズムが生まれてくるような面もあるので、
そこは翻訳者がうまく補ってほしかったなと思います。




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『天国からの銃弾』
- 2021/06/22(Tue) -
島田莊司 『天国からの銃弾』(カッパノベルス)、読了。

中編3本が収められています。

本格派としてのイメージしかない著者ですが、
冒頭の「ドアX」は、私の苦手な精神の不安定な人の話で、
しかもオチが突飛な印象で、あまり楽しめませんでした。

「高速道路の亡霊」は、高速道路関係の会社の社長に天下りした元官僚と
その社長を強請ろうとする元社員、そして一見無関係に見える女が
ある一点をもって交錯することに。
ま、各人の行動にリアリティがないと言ってしまえばそれまでなのですが、
本作は、無理目な設定をあえて楽しむ作品なのかなと思いました。
高速道路利権という点も絡んで、面白かったです。

最後は表題作。
こちらは、川崎のラブホテル街で起きた自殺騒動を巡る話。
正直、「覚醒剤」という飛び道具が出てきた時点で、
ちょっと私は付いていけなくなりました。
この要素って、必要だったのかなぁ・・・・・。
家族の姿にリアリティがなくなってしまったように思え、自分的にはイマイチでした。
作品発表当時は、受け入れられる設定だったのかなぁ・・・・。




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『ニホンミツバチが日本の農業を救う』
- 2021/06/20(Sun) -
久志富士男 『ニホンミツバチが日本の農業を救う』(高文研)、読了。

続けて養蜂の本。
あまり考えずに適当に借りてきたら、昨日の本と同じ著者でした。
やっぱり養蜂業って、ニッチな産業なんですね。

さて、本作の前半は、著者が養蜂とどのように出会って、
どのように拡大してきたかが書かれており、技術論よりも物語性の方が重視されていたので
読んでいて面白かったです。

そして、セイヨウミツバチが大きく勢力を減衰させているという事象の紹介を読んでいるときに、
「あ、そういえばハチの大量死について扱った本を読んだんだった」と思い出しました。
そのときも、原因がわからずという結論になっていて
ミツバチって、人間と関わりが深いようでいて、あんまり分かってないんだなぁと感じました。

後半は、九州でニホンミツバチを見かけなくなってきたという話から、
離島でニホンミツバチの養蜂を復活させようという活動を中心に描写されています。
島民個人の養蜂がしたいという熱い思い、地元自治体の町おこしに活用したいという思惑、
メロン農家などとの受粉作業における協業関係など、
いろんな観点でミツバチとの関わり方があるのだということが象徴的にわかりました。

養蜂業について、ただ個人でハチを買って蜜を取り、ハチミツとして販売するという
小さな商売の形を超えた、もっと大きな社会との関わり方の画を描ける人が出てきたら
日本の養蜂業ももっと産業として確立されていくのかなと思いました。


著者の下で、そのようなことを考える修業を積んだ若い人が出てくれば
面白いことになりそうだなと思いましたが、果たしてどうなっていくのでしょうかね。




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『我が家にミツバチがやってきた』
- 2021/06/19(Sat) -
久志富士男 『我が家にミツバチがやってきた』(高文研)、通読。

ちょっと仕事で養蜂業について調べたくて、県立図書館に行ったのですが、
検索してもあんまり該当する本がなく、農林水産業における養蜂業の位置づけが
なんとなくわかりました。
産業として確立されていないというか、一産業としてみなされていない感じですね。

で、とりあえず書架にあった本作が、養蜂の実作業の流れが分かるかなと思い借りてきたのですが、
読んでみると、思いのほか「ハチを育てる」という点に絞って技術的な解説の本であり、
産業という側面ではなく、農作業という側面での解説でした。

読んでみると、著者の長年の経験と観察力、考察力に裏打ちされた話が多く、
養蜂をする人にとっては、とても参考になる本なのだろうなと感じました。
しかし、いかんせん、ビジネスとしての養蜂業についてはほとんど登場してこないので
私のニーズにはミスマッチでした。




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『「やりがいのある仕事」という幻想』
- 2021/06/18(Fri) -
森博嗣 『「やりがいのある仕事」という幻想』(朝日新書)、読了。

著者の新書作品は、いまいちな感想を抱いていることが多いのに
なぜかタイトルに惹かれて買ってしまうんですよね~。
編集者の思うツボ。

読んでみると、「人は生きるために仕事をするのであって、仕事をするために生きているワケではない」という
オーソドックスな内容を優しい語り口で話しており、ちょっと間延びしてる印象です。

本題の話よりも、「テレビ番組は面白い情報をただ見せてくれればよいのに、
芸人を並べたり、過剰な演出をしたりして、楽しく見せようとするから、間延びする」的な枝葉末節の指摘に
「あ、なるほどね」と面白く感じる視点があり、本題よりもそっちを追いかけていた感じです。

後半は、読者のお悩み相談的な建付けのQ&Aコーナーなのですが、
そちらは、前半の間延びした言説よりも、
質問に答えるという形式なので多少具体性を持っていて、後半の方が面白く読めました。

ま、でも、全体的にぼんやりした読書でした。




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『嵐のピクニック』
- 2021/06/17(Thu) -
本谷有希子 『嵐のピクニック』(講談社文庫)、読了。

だいぶ前に読んでいたのですが、バタバタしてて、すっかりBlog投稿を忘れてました。
散らかった部屋を片付けたら、書類の下から出てきました(苦笑)。

で、時間がたってるため、感想をあんまり覚えていない・・・・・(爆)。

本谷作品って、結構、苦手意識が先に立ってしまっているのですが、
本作は短編集であり、しかも全体のページ数も少なさそうなので
印象変わるかな?と思ってチャレンジ。

冒頭の作品「アウトサイド」で、早速ちょっと印象が変わりました。
習い事のピアノの時間が嫌で、ピアノ教師に反抗的な態度をとる主人公。
そんな子供を相手に、優しく丁寧に教えてきた先生が、一瞬見せた恐ろしい行動。
冷っとしますわ、人間の狂気に。
凶行の後の描写をあっさりと終わらせるので、いろいろ想像してしまいました。
余韻を強く感じる作品でした。

そのあとに続く作品たちは、合うもの、合わないものありましたが、
短い文章でサクッと終わるので、合わなくても、苦手な印象を受けるものは少なかったです。

個々の作品の感想については・・・・・あんまり覚えてないのでご容赦。




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『他人の10倍仕事をこなす私の習慣』
- 2021/06/16(Wed) -
和田秀樹 『他人の10倍仕事をこなす私の習慣』(PHP文庫)、読了。

かなり上からな感じのタイトルですが(苦笑)、
まぁ、著作数からすると、言いたくなっちゃうのも仕方ないかな。

思ったよりも具体的な技術論の話が多かったので、
自己改善のきっかけにしたい人には参考になるのかな。

私的には、著者の代表作とされる
受験勉強のノウハウ本を読んでみたいなと思いました。




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