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『おいしいおにぎりが作れるならば。』
- 2021/02/28(Sun) -
松浦弥太郎 『おいしいおにぎりが作れるならば。』(集英社文庫)、読了。

著作名も著者名も全く知らなかったのですが、
タイトルと表紙絵で、なんとなく買ってみました。

『暮らしの手帳』編集長がつづったエッセイ。

正直な感想を言ってしまうと、
なんだか良い子ちゃんな文章だなぁ・・・・というもの。

心がきれいな方なんだなとは思うのですが、
著者にあこがれて、そんな心で生きていこうとするのは、
逆にしんどいんじゃないかなと思ってしまいました。

もっとどす黒いものを腹の中に持ち合わせていた方が
ある種、楽なような気がします。
ピュアでいることって、よっぽど自分の芯が強い人じゃないと
なかなか大変なんじゃないかなと。

『暮らしの手帳』を読んだことがないので、
読者の方には心地よいエッセイなのかと思います。
でも、その境地を目指すのは大変そう・・・・と思ってしまう私は、歪んでるのかも(苦笑)。




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『独裁の宴』
- 2021/02/26(Fri) -
手嶋龍一、佐藤優 『独裁の宴』(中公新書ラクレ)、読了。

佐藤優氏の話は、やっぱり国際情勢分析が一番興味深いですね。
しばらく著作から遠ざかってしまっていましたが、先日久々にホリエモンとの共演を動画で見て
確かに解説の切れ味は鋭いけど、国内情勢の分析は、日本の政治がふにゃふにゃだから
鋭い刃を持っていても切れ味がよく伝わってこないんですよね(苦笑)。
斬る相手が、斬り甲斐のあるモノじゃないとね。

というわけで、本作は、その斬る相手が、
北朝鮮であり、一つの中国であり、トランプ・バノン政権であり、
一流の戦略国家ばかりなので、各国が持っている野望がはっきり分かって、
とても面白い内容でした。

日本国内の報道では、表面的な出来事を断片的にしか伝えてくれないので、
なんでそんな流れになっているのか理解できないんですよね。
ただただ「今こういうことが起きました」というだけで、背景が分かりません。

しかし、本作を読んでみると、米朝二国間協議に傾く可能性は大いにあると言っていて、
確かにその後、そういう動きになったので、さすが世界の動きを読んでいる人には
分かるんだなぁと納得。

テレビも新聞も全然そういうことを伝えないからダメなんだ!と、
最近流行りのメディア叩きを私も最初は頭に浮かべたのですが、
しかし、途中から、「価値ある情報を無料で入手しようという自分の姿勢が間違ってるのかも」
と思うようになりました。

本質を突いた解説をタイムリーに知りたいと思ったら、
そこは対価をきちんと払う必要があるのかなと。
スポンサーが対価を払ってくれているテレビのニュース番組に
そもそも、骨太の解説を視聴者が求めることに無理があるのかも・・・・と思うようになりました。
すでに私はテレビ契約を切っちゃったので、もうテレビというメディアは関係なくなったのですが(苦笑)。
新聞も、一応日経オンラインは契約してますが、ニュース解説を読むためじゃなく
自分の関係する業界のニュースをプッシュ通知でタイムリーに知るためなので
払ってるお金は、解説内容に対してではなく、プッシュ通知機能に対してなんですよね(爆)。

Youtubeでも様々な情報を無料で入手することができるようになりましたが、
本当に重要な情報は有料動画になっていると思います。
一見、無料メディアが急拡大しているように思えますが、
実は、対価を払わないと意味のある情報が得られないという構造に変質していってるんだなと
本作を読みながら、そんなことを考えていました。






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『三重の歳時記』
- 2021/02/25(Thu) -
中野イツ 『三重の歳時記』(光書房)、読了。

親戚の叔母さんからもらった本。

郷土史家の自費出版本かな?と思ってしまったのですが、
思いのほか面白い内容でした。

三重県にまつわる歴史や文化のネタを綴っているのですが、
たいていこの手の本は、北から順番に地域ごとに述べていくとか、
時代を古い順に今に向かて述べていくとかいうスタイルが多いと思います。
しかし本作は、「歳時記」と謳っている通り、1月から始まり、
12月まで、各月にちなんだトピックスを扱っています。

単純に、その月に行われる季節の催事の紹介もありますが、
歴史上の出来事が起きた月とか、三重県にちなんだ有名人の命日とか
いろんな角度からのトピックスが扱われていて、飽きませんでした。

文章も、無駄のないシンプルなもので、男性的な雰囲気を感じました。
素直に読みやすいなと思いました。

ボリュームがもっとあっても、十分楽しめただろうなと思いました。




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『ミーナの行進』
- 2021/02/24(Wed) -
小川洋子 『ミーナの行進』(中公文庫)、読了。

ミュンヘンオリンピックの年に、母の姉である叔母の家に1年間だけ預けられた中学生の朋子。
いとこで小学生のミーナは病弱で、発作を起こしては時々入院するほど。
学校まで歩いて通学できないので、乗り物に乗って登校します。それはカバ。

芦屋の豪勢な洋館での生活は、その建物や庭や調度品の優雅さだけでなく、
ドイツ人の祖母やハーフで良い男の叔父、穏やかな叔母、躾に厳しいお手伝いさん
何でも言うことを聞いてくれる小間使いさん等、普通の家族には無い多様性に富んだ家です。

みーんな優しい人たちで、そんな人々の愛情を注いでもらっているミーナは
聡明な女の子に育っています。
が、言葉の端々に、叔父夫婦を中心とする何だか暗い影みたいなものも見えてきます。
長期間家を不在にする叔父。明言されていないけど不倫してるみたい。
昼間からアルコールを飲んで、活字の誤植探しに夢中になる叔母。ちょっと心のバランスが悪そう。
なんだかちょっとギクシャク感を覚えてしまいます。

作品の雰囲気は温かいのに、「何かの拍子に叔父・叔母の関係が崩壊したりしたらどうしよう」
というような不安感も覚え、終盤に向けて、朋子が思いきった行動を取っちゃったりするから、
ドキドキしましたわ。

時代背景も、ミュンヘンオリンピックという、五輪の本筋のところではない事件で
世界の記憶に残ってしまった大会だったので、その背景も暗さを漂わせていたのかも。
芦屋の洋館の中は幸せでも、世界は大変な時代だったのですね。

オリンピックの描写は、朋子とミーナが男子バレーに熱中する姿が中心に描かれていますが、
そのピュアなスポーツ熱を描けば描くほど、テロの暗い影が逆に意識されてくるというか、
ギャップが印象に残りました。

物語の中では、基本的に、温かく穏やかな一家の話で満ちているのに、
常に陰を意識させられるような作品で、さすが小川洋子・・・・と感じ入る一冊でした。




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『ホームタウン』
- 2021/02/21(Sun) -
小路幸也 『ホームタウン』(幻冬舎文庫)、読了。

この作家さんは2作目です。
前に読んだ人気シリーズは、イマイチ私にははまらなかったので、
本作もそんなに期待しないまま手に取ったのですが、意外と面白かったです。

主人公の青年は、中学生の時に、不仲の両親が喧嘩の延長で殺人事件に発展し、
その現場を目撃した妹の手を引いて現場を逃げ出すという過去を背負っています。
殺人を犯した人間の血が自分にも流れているという恐怖、
家族というものを持つことに対する不安、そんなものを抱え、自分を隠し、抑えながら生きています。

彼の現在の職業は、百貨店の「顧客管理部 特別室」勤務。
肩書は20代にして「部長」。
百貨店内で起きる不祥事を秘密裏に解決する、または握りつぶすのがその役目。
異様な権限を持っているため、百貨店内で恐れられている男であり、
実際に、不祥事を追及した相手の百貨店社員が自殺したことも。
紆余曲折あり、今は、その自殺した男の家族と一つ屋根の下に住んでいる・・・・。

「人が死ぬ」ということについて、子供の頃の苦しい記憶と、現在の仕事での汚れた部分、
あまりに異様な背景を2つも主人公に負わせてしまうのは、
キャラクター設定として特異すぎなのではないかと、読み始めの時は引いてしまいました。

しかし、この主人公の周囲にいる人たちが、ユニークで、しかも優しいんですよね。
日米政治からヤクザの世界まで顔が利く職場の上司であるカクさん。
中学生の時にバイトをした菓子屋の主人。
そのバイトで訪問したヤクザが経営するバーの店長。
彼らは、独自の人生哲学をもって、骨太な日々の暮らしをしており、
その日常の中で、異様な過去を背負った主人公に温かいまなざしを向けてくれます。
主人公に対する彼らの態度・姿勢が、なんだかとても素敵で、それに触れたくて
読み進めたような感じです。

ストーリーの軸は、この主人公の妹が結婚することになったのに、ある日突然失踪。
同居人が最後に見たのは、自分の意志で、何も持たずに部屋から出ていく姿。
バッグも財布も携帯も部屋に置いたまま、どこかに行ってしまった妹。
そして、妹の婚約者も、妹よりも数日前から行方不明に。
婚約者が同じ百貨店勤務という繋がりもあり、業務として主人公は調査を始めます。

この調査の進展ぶりが、先ほど述べた、主人公のユニークな人間関係のおかげで進んでいくので
ワクワクしながら読み進めることができました。

失踪の原因については、うーん、百貨店内での事件がきっかけになってますが、
これまた重たい内容で、殺人に、自殺に、違法物とは・・・・・北海道恐ろしすぎ(苦笑)。
ちょっと劇的な要素を盛り過ぎな気がしました。

一方で、妹の方の事情は、腑に落ちました。
最初は、「なんで結婚を目の前にしてそんな判断をするんだろう?」と疑問でしたが、
本作の中で、主人公が「何をきっかけに心変わりをしたのか」ということを
じっくり検討していくシーンがあり、そこで至った原因の結論に
「あぁ、それなら確かに、今までを捨ててしまうかも」と納得。
この納得性は、殺人に、自殺に・・・・という展開があってこそだったので、
このために必要な設定だったのか・・・・とは思いましたが、でもやっぱり盛り過ぎ(笑)。

著者の作品に関しては、バンドワゴンシリーズよりも、
本作のような、もうちょっとシリアスな作品の方を読んでみようかな。




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『私の田中角栄日記』
- 2021/02/18(Thu) -
佐藤昭子 『私の田中角栄日記』(新潮文庫)、読了。

佐藤昭子という名前は知ってますし、「淋しき越山会の女王」という皮肉なニックネームも知ってます。
でも、いずれも知識として知っているというだけで、何の思いもない人物です。
秘書の目で見た田中角栄という政治家のことも興味はありましたが、
それよりも、この時代に首相の政治事務所を取り仕切った女性秘書という存在に興味を惹かれました。

で、読んでみて最初に思ったのは、非常に聡明な女性であるということ。
自分で付けた日記を基に、当時を振り返るという構成になっていますが、
その日記の文章が端的かつテンポがあり、文章能力を感じます。
もちろん、本作用に手が入っているのかもしれませんが、でも、能力高そうだなと思わせる文章です。

ただ、日記を軸にしていますし、また、田中角栄に対する世間の批判への反論という形なので
田中角栄の功績や政治家としての信条が軸に書かれているわけではなく、
あくまで周囲や世間が田中角栄に対しどのような態度をとったかを書き綴り、
それに対して、「私の知ってる本当の角栄はこういう人だ!」という主張なので
当時の政治の流れや派閥がある程度頭に入っていないと、分からない部分もあります。
政治の結果の部分は、知識として知っていますが、
当時の政局までは分からないので、同時代を生きていたら、より楽しめただろうなと残念です。

そもそもの著者と角栄のはじまりは、著者の元旦那が角栄の選挙の手伝いをしていたことに始まり、
離婚後に角栄に請われて秘書になったとのこと。
秘書能力を見抜いての抜擢だったのか、それとも愛人候補として見ていたのか。
本作に登場する著者の娘さんは、作中では書かれていないですが
Wikipedia情報だと父親は角栄とされているようで、こんな公認の愛人関係って成り立つんですね。
当時の日本は、まだまだ緩かったということなのですかね。

角栄の死に目に会わせてもらえないどころが、葬儀にも出られなかったのは
田中真紀子女史との対立関係が原因のようですが、
真紀子 vs 昭子の戦いも、怖いもの見たさで面白いかも。
・・・・・・いや、毒が強すぎてしんどいかな?




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『眠れぬ夜に読む本』
- 2021/02/17(Wed) -
遠藤周作 『眠れぬ夜に読む本』(光文社文庫)、読了。

「眠れぬ夜に読む本」についての本かと思ったら、
「眠れぬ夜に読む話が書かれた本」でした。

いろんな本が紹介されているのかな?と期待したので
著者の博識ぶりからして、ちょっと重たい読書になるかも・・・・と覚悟していたのですが、
ウィットにとんだ読みやすいエッセイで、素直に読めました。
週刊誌に連載されたコラムだったようで、分量の適度に短い中に
しっかり言いたいことが詰まっている点も魅力でした。

出張先で訪問した史跡に何を見たのか、
学術書を読んで何を考えたのか、
作家仲間にどんな目に遭わされたのか、
著者の情緒豊かな日々が垣間見れて面白かったです。




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『自選 坂村真民詩集』
- 2021/02/16(Tue) -
坂村真民 『自選 坂村真民詩集』(大東出版社)、読了。

近所の人からもらった坂村真民の詩集はこれが2冊目。
こちらも、とても素直な作品が多いです。すっと読めます。

私が詩にちょっと苦手意識を持つようになったのは、
教科書に載ってた草野心平さんの「るるるる・・・」という作品が切っ掛けかも。
文字を感覚的に受け止めるということができなかったので、
「るるるる・・・・」ってどういう意味なんだろう?と理屈で考えてしまって
「詩ってわからない」という結論を早々に出してしまったように思います。
正直、あんまり詩について魅力的に語れる国語の先生が居なかったのも理由かも。

で、本作ですが、特に印象に残ったのは、自分の子供に向けての作品です。
「梨恵子よ 佐代子よ 真美子よ」と呼び掛ける姿に、
全然場面が違うのですが、川端康成の『掌の小説』の中の「心中」が思い出されて、
父から子へのメッセージって、迫力があるよなぁと感じ入りました。

そして、紅いバラには子供たちのにおいがし、白いバラには妻のにおいがしたと綴る作品。
子どもへの愛情と同じように、妻への目線が書かれているのって
日本人ではあんまり見ない感覚かも・・・・と思って新鮮でした。




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『シン・ゴジラ』
- 2021/02/15(Mon) -
『シン・ゴジラ』

公開当時、凄く流行っていて、なおかつ映画ファンが面白いと言っていたので
観に行きたかったのですが、田舎住まいで映画館に行くのも一仕事ということで、
結局観に行けず。

その後、岡田斗司夫ゼミで、岡田先生が公開前は失敗作懸念を打ち出してたのに
公開後は「面白い!」と絶賛の動画になっていて、凄く気になっていました。

で、ようやく今になってAmazonで視聴。

岡田センセの動画を見ていたので、本作は、怪獣映画ではなく
日本政府を描いた政治モノとして期待しました。
そして、その通り、シニカルに描きつつも、日本政府をバカにしているのではなく、
根底の部分では日本政府なり自衛隊なり研究機関なりへの絶大な信頼があってこその
世界観だなと感じました。

東日本大震災にしても、今回のコロナ禍にしても、
日本人は政府の行動に対して、とにかくケチをつけて批判しますが、
批判しながら従いますよね。それって、逆にすごい信頼関係だと思うんです。
政府は国民が批判することを許し、国民は政府が命令することを許す。
無責任な状態を生みやすそうに見えて、最後はちゃんと自分のやるべきことを成すという
日本人らしい不思議な統制力を見せてくれます。

前半、自衛隊の攻撃はちっともゴジラに効きませんが、
でも、あの統制の取れた攻撃や、退去さえも秩序を保って行動できるところが
訓練された組織だと良く分かり、この人たちが私たちを守ってくれるんだと素直に思えましたし、
頼りになりそうだなと感じました。

一方、その狙撃対象のゴジラですが、
上陸した瞬間の形状に、「なんだ、このアニメみたいな芋虫みたいなヤツは!?」と唖然。
第一形態から第四形態へと段階的に変形していく中での第二形態だったようです。
「アニメの芋虫」という先入観で見たせいか、前半のCGがしょぼく感じました。
ゴジラの第二形態とか、ボートが押し流されるシーンとか。

ただ、自衛隊と交戦し始めたあたりからCGの粗さは気にならなくなったので、
担当していたチームが違うのかしら?それとも予算の問題?

さて、本題の政府ですが、頼りなさそうな総理大臣をはじめ
各大臣も見栄の張り合いだったり責任の押し付け合いだったりを繰り返しながら
危機が目の前に迫ったら、一気にうまく歯車がかみ合いだして、
「おお、日本の政治家もやるじゃないか」と思いきや、なんとまぁの急展開。

それでもきちんと残った組織で、残ったメンバーで最善の対処をとろうとし、
必死で日本を守ろうとする、その心意気に、素直に応援できました。
陸上自衛隊の面々が、ゴジラに薬品を経口投与するという決死の作戦に出ますが、
3.11の福島第一原発に向かった東京消防庁の隊員さんの姿を思い起こさせました。
現実の世界にも、死を覚悟して国を守ろうとしてくれる人たちがいるんだという。

米軍には支援を頼みましたが、しかし作戦の全体は日本側が主導し、
さらには国連の作戦をも止めて日本が全面的に前に出るという姿勢も
これまでの政治モノにはなかった快感だったように思います。

そして、ゴジラを停止させることに成功した瞬間、
ワーッと騒ぐのではなく、各現場でふーっと息を吐きだす静かな安堵が広がるシーンに、
あぁ、これもまた日本人らしいなと感じました。
ハリウッド映画なら腕を振り上げ、書類をまき散らして喜び合ってそうです(笑)。
そうではない、静かな会議室が何シーンか続くことで、あぁ、これが日本人なんだと理解できました。

というわけで、公開当時、多様な客層の人々が観に行き、そして評判になっていたのが
よく理解できる作品でした。






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『青年・渋沢栄一の欧州体験』
- 2021/02/13(Sat) -
渋沢栄一 『青年・渋沢栄一の欧州体験』(祥伝社新書)、読了。

まもなく大河ドラマで渋沢栄一翁の物語がスタートしますね。
一橋大学出身者としては、これで一般社会での認識がより高まると嬉しいなと思います。
私は、家にテレビがないから見られないんですが(苦笑)。

さて、渋沢栄一を扱った本は、過去に何冊か読んできましたが、
本作は、若い頃の欧州視察に絞って詳しく解説されており、面白かったです。

やっぱり渋沢栄一を描いた本となると、500もの会社を作ったとか、
多くの教育機関を支援して人材育成に努めたとかl、そういう部分がクローズアップされてくると思うのですが
本作にもあるように、この欧州体験こそが、後々の渋沢の情熱のエネルギー源であり、
また様々なアイデアのネタ元だったと思います。

だから、渋沢の功績を知るには、功績そのものを学ぶことも大事ですが、
功績の素となった欧州体験を、渋沢と同じ目線で追体験することも大事だなと感じました。

随行員として、身の回りのお世話をし、訪問先との調整もし、
また細々とした事務もこなし、さらには頭が固いままの随行員を説教し・・・・など、
実務の天才のような人です。
でも、この実務経験が、後々の起業のノウハウやスピード感に繋がっていったのだろうなと思います。

私は昔勤めていた会社で、もうすぐ30歳になるという頃に先輩から、
「30代は我武者羅に働け。そこで蓄積したもので40代以降はスムーズに仕事をしていけるようになる」
と教えられ、必死で食らい付いていった思い出があります。
たしかに、30代で経験した仕事のおかでげ、独立した今の仕事ができているようなものです。
渋沢とはレベルが全然違いますが、必死で働くというのは必ず自分の中に残るものがあると
身をもって理解できました。

本作では、具体的に、どの国で誰に会い、何を見て、そこから何を気付いたかというエピソードが
ふんだんに語られており、「そういう視点で見てたんだ!」「その驚きが後世のこの実績に繋がったんだ!」
という興味深さと納得感がありました。

最後に、本作の著者は、やはり一橋出身の人で、
母校愛に溢れる文章も登場していたので納得。
そして、福沢諭吉に変な対抗心があるのも、一橋卒と知り納得(笑)。




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